第3節 国民の生活を犯罪から守るための取組
1 刑法犯
(1)刑法犯による身体的被害の状況
刑法犯により死亡し、又は傷害を受けた者の数の推移は、図表2-22のとおりである。

(2)重要犯罪(注)の認知・検挙状況
重要犯罪の認知・検挙状況の推移は、図表2-23のとおりである。平成29年中の重要犯罪の認知件数は、ピーク時である15年の2万3,971件と比べ1万3,083件(54.6%)減少した。検挙率は、19年以降60%台で推移していたが、27年に70%を超え、29年中は80.3%であった。
注:殺人、強盗、強制性交等、強制わいせつ、放火、略取誘拐及び人身売買

① 殺人
殺人の認知・検挙状況の推移は、図表2-24のとおりである。殺人の認知件数は、15年以降減少傾向にあったが、29年中は920件と、前年より25件(2.8%)増加した。また、検挙率は、重要犯罪の他の罪種に比べ高い水準を維持している。殺人の解決事件(注)を除いた検挙件数を被疑者と被害者の関係別にみると、親族が418件(49.4%)と最も多く、このうち配偶者(内縁の者を含む。)が157件(37.6%)で最も多かった。
注:刑法犯として認知され、既に統計に計上されている事件であって、これを捜査した結果、刑事責任無能力者の行為であることなどの理由により犯罪が成立しないこと又は訴訟条件・処罰条件を欠くことが確認された事件



② 強盗
強盗の認知・検挙状況の推移は、図表2-27のとおりである。29年中の強盗の認知件数は、前年より減少し、ピーク時である15年の7,664件と比べ5,812件(75.8%)減少した。手口別の認知件数では、侵入強盗が588件で、強盗全体の31.7%を占め、このうち41.7%がコンビニ強盗であり、非侵入強盗は1,264件で、強盗全体の68.3%を占め、このうち39.9%が路上強盗であった。検挙率は、29年中は前年より1.6ポイント上昇するなど近年上昇傾向にある。



③ 強制性交等・強制わいせつ
強制性交等の認知・検挙状況の推移は、図表2-30のとおりである。
また、強制わいせつの認知・検挙状況の推移は、図表2-31のとおりである。


④ 放火
放火の認知・検挙状況の推移は、図表2-32のとおりである。放火の認知件数は、16年以降減少傾向にあるものの、29年中は959件と、前年より45件(4.9%)増加した。検挙率は、過去10年間では、おおむね70~80%の間で推移している。

⑤ 略取誘拐・人身売買
略取誘拐・人身売買の認知・検挙状況の推移は、図表2-33のとおりである。略取誘拐・人身売買の認知件数を被害者の男女別でみると、女性が被害者である割合は、29年中は84.9%であった。また、被害者の年齢層別でみると、13歳から19歳までの割合が近年増加傾向にあり、29年中は46.4%であった。検挙率は、18年以降おおむね90%前後で推移していたが、29年中は97.9%と、前年より9.7ポイント上昇した。
