第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

第4節 地域住民の安全安心確保のための取組

1 相談業務の充実強化

(1)相談取扱いの現状 

相談取扱件数の推移及び相談内容については、図表2-72から図表2-74までのとおりである。平成27年中の相談取扱件数は約200万9,980件と、前年より約9万6,000件(5.0%)増加し、22年以降、6年連続で増加している。主な相談内容としては、犯罪等による被害防止、家庭・職場・近隣関係、刑事事件に関するもの等が挙げられる。

 
図表2-72 相談取扱件数の推移(平成18~27年)
図表2-72 相談取扱件数の推移(平成18~27年)
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図表2-73 相談内容の内訳(平成27年)
図表2-73 相談内容の内訳(平成27年)
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図表2-74 主な相談内容とその推移(平成23~27年)
図表2-74 主な相談内容とその推移(平成23~27年)
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(2)相談受理体制

警察では、国民から寄せられた相談に対し、迅速・確実な組織対応を行うことができるよう、警視庁及び道府県警察本部並びに各警察署の総・警務部門にそれぞれ相談の総合窓口を設置している。

総合窓口には、警察職員のほか、経験豊富な元警察職員等の警察安全相談員としての配置を進めている。

また、警視庁及び道府県警察本部の総合窓口に全国統一番号の警察相談専用電話(「#(シャープ)9110」番(注))を設置し、電話をかければ発信地を管轄する警察本部等の総合窓口に接続されるようにしている。

注:携帯電話からも利用できる。なお、ダイヤル回線及び一部のIP電話では利用できないので、警察安全相談専用の一般加入電話番号を警察庁ウェブサイト等で広報している。
 
「♯(シャープ)9110」番の広報活動
「♯(シャープ)9110」番の広報活動

(3)相談内容に応じた適切な対応の推進

① 相談への組織的な対応

寄せられた相談に対しては、相談内容に応じて、関係する部署が連携して対応し、指導、助言、他の専門機関の教示、相手方への警告、検挙等、犯罪等の被害の発生の有無にかかわらず、相談者の不安等を解消するために必要な措置を講じている。

相談者等の生命又は身体に危害が及ぶおそれのあるもの等緊急の対応を要する相談事案を認知した場合には、直ちに幹部へ報告がなされる体制を構築するなど、組織的な対応を強化している。

② 相談に対応する職員への研修の実施

多種多様な相談に適切に対応できる職員を育成するため、都道府県警察では、相談に対応する職員に対し、各部門の業務担当者による事案ごとの相談受理・対応要領の講義や、様々な専門的知識を有する部外講師による講義のほか、ロールプレイング方式の相談対応訓練等、実務に直結する研修を実施している。

③ 関係機関・団体等との連携の推進

警察以外の機関・団体等で取り扱うことが望ましい相談や警察以外の機関・団体等との緊密な連携が必要な相談への適切な対応を図るため、関係機関・団体等との連絡会議を開催して意見交換を行うなど、関係機関・団体等との連携強化に努めている。

事例

平成26年9月、女性(30歳代)から、「通勤途中、知らない男から待ち伏せ等の行為をされて不安である」との相談を受けたため、通勤時間帯における警戒活動を実施し、つきまとい行為等をしていた男を特定した上、同男に対して指導警告を実施した。その後も、引き続き、警戒活動や相談者との面接等を行い、その不安の解消に努めた(広島)。

事例

27年11月、高齢の母親を心配する家族から「認知症である母親が一人暮らしをしているが、現金が春頃から顕著に減っている」との相談を受けた。玄関先に設置した防犯カメラ映像により、配達業者の男(34)が代金の釣銭を渡さなかったり、必要以上に代金を受け取ったりしている様子が確認されたことから、同月、同男を準詐欺罪で逮捕した(福島)。

コラム 認知症に係る行方不明者等への対策

平成27年中の認知症に係る行方不明者届の受理件数は1万2,208件であり、統計を取り始めた24年以降、増加を続けている。警察では、地域における認知症高齢者等の見守りネットワーク、自治体における認知症等によるはいかいの可能性がある者の事前登録制度等を活用し、関係機関等と緊密に連携した行方不明者発見活動を推進している。このほか、認知症による行方不明者等へのより適切な対応のため、認知症サポーター養成講座等の部外有識者による講習会等を通じて、認知症の特性や対応要領等について、職員の理解を深める取組を推進している。

 
認知症講習会
認知症講習会


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