第1章 安全・安心なインターネット社会を目指して

(4)安全・安心なインターネット社会を目指して

 情報通信技術を利用したシステムは、サイバー空間におけるコミュニティの形成や知的生産を促進する機能を有するに至り、個人や組織の社会・経済活動に深くかかわるようになった反面、様々な違法・有害情報がインターネット上にあふれ、昨今の携帯電話の普及により少年が違法・有害情報に容易にアクセスできる状態が放置されるなど、システムが生み出す弊害も露呈している。また、新たな技術を悪用した犯罪が多発し、さらには我が国の社会・経済活動の基盤をも揺るがしかねないサイバーテロの脅威も現実のものとなっている。
 情報通信ネットワークに関する様々な脅威から国民・社会を守り、安全に、かつ、安心して情報通信技術を利用できる環境を整備することは、現下の我が国の重要な課題であり、警察にとっても重要な責務である。警察では、現在、インターネット上に氾濫する違法・有害情報の悪影響から国民生活を守り、サイバー犯罪に立ち向かい、そしてサイバーテロの脅威から社会を守るための取組みを進めている。
 しかしながら、サイバー空間及びそれと一体化した現実社会の安全は、警察の力だけで確保できるものではない。産業界、学界、関係機関・団体はもとより、インターネットを利用する組織や個人と警察が連携を強化し、力を合わせて対策を進めることが必要である。そして、更にこれを効果あるものとするためには、何より、インターネット社会のもたらす利便性を享受するだけでなく、違法・有害情報の氾濫等、その負の側面をも正しく認識し、事業者、保護者を始めとしたインターネットにかかわるすべての者が果たすべき役割を自ら果たさなければならない。このように、インターネットにかかわる広範な人々が、現状の問題について認識を共有し、新たな時代に対応した規範を形成し、そしてそれを行動に結び付けていくとき、安全・安心なインターネット社会は、初めて実現するのではなかろうか。
 サイバー空間と現実社会の安全のため、多くの方々と共に、警察は今後も全力を尽くしていく決意である。今回の特集が、一人一人の方により良いインターネット社会について考えていただく契機となれば幸いである。

 第3節 今後の課題

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