特集 近年における犯罪情勢の推移と今後の展望

警察活動の最前線

犯罪情勢分析に全力投球


神奈川県警察本部生活安全部

生活安全総務課犯罪抑止対策室

関根 講平(せきね こうへい) 警部補

 
ピーガルくん リリポちゃん
ピーガルくん リリポちゃん

「県内の犯罪情勢を明らかにする!」それが私の業務です。

当県には、「神奈川版コムスタット」と呼ばれる独自の分析システムがあり、時間や地域、罪種等ごとに、コンピュータの画面上で犯罪発生傾向を視覚的に分析することができます。私は、その分析に基づき、犯罪の発生場所を予測し、警察署に情報提供を行うなどして、犯罪対策に活用しています。

コンピュータによる分析手法を取り入れた当初は、警察署員から「どうせ机上の空論だろ」などと揶揄(やゆ)され、犯罪情勢分析についての県警内の温度差に悩む日々もありました。しかし、警察署に巡回指導に赴いた際に「交番勤務員がコムスタットの分析に基づいた警ら活動中に職務質問を行ったら、自転車盗の犯人を検挙した」などという報告を聞くことが徐々に多くなり、自分が行っている業務は意義があるのだと改めて実感するとともに、犯罪情勢分析がより一層好きになっています。

私は、犯罪対策の方向性を見誤れば、見当違いの警察活動を行うこととなってしまい、県民の安全安心を守ることができないことから、犯罪情勢分析が犯罪対策を効率的に実施するための羅針盤だと考えています。「犯罪の増加の兆し」を早期に察知し、初期の段階から先制的に犯罪対策を図ることが重要です。

当県の警察職員全員が、犯罪情勢の分析結果を踏まえ、地域の犯罪情勢に即した効果的な犯罪対策を推進することができるよう、これからも犯罪情勢分析に全力投球していきます。

 
神奈川県警察本部生活安全部生活安全総務課犯罪抑止対策室 関根 講平(せきね こうへい) 警部補

被害者の安全確保のために


山梨県警察本部生活安全部

少年・女性安全対策課ストーカー・DV対策第三担当課長補佐

(現 山梨県鰍沢(かじかざわ)警察署交通課長)

矢崎 良幸(やざき よしゆき) 警部

 
ふじ君
ふじ君

人身安全関連事案は、その多くが地域住民の私生活に密着した事案であり、当初は、あたかも「日常的なトラブルの一つ」であるかのように申告される一方、事態がエスカレートすれば重大事案に発展するおそれがあるため、常に危険性や切迫性の判断を行っていかなければなりません。

例えば、「交際中の男性と別れるに当たりトラブルになっている」という相談を受け、相談者の女性が男性と距離を置こうとしていたものの、男性からの復縁の要求が収まらず、女性の自宅や職場に男性が押し掛けるようにもなったためストーカー規制法違反で男性を検挙した事案では、その後の捜査で、男性がインターネットで殺人の方法について検索をしていたことが判明し、「対応が遅れていれば取り返しのつかないことになっていた」と肝を冷やしたことがありました。日々発生する人身安全関連事案の中には、このような危険性や切迫性が潜んでいることがあるため、事案の一つ一つに緊張感を持って臨まなければならないと強く感じた事案でした。

人身の安全を確保するという業務は、決して容易な仕事ではありませんが、個人の生命、身体及び財産の保護という警察の責務の根幹に関するものであり、私は、これからも常に「被害者の安全確保のために」という強い気持ちを持って、仕事に取り組んでいきたいと思います。

 
山梨県警察本部生活安全部少年・女性安全対策課ストーカー・DV対策第三担当課長補佐(現 山梨県鰍沢(かじかざわ)警察署交通課長) 矢崎 良幸(やざき よしゆき) 警部

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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