第3章 犯罪情勢と捜査活動 

(2)企業犯罪

 平成14年中の企業犯罪については,会社役員らによる詐欺事件,会社更生法違反事件,破産法違反事件,商法違反(特別背任)事件等を検挙している。

事例1
 食肉製品製造販売会社役員(61)らは,共謀の上,BSE(いわゆる狂牛病)対策として政府が実施する国産牛肉の買い上げ事業に関し,13年11月ころ,同事業の実施主体である協同組合に対し,同事業の対象でない輸入牛肉を含む合計約280トンの牛肉がすべて同事業の対象である国産牛肉であるかのように装って,買入方を申し込み,14年1月ころ,同組合から売買代金の一部として,約1億9,600万円の振込入金を受けた。5月,詐欺罪で検挙した(兵庫,北海道,警視庁,埼玉)。

事例2
 造船会社社長(63)らは,事業主等が行う職業訓練に対して県が助成・援助する生涯能力開発給付金制度を利用し,同社が給付金の支給要件に適合する職業訓練を実施したかのように装い,県に対し,職業訓練を実施した旨記載された給付金支給申請書を提出した上,申請内容等の調査に訪れた県の担当者に対し,訓練を実施した旨の虚偽の事実を申し向けるなどして,その旨誤信させて給付金の支給を決定させ,12年12月及び13年12月ころ,数回にわたり総額約3億7,700万円の振込入金を受けた。14年6月,詐欺罪で検挙した(長崎)。

 

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