5 管区警察局・皇宮警察本部の活動
(1)管区警察局の活動
① 管区警察局の役割
警察庁には、その地方機関として7つの管区警察局、東京都警察情報通信部及び北海道警察情報通信部が設置されている。事務を能率的に処理するため、管区警察局は、警察庁の事務の一部を分担して所掌している。東京都と北海道の区域は、管区警察局の管轄外とされ、必要に応じ、警察庁が直接に指揮監督等を行う。
② 管区警察局の主な業務
管区警察局では、主として次のような業務を行っている。
ア 府県警察に対する監察
管区警察局の監察機能は、平成12年以降の警察改革の一環として、各管区警察局に総務監察部(注)を設置することにより強化されている。総務監察部門が管区内の府県警察に対する監察を実施することで、警察事務の能率的運営と規律の保持に努めている。
イ 府県の枠を超えた広域調整、災害対応
広域的な対処を必要とする重要事件の合同捜査・共同捜査、高速道路における広域的な交通規制、交通取締りの実施等に関し、府県警察に対する指導・調整を行っている。
また、一府県警察のみでは対処が困難な大規模災害の発生時には、被災状況等に関する情報の収集・分析に当たるとともに、警察災害派遣隊の派遣等に関する調整を行うことで、国としての危機管理機能を発揮している。
事例
中国管区警察局は、四国管区警察局との合同で、山口県内の陸上自衛隊駐屯地施設において、自衛隊レンジャー隊員との共同による高度なレンジャー技術訓練を実施し、大規模災害時における知識及び技能の向上を図った。
航空機からの降下訓練
ウ 情報通信における全国警察の連携の確保、府県警察への技術支援
管区警察局情報通信部では、府県情報通信部と連携して、警察庁や都道府県警察を結ぶネットワークの整備、管理等を行い、全国警察の有機的連携の確保に努めている。
また、府県警察の行う捜索差押え等の現場に臨場し、コンピュータの設定状況等の確認、証拠となる電磁的記録の抽出等の技術支援を行っている。
エ 府県警察職員を対象とした教育訓練
管区警察局に附置された管区警察学校では、主として警部補及び巡査部長の階級にある府県警察の職員を対象とした昇任時教育、専門的教育等を実施している。
事例
四国管区警察局では、管区内各県警のパトカー勤務員等を対象として、「職務質問時における受傷事故防止訓練」を実施した。職務質問を受けた被疑者が自らが運転する車両を警察車両に衝突させて逃走しようとする想定の下、廃棄予定車両を使用して実際に車両同士を衝突させるなど実践的な訓練を行うことにより、訓練参加者は、車両を用い逃走を図る被疑者を、警察車両を効果的に活用し、安全に検挙する方法を体得した。
車両を使用した訓練
(2)皇宮警察本部の活動
警察庁に附置されている皇宮警察本部は、天皇陛下及び皇族方の護衛、皇居、御所の警備等を行っている。
① 天皇及び皇族の護衛
天皇陛下及び皇族方の安全を確保するため、護衛を担当する側衛官(注)が、皇居、御所等はもとより、国内外において御身辺の直近で護衛に当たっている。
平成27年中は、天皇皇后両陛下がパラオ国を御訪問になった際などに、海外に側衛官を派遣し、御身辺の安全を確保した。
② 皇居、御所等の警備
皇居、赤坂御用地、各御用邸、京都御所、正倉院等における安全を確保するため、1都1府4県(注)において警戒警備活動を行っている。27年は、26年に引き続き皇居乾通りの一般公開が行われたことから、護衛警備を実施した。
一般参賀に伴う護衛警備実施
③ 国賓等の護衛
国賓として来日した外国要人の皇居参内や、信任状等の捧呈に伴う特命全権大使・公使の皇居参内に際して、騎馬、サイドカー等で護衛に当たっている。