特集 近年における犯罪情勢の推移と今後の展望

1 治安に関する国民の意識

(1)体感治安について

治安に関する世論調査(注)によれば、「あなたは、現在の日本が、治安がよく、安全で安心して暮らせる国だと思いますか」との問いに対して、「そう思う」又は「どちらかといえばそう思う」と答えた者は80.2%と、24年の59.7%から上昇した。また、「そう思わない」又は「どちらかといえばそう思わない」と答えた者は、18.9%と、同年の39.4%から低下した。

また、「あなたは、ここ10年間で日本の治安はよくなったと思いますか。それとも悪くなったと思いますか」との問いに対して、「よくなったと思う」又は「どちらかといえばよくなったと思う」と答えた者は35.5%と、24年の15.8%から上昇した。一方、「悪くなったと思う」又は「どちらかといえば悪くなったと思う」と答えた者は60.8%と、依然として相当の割合を占めている。

注:内閣府の調査で、平成29年9月に全国の18歳以上の日本国籍を有する者3,000人に対して実施されたもの(https://survey.gov-online.go.jp/tokubetu/h29/h29-chian.pdf)。また、内閣府は16年7月、18年12月及び24年7月に、全国の20歳以上の日本国籍を有する者3,000人に対して同様の調査を実施している。

 
図表特-34 治安に関する国民の意識の推移(平成16~29年)
図表特-34 治安に関する国民の意識の推移(平成16~29年)
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(2)国民が不安に感じる犯罪等について

治安に関する世論調査では、「あなたが、自分や身近な人が犯罪に遭うかもしれないと不安になる場所はどこですか」との問いに対して、「インターネット空間」と答えた者が61.1%で最も多かった。また、「あなたが、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪は何ですか」との問いに対して、「インターネットを利用した犯罪」と答えた者が60.7%と、平成16年と比較して大幅に上昇し、初めて最も多くなった。また、「振り込め詐欺や悪質商法などの詐欺」及び「ストーカー行為」についても、大幅に上昇している。

 
図表特-35  自分や身近な人が犯罪に遭うかもしれないと不安になる場所及び不安になる犯罪に関する調査結果の推移(平成16~29年)
図表特-35  自分や身近な人が犯罪に遭うかもしれないと不安になる場所及び不安になる犯罪に関する調査結果の推移(平成16~29年)
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また、同調査では、「あなたが、警察に特に力を入れて取り締まってほしい犯罪は何ですか」との問いに対して、「インターネットを利用した犯罪」が51.2%で最も多かったほか、「殺人、強盗などの凶悪な犯罪」が51.1%、「振り込め詐欺や悪質商法などの詐欺」が48.8%となっている。

 
図表特-36 警察に特に力を入れて取り締まってほしい犯罪に関する調査結果の推移(平成16~29年)
図表特-36 警察に特に力を入れて取り締まってほしい犯罪に関する調査結果の推移(平成16~29年)
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さらに、「あなたは、犯罪の取締り以外に、犯罪被害を防ぐために、警察が、今後、特に力を入れるべき活動として、どのようなものを望みますか」との問いに対しては、「制服警察官によるパトロール」(48.3%)、「街頭や施設等の公共の場所における防犯カメラの設置に対する支援」(45.3%)、「インターネット空間におけるパトロール(サイバーパトロール)」(42.4%)等が上位を占めている。特に、「インターネット空間におけるパトロール(サイバーパトロール)」については、16年と比較して大幅に上昇している。

 
図表特-37 警察が今後特に力を入れるべき活動に関する調査結果の推移(平成16年及び29年)
図表特-37 警察が今後特に力を入れるべき活動に関する調査結果の推移(平成16年及び29年)
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これらの調査結果から、刑法犯認知件数の減少が体感治安の改善につながっている一方で、新たな形態の犯罪、特に、近年増加しているインターネットを利用した犯罪、振り込め詐欺や悪質商法等の詐欺、ストーカー事案等に対する国民の不安が高まっており、警察に対してこうした犯罪への対策が求められていることがうかがわれる。



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