第7章 警察活動の支え

6 管区警察局・皇宮警察本部の活動

(1)管区警察局の活動

① 管区警察局の役割

警察庁には、その地方機関として7つの管区警察局、東京都警察情報通信部及び北海道警察情報通信部が設置されている。事務を能率的に処理するため、管区警察局は、警察庁の事務の一部を分担して所掌している。東京都と北海道の区域は、管区警察局の管轄外とされ、必要に応じ、警察庁が直接に指揮監督等を行う。

 
図表7-18 管区警察局の管轄区域
図表7-18 管区警察局の管轄区域
② 管区警察局の主な業務

管区警察局では、主として次のような業務を行っている。

ア 府県警察に対する監察

管区警察局の監察機能は、平成12年以降の警察改革の一環として、各管区警察局に総務監察部(注)を設置することにより強化されている。総務監察部門が管区内の府県警察に対する監察を実施することで、警察事務の能率的運営と規律の保持に努めている。

注:東北管区警察局、中部管区警察局、中国管区警察局及び四国管区警察局は総務監察・広域調整部を設置している。

イ 府県の枠を超えた広域調整、災害対応

広域的な対処を必要とする重要事件の合同捜査・共同捜査、高速道路における広域的な交通規制、交通取締り等の実施等に関し、府県警察に対する指導・調整を行っている。

また、一府県警察のみでは対処が困難な大規模災害の発生時には、被災状況等に関する情報の収集・分析に当たるとともに、警察災害派遣隊の派遣等に関する調整を行うことで、国としての危機管理機能を発揮している。

CASE

中部管区警察局は、富山県警察、石川県警察、福井県警察、道路管理者等と合同で、逆走事案、落下物に起因する交通事故及び危険物の流出事案の発生を想定した訓練を実施し、関係団体との連携を強化するとともに、交通街頭活動に従事する勤務員の技能と安全意識の向上を図った。

 
落下物に起因する交通事故の発生を想定した訓練
落下物に起因する交通事故の発生を想定した訓練
ウ 情報通信における全国警察の連携の確保、府県警察への技術支援

管区警察局情報通信部では、府県情報通信部と連携して、警察庁や都道府県警察を結ぶネットワークの整備、管理等を行い、全国警察の有機的連携の確保に努めている。

また、府県警察の行う捜索差押え等の現場に臨場し、記録媒体内の電磁的記録の損壊防止、コンピュータの設定状況等の確認、証拠となる電磁的記録の抽出等の技術支援を行っている。

エ 府県警察職員を対象とした教育訓練

管区警察局に附置された管区警察学校では、主として警部補及び巡査部長の階級にある府県警察の職員を対象とした昇任時教育、専門的教育等を実施している。

(2)皇宮警察本部の活動

警察庁に附置されている皇宮警察本部は、天皇陛下及び皇族方の護衛、皇居、御所等の警備等を行っている。

 
図表7-19 皇宮警察本部の活動地
図表7-19 皇宮警察本部の活動地
① 天皇及び皇族の護衛

天皇陛下及び皇族方の安全を確保するため、皇宮護衛官のうち、側衛官が、皇居、御所はもとより、国内外において御身辺の直近で護衛に当たっている。

平成29年中は、天皇皇后両陛下がベトナムを御訪問になった際等に、海外に側衛官を派遣し、御身辺の安全を確保した。

② 皇居、御所等の警備

皇居、赤坂御用地、各御用邸、京都御所、正倉院等の安全を確保するため、主に1都1府4県(注)において警戒警備活動を行っている。29年は、観光立国の実現に向けた政府の各種取組の一つとして、埼玉鴨(かも)場等の見学会に地域住民以外も参加できることとなったことから、これに必要な警戒警備を実施している。

注:栃木、東京、神奈川、静岡、京都及び奈良

 
図表7-20 護衛警備を実施した主な行事(平成29年)
図表7-20 護衛警備を実施した主な行事(平成29年)
 
天皇誕生日一般参賀に伴う護衛警備実施
天皇誕生日一般参賀に伴う護衛警備実施
③ 国賓等の護衛

国賓として来日した外国要人の皇居参内や、信任状等の捧呈に伴う特命全権大使の皇居参内に際して、騎馬、サイドカー等で護衛に当たっている。

MEMO 騎馬による護衛勤務

皇宮警察本部における特色ある護衛活動として、騎馬による護衛勤務がある。この勤務は、特別な被服「儀礼服」を着用し、儀容を整え、威儀を正して護衛する勤務であり、天皇陛下及び皇族方の特別な行事の際や、信任状等の捧呈に伴う特命全権大使の皇居参内の際に、儀装馬車の直近において、騎馬による護衛を行っている。

 
特命全権大使の皇居参内に伴う護衛活動
特命全権大使の皇居参内に伴う護衛活動


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