第7章 警察活動の支え

6 研究機関の活動

(1)警察政策研究センター

警察大学校に置かれている警察政策研究センターは、様々な治安上の課題に関する調査研究を進め、政策提言を行うとともに、警察と国内外の研究者等との交流の拠点として活動している。

① フォーラムの開催

関係機関・団体等と連携し、国内外の研究者・実務家を交えて社会安全等に関するフォーラムを開催している。

 
フォーラムの開催
フォーラムの開催
 
図表7-19 フォーラムの開催状況(平成27年度)
図表7-19 フォーラムの開催状況(平成27年度)
② 大学関係者との共同研究の推進

大学関係者と共同して研究活動を行っている。これまでに、例えば、慶應義塾大学大学院法学研究科との間で、テロ等の各種治安事象への対策を講ずるに当たり、憲法学的見地から、国民の自由と安全をいかにバランスよく保障していくかについて共同研究を行っている。

③ 大学・大学院における講義の実施

警察政策に関する研究の発展及び普及のため、東京大学公共政策大学院、一橋大学国際・公共政策大学院、早稲田大学法科大学院、中央大学法科大学院、首都大学東京都市教養学部、法政大学法学部等に職員を講師として派遣している。

 
大学・大学院での講義(首都大)
大学・大学院での講義(首都大)
④ 警察に関する国際的な学術交流

海外で開催される国際的な学術会議に参加し、日本警察に関する情報発信を行っている。また、韓国警察大学治安政策研究所、フランス高等治安・司法研究所、フランス・トゥールーズ第一社会科学大学警察学研究センター及びドイツ・フライブルク大学安全・社会センターとの間で協定を締結し、警察に関する国際的な学術交流を実施している。

事例

平成27年8月、タイ・パタヤで開催された第26回国際警察幹部シンポジウム年次総会に参加し、日本におけるストーカー対策の現状と課題について発表を行った。

 
国際的な学術交流の実施
国際的な学術交流の実施

事例

27年9月、協定を締結しているフランス・トゥールーズ第一社会科学大学教授の訪問を受け、日仏両国のテロ対策等について意見交換するなど協力関係を深めた。

事例

27年12月、公益財団法人日工組社会安全研究財団との共催により、都内において「サイバー空間の安全の確保に向けて」をテーマとするフォーラムを開催した。大学教授、警察庁職員等がパネリストとして参加し、活発に意見交換した。

(2)警察情報通信研究センター

警察大学校に置かれている警察情報通信研究センターでは、警察活動に関わる情報通信技術について研究しており、その成果は、犯罪捜査の効率化や警察における情報通信システムの整備に活用されている。

研究例 画像処理技術に関する研究

犯罪捜査等の効率化のため、防犯カメラ等に記録された低照度・低画質な画像の鮮明化技術、多数の画像から人物や車両等を識別し画像を効率的に解析する技術、画像から人物等を特定する識別技術等の画像処理に関する技術の研究を行っている。

 
画像の解析の状況
画像の解析の状況

(3)科学警察研究所

各分野の専門的知識・技術を有する研究員が、科学捜査、犯罪防止、交通事故防止等についての研究・開発を行うとともに、都道府県警察の鑑定技術職員に対する研修を行っている。

また、都道府県警察からの依頼により、事件、事故等に係る鑑定・検査を実施している。

研究例 DNA型鑑定の迅速化に関する研究

現在のDNA型検査法は、DNAの抽出、増幅及び分析の全ての工程を専門家が専用のクリーンルーム内において行う必要があり、機械の動作時間だけでも最低で約5時間を要している。これら一連の工程を一台の装置の中で行い、約90分でDNA型分析結果を得ることが可能な「全自動DNA型分析装置」について、当該装置により得られる分析結果等を現行のDNA型検査法によるものと比較し、その信頼性の検証を行っている。

 
全自動DNA型分析装置
全自動DNA型分析装置

研究例 爆発物の安全な処理に関する研究

爆弾テロにおいては、状況によってはイベント会場や大都市中心部など、人の多く集まる現場において爆発物の安全化処理を行わなくてはならないことも想定される。そのため、軽減剤を用いた安全な爆発物処理手法について効果検証を行うほか、その安全な処理のために必要な資機材の研究開発等を進めている。

 
軽減剤の効果検証
軽減剤の効果検証


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