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トピックスVI 「 交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する懇談会」について

警察では、国民の理解を求めながら交通事故抑止に資する交通指導取締りや最高速度規制等の取組を行っていきます。

平成25年12月、「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する懇談会」において「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する提言」が取りまとめられました。この提言では、最高速度規制や交通指導取締りの在り方についての今後の方向性が示されました。

(1)懇談会の開催

最高速度違反を始めとする交通違反の取締りは、交通事故の抑止のために行われるものです。しかし、交通指導取締りについて、その取締り場所が固定化し、交通事故抑止に効果のある取締りになっていないのではないかとの指摘もありました。

そこで、警察庁では、よりきめの細かい交通事故分析の結果に即して一層効果的な取締りを実現するとともに、交通指導取締りの前提となる最高速度規制等の在り方についても検討を進めていくことを目的として、平成25年8月から同年12月にかけて、国家公安委員会委員長が主催し、学識経験者、自動車評論家、交通弱者等関係団体の関係者等から構成される「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する懇談会」(以下「懇談会」という。)を開催しました。

 
懇談会の様子

懇談会の様子


(2)懇談会における検討

懇談会内には、取締りワーキンググループ及び速度規制等ワーキンググループが設けられ、両ワーキンググループにおける検討結果を懇談会の全委員が随時共有することにより、懇談会における議論の深化が図られました。

取締りワーキンググループでは、交通事故抑止に資する交通指導取締りの在り方と共に、取締りの必要性について国民に理解を求めるための方策について検討が行われました。

また、速度規制等ワーキンググループでは、平成21年及び22年に全面改正された新たな最高速度規制基準(注)により見直しを行った最高速度規制の影響等を検証し、その結果を踏まえ、効果的な最高速度規制の手法を始めとする交通事故抑止に資する交通管理手法について検討がなされました。

注:156頁参照

(3)「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する提言」

平成25年12月、懇談会において、「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する提言」(以下「提言」という。)が取りまとめられ、国家公安委員会委員長に提出されました。

提言では、懇談会委員の共通認識として、交通事故死者を減少させるためには、最高速度規制や交通指導取締りによる適切な速度管理が必要であるとの考えが示された上で、最高速度規制や交通指導取締りの在り方について、次のような今後の方向性が示されました。

 
国家公安委員会委員長への提言提出

国家公安委員会委員長への提言提出


① 交通事故抑止に資する最高速度規制の在り方

ア 一般道路及び生活道路について

一般道路の最高速度規制については、新たな最高速度規制基準に基づいたこれまでの見直しに一定の効果がみられることから、引き続き見直しを推進すべきであるとされました。また、規制速度が40キロメートル毎時及び50キロメートル毎時の路線を中心に、交通事故の発生状況等を勘案しつつ、実勢速度との乖離が大きい路線から優先的に見直しを行っていくべきであるとされました。さらに、生活道路については、「ゾーン30」(注)を始めとした、運転者にとって分かりやすい面的な最高速度規制を更に推進していくべきであるとされました。

注:158頁参照

イ 高速道路について

高速道路の最高速度規制については、設計速度が120キロメートル毎時で、かつ、片側3車線以上の高規格の高速道路等について、100キロメートル毎時を超える速度への規制速度の引き上げについて早急に検討を開始すべきであるとされました。ただし、その検討に当たっては、高齢運転者や初心運転者であっても安全な走行が可能かといった点について、安全面での調査・検証が必要であるとされました。

② 交通事故抑止に資する取締りの在り方

ア 交通事故の実態に応じた取締り場所等の選定について

より効果的な取締りを行うため、過去の交通事故の実態の分析結果に基づいて、取締りの場所や時間帯を選定し、これらを定期的に見直すという、「PDSAサイクル」をより一層機能させていく必要があるとされました。また、取締りをパトロール活動や街頭活動とバランスよく組み合わせることのほか、取締り機器の設置や違反車両の駐停車等に必要な空間の確保が困難な場所での取締りのために、新たな取締り機器の導入について研究が必要であるとされました。

 
PDSAサイクル

PDSAサイクル


イ 取締り管理の考え方の情報発信について

取締りの必要性について国民に理解を深めるための方策として、警察署等の単位で、路線別、時間別の最高速度違反に起因する交通事故の発生状況等を分析した上で、地域住民等からの要望等も踏まえ、最高速度違反の取締りを重点的に行う路線や時間帯を明らかにすることが必要であるとされました。また、最高速度違反の取締りに関する情報の公表に当たっては、何を目的とする取締りであるのかを分かりやすく伝えられるように、公表の手段や方法を工夫する必要があるとされました。

 
取締りの路線・場所の公表(兵庫県警察のウェブサイト)

取締りの路線・場所の公表(兵庫県警察のウェブサイト)


③ 今後の交通事故抑止対策において更に推進すべき事項

悪質・危険な交通違反の取締り及び暴走族に対する取締りの更なる強化、交通事故抑止に資する業務の適切な評価の実施等についても、更に推進すべきであるとされました。

 

警察では、提言を踏まえた各種施策の実施により、より交通事故抑止に資する取締りや最高速度規制等が実現できるよう取り組んでいます。


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