(1) 自動車交通の発展と道路交通法の制定
戦後の経済成長に伴う自動車の急速な普及を背景に、交通事故死者数は20年代後半から著しい増加傾向を示した。これに対応するため、35年に道路交通取締法が廃止され、新たに道路交通法が制定された。この法律は、取締りの根拠法にとどまらず、すべての者が安全に道路を通行するために遵守すべき道路交通の基本法たる性格を有するものである。その後、同法は、高速道路における自動車の交通方法の特例の新設(38年)、道路交通に関する条約への加入に伴う国際運転免許証等に係る制度の導入(39年)等の改正が行われ、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(35年)、自動車の保管場所の確保等に関する法律(37年)等の関連法令も順次整備された。
また、全国的に交通の安全と円滑を図るため、交通警察の体制も順次強化された。警察庁保安局交通課の新設(33年)、交通企画課及び交通指導課の新設(36年)を経て、37年に警察庁交通局が設置されるとともに、全国的な幹線道路における交通規制について国の責任や都道府県警察相互間の関係を整理する法令の改正が措置された(33、38年)。
交通渋滞と交通違反の取締り