第4章 安全かつ快適な交通の確保

12 総合的な暴走族対策

(1)暴走族の実態と動向
 平成17年末現在、警察が把握している全国の暴走族構成員数は約1万5,000人と、前年より約3,800人減少し、最近では減少傾向にある。暴走族は、その形態により、爆音を伴う暴走等を集団で行う共同危険型と、山岳道路等でコーナリング等の運転技術を競う「ローリング族」、400メートルの直線区間の走行時間を競う「ゼロヨン族」等の違法競走型とに分けられる。
 また、元暴走族や暴走族が中心となって、暴走族風に改造した旧型の自動二輪車等を連ねて大規模な集団走行を行う「旧車會」を結成し、一般通行車両や周辺住民に迷惑を及ぼしている状況が各地でみられるようになっている。
 
 図4-26 共同危険型・違法競走型別暴走族構成員の状況(平成17年)
図4-26 共同危険型・違法競走型別暴走族構成員の状況(平成17年)

 
 違法行為を敢行する「旧車會」
写真 違法行為を敢行する旧車會

 暴走族に関する110番通報件数は、16年に昭和63年以来初めて10万件を下回り、平成17年は7万件台と減少しているが、依然として暴走族対策の強化を求める国民の要望は強い。
 暴走族の引き起こす犯罪は、道路交通関係法令違反のほか、刑法犯、薬物乱用等様々な罪種にわたっている。中には、暴走族同士の金属バット、鉄パイプ等を使用した対立抗争や脱会者等に対するリンチ事件、さらには、暴走族に関係のない者を巻き込んだ凶悪事件も発生している。また、一部には、上納金を納めるなど暴力団とのかかわりが深く、その予備軍的な存在となっている集団も確認されている。
 
 初日の出暴走に対する検問
写真 初日の出暴走に対する検問

(2)暴走族の取締りと解体
 警察では、交通部門、少年部門、地域部門等が連携しながら、平成16年11月に施行された改正道路交通法を活用した共同危険行為等の現場検挙に努めているほか、その他の道路交通法違反や番号表示義務違反等の道路運送車両法違反等の取締りを推進することにより、暴走族の解体や構成員の脱退を図っている。また、初日の出暴走等の大規模な集団暴走に対しては、機動隊を投入するなどしてその取締りを徹底している。
 
 表4-8 法令別検挙状況(平成17年)
表4-8 法令別検挙状況(平成17年)
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事例
 17年2月、約100キロメートル毎時の速度で普通乗用車2台を並進させるなどした「ローリング族」である暴走族の構成員8人を道路交通法違反(共同危険行為等)で検挙した(大阪)。

(3)関係機関等と連携した諸対策の推進
 最近の暴走族の実態や、これに対する国民の取締り要望の強さを踏まえ、警察では、関係機関、学校関係者、保護司等と協力して、次のような対策を推進している。
 ・ 警察庁等暴走族対策関係8省庁申合せ「暴走族対策の強化について」(平成13年2月)や暴走族への加入防止等施策検討懇談会による提言(同年11月)等に基づき、関係機関・団体と協力し、地域における暴走族追放気運の高揚、暴走族に対する指導取締りの強化、青少年に対する指導の充実等総合的な暴走族対策を実施している。
 ・ 地方公共団体における暴走族根絶条例の制定及び運用に協力している(17年末現在、22道府県176市町村において制定)。
 ・ 地方運輸局等と協力して、改正道路運送車両法(15年4月施行)による不正改造の検挙等を強化している。
 ・ 学校関係者と協力し、中学校・高校において暴走族加入阻止教室を開催している。
 ・ 検挙した暴走族の構成員に対して、家庭、 学校、保護司、民間ボランティア等と協力して、暴走族から離脱させる措置を推進するなど再犯の防止に努めている。
 
 暴走族追放キャンペーン
写真 暴走族追放キャンペーン

 12 総合的な暴走族対策

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