第6章 公安の維持と災害対策

警察活動の最前線

「ありがとう」を力に変えて


福岡県警察本部警備部第一機動隊(現 福岡県警察本部警備部G20サミット対策課受援係)

光永 智(みつなが とも) 警部補

 
ふっけい君
ふっけい君

私は、水難救助部隊の小隊長として、証拠品や行方不明者の潜水捜索等に従事するとともに、大規模災害が発生した際には、広域緊急援助隊の一員として人命救助活動等を行っていました。

平成29年7月5日、本県朝倉市において未曾有の豪雨災害が発生し、私は、発災直後の第一陣部隊の小隊長として出動指令を受け、災害現場に急行しました。

到着した現場では、一時間降水量が129ミリメートルという猛烈な雨が降り続き、土砂崩れや河川の氾濫等により家屋が倒壊するなど、周辺一帯の景色は見る影も無くなっていました。

災害警備本部から救助指令を受け、私の部隊が機動隊の特殊車両で冠水地域に向かったところ、多くの人々が濁流に流されまいとガードレールや電柱に必死に捕まり、私達に強く助けを求める光景が目に飛び込んできました。私は、即座に隊員たちと命綱をつなぎ、濁流の中で助けを求める人の下に救助に向かって、小学生を含む5人の方の尊い命を救うことができました。

その際、彼らから頂いた心からの「ありがとう」という言葉と安堵(ど)した表情は、今でも私の脳裏に鮮明に焼き付いており、私の警察官としての力の根源となっています。

私は、これからも、どんなに過酷な状況でも最善を尽くし、国民の安全を確保していきます。

 
福岡県警察本部警備部第一機動隊(現 福岡県警察本部警備部G20サミット対策課受援係) 光永 智(みつなが とも) 警部補

冬山での無線中継所の復旧作業


近畿管区警察局兵庫県情報通信部機動通信課機動通信第一係(現 警察庁情報通信局情報管理課)

川田 武志(かわた たけし) 技官

 
警視庁ロゴマーク

「山頂の無線中継所で停電発生。原因は不明。」

この連絡が入ったのは、平成29年1月の真冬のことでした。無線中継所には非常用発動発電機が整備されており、停電しても直ちに警察活動に影響を与えることはありません。しかし、非常用発動発電機の電源も喪失してしまうと、警察本部と警察署等を結ぶ無線が機能しなくなり、警察活動に重大な影響を与えるおそれがあったことから、停電の原因と状況の把握、復旧作業を行うため、すぐに無線中継所へ向かうこととなりました。

私は、普段は警察署等の無線機器の保守を担当していましたが、現地は大雪が降っており、無線中継所まで車で到達できないことが予想されたため、若くて体力のある私も中継所の復旧を担当する係に加わりました。

無線中継所へは当初車で向かいましたが、案の定、山の中腹の道路が雪に埋もれていたことから、残りの道は徒歩で登山をすることとなりました。途中、前進できなくなるほどの吹雪の中、約3時間半歩き続け、なんとか無線中継所にたどり着き、停電の原因は落雷によるものであることが判明したため、無線中継所の製造企業等の協力も得て、警察活動に影響を与えることなく、電源を復旧させることができました。

初めての吹雪の中での登山と無線中継所の復旧作業は、想像以上に厳しいものでしたが、警察活動に不可欠な無線を絶対に止めることはできないという思いがあったからこそ、業務を完遂することができました。

これからも、突然の事案に対応できるよう、日頃から技能や体力の向上を図り、警察活動に不可欠な情報通信業務に誇りを持って取り組んでいきたいと思います。

 
近畿管区警察局兵庫県情報通信部機動通信課機動通信第一係(現 警察庁情報通信局情報管理課) 川田 武志(かわた たけし) 技官

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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