第3章 組織犯罪対策 

4 銃器情勢

 平成17年中の銃器情勢は、銃器発砲事件の発生件数やけん銃を使用した強盗その他の事件の認知件数が過去最少となったものの、一般市民に被害が及ぶ凶悪事件は後を絶たず、依然として厳しい状況にある。

(1)銃器発砲事件の発生状況
 平成17年中の銃器発砲事件は76件(前年比28件減)、それによる死者数は10人(前年比7人減)、負傷者は12人(前年比9人減)と、いずれも過去最少であった。このうち、暴力団等によるとみられるものは51件(前年比34件減)と、全発砲事件の67.1%を占めた。また、全発砲事件のうち7件は、エアガン(注)を改造したものによるものであった。
 さらに、暴力団等によるとみられる発砲事件が発生した際、現場付近を通り掛かった通行人や運転者をも巻き込んで負傷させる事例もみられた。

注:圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有するが、人の生命に危険を及ぼし得る威力を有しないもの


 
 図3-7 都道府県別銃器発砲事件の発生状況(平成17年)
図3-7 都道府県別銃器発砲事件の発生状況(平成17年)

事例1
 無職の男(25)ら2人は、17年9月、高速道路を走行中の車内から改造したエアガンを発射して走行中の他の車両のフロントガラス等を損壊させた。同年10月、器物損壊罪等で逮捕した(大阪)。

事例2
 山口組傘下組織幹部(36)ら3人は、17年10月、自らの乗用車によって山口組傘下組織元構成員が運転する乗用車の進路をふさぎ、降車した同人に対してけん銃を発射して胸部等を負傷させた。その際、付近を通り掛かった男性をも巻き込んで負傷させた。同月、殺人未遂罪等で逮捕した(和歌山)。

 
 図3-8 銃器発砲事件の発生状況と死傷者数の推移(平成8~17年)
図3-8 銃器発砲事件の発生状況と死傷者数の推移(平成8~17年)
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(2)けん銃を使用した事件の認知状況
 平成17年中のけん銃(けん銃様のもの(注)を含む。)を使用した事件の認知件数は200件(前年比77件減)で、過去10年間では最少となった。
 罪種別では、殺人(21件、前年比15件減)、強盗(91件、前年比35件減)が、いずれも前年より減少した。

注:けん銃らしきものを突き付け、見せるなどして犯行に及んだ事件において、被害者、参考人等の供述等により、けん銃と推定されるもの


 
 発砲被害の痕跡
写真 発砲被害の痕跡

 
 図3-9 けん銃使用事件の認知件数の推移(平成8~17年)
図3-9 けん銃使用事件の認知件数の推移(平成8~17年)
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事例1
 無職の男(54)ら2人は、17年1月、家電量販店駐車場において、売上金を搬送中の警備員2人に向けてけん銃を発射した上、現金約870万円を奪い、逃走した。同年5月、強盗罪等で逮捕した(千葉)。

事例2
 17年6月、郵便局前の路上において、郵便局長が帰宅するため乗用車に乗り込もうとしたところ、男が郵便局長にけん銃を突き付けてその乗用車に乗り込み、発進するよう強要した。その後、郵便局長が男のすきを見て車外に逃げ出した際、男はその後方からけん銃を発射し、その後、車内にあった鞄を奪い、逃走した。18年6月現在、捜査中である(京都)。

 第3節 薬物銃器対策

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