第4章 安全かつ快適な交通の確保 |
コラム1 新たな違法駐車対策法制による駐車対策の推進
違法駐車の大半は、運転者が車両を離れているため、違反者を特定することが困難であるという問題があるほか、現下の厳しい治安情勢の下、大量の違反に見合うだけの警察力を違法駐車の取締りに振り向けられず、その結果、不出頭者を十分に捕捉できず、違法駐車を十分に抑止できていなかった。そこで、良好な駐車秩序の確立と警察力の合理的再配分を目的として、16年に道路交通法の一部が改正され、18年6月1日から新たな違法駐車対策法制が施行された。その概要等は、次のとおりである。 ・ 放置違反金制度の導入 都道府県公安委員会は、放置車両(注)であると確認され、標章を取り付けられた車両の運転者が反則金を納付しない場合等には、その車両の使用者(通常、自動車検査証上の使用者であり、多くの場合は所有者と一致する。)に反則金と同額の放置違反金の納付を命ずることができるようになった。また、都道府県公安委員会は、放置違反金納付命令を繰り返し受けた常習違反者に、一定期間当該車両の使用を制限する命令を発することができるようになった。
注:違法駐車と認められる場合における車両であって、その運転者がこれを離れて直ちに運転することができない状態にあるもの
・ 放置車両の確認と標章の取付けに関する事務の民間委託 警察署長は、放置車両の確認と標章の取付けに関する事務(確認事務)を、都道府県公安委員会の登録を受けた法人に委託することができるようになった。委託を受けた法人は、あらかじめ講習の課程を修了するなどして資格者証の交付を受けた者から選任した駐車監視員に放置車両の確認と標章の取付けを行わせることができるようになった。駐車監視員は、地域住民の意見・要望等を踏まえて策定・公表されたガイドラインの定める場所・時間帯を重点に活動する。 なお、1台1台の駐車は短時間でも、そのような駐車が横行すれば、交通の大きな妨げとなるほか事故の原因ともなるため、放置車両については、駐車時間の長短にかかわらず、標章を取り付けることとした。 ・ 車検拒否制度の導入 放置違反金を滞納して都道府県公安委員会から督促を受けた者は、滞納処分による強制徴収の対象となるほか、放置違反金を納付しない場合には、新たに自動車検査証を受けることができないようになった。 ・ 駐車規制の見直し 新たな駐車法制の円滑な施行のため、時間的視点及び場所的視点の両面から、駐車規制の計画的かつ集中的な見直しを実施し、16年1月から18年5月末までに全国で約24,600区間、約19,600キロメートルの駐車規制を解除又は緩和した。 ・ 駐車監視員活動ガイドラインの策定・公表 確認事務を民間委託する警察署では、管内の駐車実態、地域住民等の意見・要望を踏まえ、駐車監視員が重点的に活動する場所、時間帯を定めた駐車監視員活動ガイドラインを策定・公表した。これに基づき、公平かつメリハリを付けた違法駐車取締りを推進している。 ・ 施行状況 施行当初、確認事務は、全国270警察署において74法人に委託され、約1,600人の駐車監視員が活動している。18年6月末までに警察庁に報告された標章取付け件数は154,125件であり、違法駐車が抑止された結果、例えば、東京都内の主要な10路線(約32.1km)における渋滞長が約34.5%減少するなどの効果が生じている。 |
コラム2 自動車保有関係手続のワンストップサービス化
警察では、保管場所証明、自動車の検査・登録、自動車諸税の納付等の自動車の保有に必要な手続を、自宅や職場等からインターネットを利用して一括して行うことができる自動車保有関係手続のワンストップサービス・システムの全国的な整備を関係機関・団体と連携し推進している。18年6月現在、東京都、埼玉県、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府の6都府県において、新車(軽自動車を除く型式指定車(注))の新規登録について同システムの運用が行われている。
注:自動車の安全性の増進及び自動車による公害の防止その他の環境の保全を図るため、道路運送車両法第75条第1項の規定に基づいて国土交通大臣が型式を指定した自動車
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13 総合的な駐車対策による都市の再生 |
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