第4章 組織犯罪対策

警察活動の最前線

暴力団対策を進める中で感じること


滋賀県警察本部刑事部組織犯罪対策課暴力団対策係

赤木 亮太(あかぎ りょうた) 警部補

 
けいたくん
けいたくん

「個人的な付き合いの何が悪いんですか?」これは、外形上暴力団と関係がないように装った後援会の参加費名目で、定期的に暴力団員から金銭を徴収されていた企業経営者の言葉です。

近年、暴力団は、警察の取締りの強化や暴排意識の高まりによって、ゆすり、たかり等の伝統的な資金獲得活動を行うことが難しくなった一方、資金を得るために様々な手法を用いて法の目をかいくぐろうとしています。

前述の事件では、暴力団員は、後援会において本来要する食事代等以上の金額を徴収する「差額みかじめ」と言われる方法を用いて資金を得ていました。

そうして暴力団員が得た資金は、所属する暴力団に上納されていた上、この暴力団員は、対立する暴力団に対し、拳銃発砲事件を起こすような凶悪な犯罪者でした。

その後、当該暴力団員を逮捕し、暴力団排除条例に基づく勧告を企業経営者にも実施する中で、当初は冒頭のように話していた企業経営者も、暴力団の本性を知り、「私たちのお金が拳銃を買う資金の一部だったかもしれないと思うと恐ろしいです」と考えを改めてくれました。暴力団を社会から排除するためには、こうした地域住民一人一人の意識の変化が大切であると思います。

暴力団を壊滅するためには、地域住民が自ら暴力団との関係を遮断することが必要不可欠であり、私は今後も、県民の理解と協力を得ながら、暴力団に立ち向かっていきます。

 
滋賀県警察本部刑事部組織犯罪対策課暴力団対策係 赤木 亮太(あかぎ りょうた) 警部補

自動車盗根絶に向けたヤード対策


茨城県警察本部生活安全部生活安全総務課安全安心まちづくり推進室ヤード対策第二係

亀田 安司(かめた やすし) 巡査部長

 
ひばりくん
ひばりくん

当県では、平成29年4月、全国で初めてヤードを悪用した自動車の盗難の防止を図ることを目的とする「茨城県ヤードにおける自動車の適正な取扱いの確保に関する条例」が施行され、当課にヤード対策班が設置されました。

私は日々、県内のヤードに赴き、ヤード条例等に基づいた立入りを実施しており、ヤードの管理者に対して指導・警告を行っているほか、悪質な違反に対しては積極的に事件化を図っています。

その中で最も印象に残っているのは、条例施行後に初めて条例違反で検挙した被疑者の捜査を担当したときのことです。当然ですが、ヤード条例違反の捜査は前例がなく、どのような捜査を行ったらよいのか、必要な捜査事項は何か等と悩み続けました。

しかし、綿密な裏付け捜査や証拠収集のほか、他の班員とお互いに知恵を出し合いながら意見交換を重ねたことで、立件に必要なポイントを発見し、無事に被疑者が起訴され捜査を終えることができました。また、この事件は、新聞・テレビ等で大きく報道されることとなりました。

ヤード対策は、外国人が関係者となることが多く、言葉の壁や文化の違い等、業務を進める上で困難な点が多々ありますが、今後とも県警が一丸となって悪質なヤードを取り締まり、自動車盗の根絶に向け全力を傾けていきたいと思います。

 
茨城県警察本部生活安全部生活安全総務課安全安心まちづくり推進室ヤード対策第二係 亀田 安司(かめた やすし) 巡査部長

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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