第4章 組織犯罪対策

2 マネー・ローンダリング関連事犯の検挙状況

マネー・ローンダリングとは、一般に犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為である。我が国では、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法において、マネー・ローンダリングが罪として規定されている。

マネー・ローンダリング事犯の検挙事件数は、図表4-21のとおりであり、平成30年中は511件(前年比150件(41.6%)増加)であった。前提犯罪(注)別にみると、主要なものとしては窃盗に係るものが191件、詐欺に係るものが162件、ヤミ金融事犯に係るものが28件となっている。

平成30年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙事件数のうち、暴力団構成員等が関与したものは65件で、全体の12.7%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが25件、窃盗及びヤミ金融事犯に係るものがそれぞれ7件、売春防止法違反に係るものが6件となっているが、その他にも賭博等に係るものなどがあり、暴力団が様々な犯罪から資金を獲得し、その資金についてマネー・ローンダリングを行っている実態がうかがわれる。

また、平成30年中における来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯は48件であった。

注:不法な収益を生み出す犯罪であって、その収益がマネー・ローンダリングの対象となるもの

 
図表4-21 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成21~30年)
図表4-21 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況の推移(平成21~30年)
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CASE

中国人の女(40)は、平成27年12月から29年6月にかけて、外国人に不法就労活動をさせたことによって得られた農作物等の販売代金合計約4,900万円を同女が管理する複数の他人名義の口座に振り込ませて隠匿した。平成30年1月、同女らを組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で逮捕した。

また、農作物等の販売代金を振り込ませていた他人名義の口座に滞留する犯罪収益等である貯金債権約550万円に対して、同法の規定に基づく起訴前の没収保全命令が発出されるとともに、同女が保有する預貯金債権約640万円に対して、同法に基づく追徴保全命令が発出された(茨城)。



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