第6章 公安の維持

4 日本共産党の動向

(1)低迷する党勢拡大

日本共産党は、近年、党員と機関紙購読者の数がいずれも減少傾向にある中、平成24年1月、「2010年代に、全体として党勢の倍加に挑戦する」という目標を掲げており、平成30年6月には、同年9月までを「参議院選挙・統一地方選挙躍進 党勢拡大特別月間」とし、党勢拡大に集中的に取り組んだ。その結果、同月末までに4,355人が入党、機関紙購読者数が約1万人増加したことを公表したが、機関紙購読者数は、同年10月以降、再び減少した。同党は、機関紙の売上げを主要な収入源としているが、同年11月には、機関紙購読者数の減少及び経費の増大による採算の悪化を理由に、平成31年1月から機関紙「しんぶん赤旗」日曜版の購読料を823円から930円に値上げすると発表した。

 
図表6-3 日本共産党の党員数及び機関紙購読者数の推移
図表6-3 日本共産党の党員数及び機関紙購読者数の推移
Excel形式のファイルはこちら

(2)野党共闘

日本共産党は、国政選挙における選挙協力を中心とした野党共闘を推進し、野党連合政権の樹立を目指している。従来、国政選挙では全選挙区での候補者擁立を原則としていたが、平成27年に方針を転換し、第24回参議院議員通常選挙(平成28年7月10日施行)及び第48回衆議院議員総選挙(平成29年10月22日施行)では、野党統一候補の擁立を優先し、候補者を取り下げるなどした。

平成30年中も、協力が可能な野党とは、国会審議等において連携を図ったほか、沖縄県知事選挙等の地方選挙においては同一の候補者を支援した。令和元年の参議院議員通常選挙においても全ての1人区で野党統一候補擁立の実現を目指すこととしている。

(3)関係団体との連携

日本共産党は、若い世代の党員を獲得するため、原則として15歳から30歳までの者で構成される日本民主青年同盟(以下「民青」という。)の組織拡大を同党の「共同の事業」と位置付け、民青に対する援助を強めている。民青は、平成30年11月、第42回全国大会を開催し、平成29年12月の第41回大会以降に1,074人の同盟員及び533人の機関紙購読者を獲得したことを公表した。同大会には、同党から小池晃書記局長が出席し、同盟員の拡大に向けて「一層力を合わせたい」と呼び掛けた。

他方、日本共産党は、労働者への影響力の拡大に向け、同党の指導・援助により結成された全国労働組合総連合(以下「全労連」という。)との連携を図っている。平成30年1月、同党の小池書記局長は、全労連の年始行事である新春旗開きに出席し、「今年は何としても改憲を阻止する1年にしなければならない」、「改憲のたくらみを阻止することは、全労連、日本共産党の歴史的使命だ」などと訴え、憲法改正をめぐる問題における全労連との連携を強調した。また、全労連においても、同年7月の第29回定期大会において、憲法第9条の改正阻止の取組を強めることなどを内容とする運動方針を決定した。



前の項目に戻る     次の項目に進む