第3章 犯罪情勢と捜査活動 

金融・不良債権関連事犯と企業犯罪

 バブル経済崩壊後の長引く不況と不良債権処理の加速化に伴い,数多くの企業が経営破綻(たん)に至ったが,破綻に至る過程又は破綻処理の過程における企業経営陣による経済取引の健全性・公正性を大きく害する不正事犯が顕在化している。このような経済活動に伴う犯罪では,その背景,動機,実行行為等を明らかにするため,伝票,帳簿類等の客観的な資料に基づいて企業等の財務の実態を解明すること(財務捜査)が必要不可欠であることから,警察庁では,各都道府県警察に高度な機能を備えた財務解析機器を整備しているほか,平成15年4月に設置した警察大学校財務捜査研修センターにおいて,全国の捜査員を対象に,簿記等の財務捜査に必要な知識や効果的な財務捜査手法等に関する研修を行うとともに,最新の企業会計制度等に即した財務捜査手法等の調査研究を行っている。また,都道府県警察においても,公認会計士等の資格を有する者を財務捜査官として採用するなどの体制強化に努めている。

 
財務捜査の研修風景

財務捜査の研修風景

 

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