第3章 犯罪情勢と捜査活動 

(1)金融・不良債権関連事犯

 平成14年中の金融・不良債権関連事犯の検挙事件数は,173件(75件(注))で,前年に比べ29件(26件)減少した。内訳をみると,融資過程における詐欺,背任事件等の検挙が25件(9件),債権回収過程において民事執行を妨害するなどした競売入札妨害,公正証書原本不実記載事件等の検挙が73件(63件),その他の金融機関役職員による詐欺,背任事件等の検挙が75件(3件)となっている(図3-17)。


(注)( )内は,暴力団,暴力団構成員,準構成員,総会屋等及び社会運動等標ぼうゴロに係る金融・不良債権関連事犯の検挙事件数を示す。

 
図3-17 金融・不良債権関連事犯の検挙状況(平成7~14年)

図3-17 金融・不良債権関連事犯の検挙状況(平成7~14年)
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事例1
 信用組合会長(84)らは,共謀の上,自己及び同会長が実質支配するゴルフ場経営会社の利益を図り,同信用組合に損害を加える目的をもって,同組合の任務に背き,同社が実質的に経営破綻に陥っていた上,有効な担保余力のある資産を保有していないことを知りながら,十分な担保を徴求しないなど貸付金を安全確実に回収するための適切な措置を講ずることもなく,9年9月から11年3月までの間,数十回にわたり,同社に対し総額約51億円の貸付けを実行し,同信用組合に同額の財産上の損害を加えた。14年1月,背任罪で検挙した(大阪)。

事例2
 信用金庫理事長(74)らは,共謀の上,自己の利益を図り,同信用金庫に損害を加える目的をもって,同信用金庫の任務に背き,同理事長に対する既存の貸付けについて担保が大幅に不足しており,新たに貸付けを行えばその回収が困難になることを十分認識しながら,担保を徴求しないなど,その回収を確実にするための万全の措置を講じないまま,12年10月から13年8月までの間,十数回にわたり,同理事長に対し総額約1億3,400万円の貸付けを実行し,同信用金庫に同額の財産上の損害を加えた。14年11月,背任罪で検挙した(大阪)。

 

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