第2節 国民の期待と信頼に応えるための警察運営
1 国民の期待と信頼に応える警察
(1)積極的かつ合理的な組織運営
警察では、人口減少や高齢化の進展、科学技術の発展に伴って変化していく日本社会の情勢や治安上の課題に適応し、警察機能を最大限に発揮できる、高い規律と士気を有する組織を確立するため、各種取組を推進している。
例えば、先端技術等の活用による警察活動の質的向上に取り組んでいるほか、IT技術等の積極的活用、不適正な取扱いを契機とした業務の仕組みの見直し、情報管理システムの合理化・高度化等の業務の効率化に向けた取組を積極的に進めるとともに、第一線で活動する職員を支えるため、職務執行に関する相談・照会に応じる体制の整備、装備品の機能向上等を進めている。
また、超過勤務の縮減や休暇取得の促進、男性職員の育児休業の取得や育児休業からの円滑な職場復帰に向けた支援といった仕事と子育て・介護の両立支援等のワークライフバランス等の向上にも努めている。

若手警察職員による小集団討議
MEMO 警察活動への先端技術の活用の検討
京都府警察においては、過去の犯罪発生情報を踏まえた独自のアルゴリズムを開発することにより、犯罪発生の分析を行い、警察官のパトロール等に活用している。
また、神奈川県警察においては、アルゴリズムを用いて犯罪や交通事故の発生場所を分析するための取組を行っている。
さらに、愛知県警察においては、技術的知見を持つ民間企業に職員を派遣し、AI等の先端技術についての知見を深め、警察活動への先端技術の活用のために必要な知識・技術を習得させる取組を実施している。
警察庁においても、警察活動への先端技術の導入に向けた企画・立案を行っており、令和元年(2019年)度から、AI等を活用して、防犯カメラ映像等から車種の判別や不審点の抽出を行うほか、疑わしい取引に関する情報を分析する実証実験を実施することとしている。
(2) 監察の実施と苦情を活用した業務改革の推進
① 監察
警察では、その能率的な運営及び規律の保持に資するために、警察庁、管区警察局及び都道府県警察において、国家公安委員会が定める監察に関する規則に基づき、厳正な監察を実施している。
平成30年(2018年)度中、警察庁及び管区警察局においては、都道府県警察等に対して監察を実施し、組織的な健康管理施策の推進状況や高齢運転者対策の推進状況について指導するなど業務改善を図った。

② 苦情を活用した業務改革の推進
都道府県警察では、職員の職務執行に対する苦情に誠実に対応するとともに、個々の苦情やその傾向を踏まえた業務改善策を策定するなど、苦情を活用した組織的な業務改革を推進している。
(3)適正な予算執行の確保
警察では、適正な予算執行を確保するため、次のような取組を行っている。
① 警察が行う会計監査
国家公安委員会が定める会計の監査に関する規則に基づき、警察庁長官、警視総監、道府県警察本部長及び方面本部長は、監査手法に改善・工夫を加えながら、一層適正な会計経理を推進するため、会計監査を実施している。
平成30年度は、図表7-24のとおり、警察庁の会計監査実施計画を作成し、84部署を対象に会計書類の点検を行うとともに、捜査費の執行に直接携わった捜査員923人を含む2,233人に対して聞き取りを実施するなどした。

② 会計業務の改善に係る取組
警察庁では、会計業務の改善に関する各種取組を全庁を挙げて推進するため、関係職員から構成される「警察庁会計業務改善委員会」及び外部有識者から構成される「警察庁会計業務検討会議」を開催して、行政事業レビュー、調達改善の取組等を通じ、会計業務の改善に努めている。

監査における職員からの聞き取り