第3章 組織犯罪対策 

第3章 組織犯罪対策

第1節 暴力団対策

1 暴力団情勢

 暴力団は、近年、伝統的な資金獲得活動や民事介入暴力、行政対象暴力等に加え、その組織実態を隠蔽しながら、建設業、金融業、産業廃棄物処理業等や証券取引といった各種の事業活動へ進出して、企業活動を仮装したり、共生者(注1)を利用したりするなどして、一般社会での資金獲得活動を活発化させている。
 また、公共事業に介入して資金を獲得したり、各種公的給付制度等を悪用した詐欺事件等を多数敢行するなど、社会経済情勢の変化に応じた多種多様な資金獲得活動を行っている。
 さらに、繁華街や住宅街における拳銃を使用した凶悪な犯罪も後を絶たず、依然として社会にとって大きな脅威となっている。
 警察では、社会経済情勢の変化にも留意しつつ、暴力団犯罪の取締りの徹底、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴力団対策法」という。)の効果的な運用に加え、全ての都道府県で施行された暴力団排除条例の活用を始めとする社会が一体となった暴力団排除活動を推進している。

注1:暴力団に利益を供与することにより、暴力団の威力、情報力、資金力等を利用し自らの利益拡大を図る者をいう。

(1)暴力団構成員等の推移

 暴力団構成員及び準構成員(注2) (以下「暴力団構成員等」という。)の推移は、図3-1のとおりである。その総数は、平成8年から16年にかけて緩やかに増加してきたが、17年から減少している。
 山口組、住吉会及び稲川会の3団体の暴力団構成員等の数は、18年から減少しているが、総数に占める割合は7割以上に及んでおり、依然として寡占状態にある。中でも山口組の暴力団構成員等の数は暴力団構成員等の総数の44.1%(注3)を占めている。

注2:暴力団構成員以外の暴力団と関係を有する者であって、暴力団の威力を背景に暴力的不法行為等を行うおそれがあるもの、又は暴力団若しくは暴力団構成員に対し資金、武器等の供給を行うなど暴力団の維持若しくは運営に協力し、若しくは関与するものをいう。
注3:山口組の暴力団構成員の数は、全ての暴力団構成員の数の46.5%を占める。
 
図3-1 暴力団構成員等の推移(平成14~23年)
図3-1 暴力団構成員等の推移(平成14~23年)
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(2)山口組の情勢

 山口組は、その暴力団構成員等の数に加え、多くの暴力団と友誼(ぎ)関係(注1)等を構築することにより、大半の暴力団に影響を及ぼし得る地位を獲得しており、山口組による一極集中の勢力関係が生じている。その山口組の傘下組織の一つである弘道会は、山口組を事実上支配し、山口組を一層強大化させる原動力となっている(注2)

注1:他団体との間で、首領、幹部同士が擬制的血縁関係を結び、義兄弟になるなどして作り上げられる関係をいう。
注2:山口組・弘道会対策については2(3)参照

(3)暴力団の解散・壊滅

 平成23年中に解散・壊滅した暴力団の数は204組織、所属する暴力団構成員の数は1,485人であり、このうち山口組、住吉会及び稲川会の3団体の傘下組織の数は167組織(81.9%)、所属する暴力団構成員の数は1,250人(84.2%)である。

(4)暴力団の指定

 平成24年6月1日現在、暴力団対策法の規定に基づき21団体が指定暴力団として指定されており、23年中は、九州誠道会が2回目の指定を受けたほか、5団体(注3)が7回目の指定を受けた。

注3:三代目侠道会、太州会、八代目酒梅組、極東会及び二代目東組
 
表3-1 指定暴力団一覧表(21団体)
表3-1 指定暴力団一覧表(21団体)
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 第1節 暴力団対策

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