オ 国際的な連携の強化
(ア)外国捜査機関との協力
国際犯罪の増加に伴って,外国捜査機関に対する各種照会や証拠資料の収集の依頼等を行うことが一層重要となり,従来に増してICPOルートや外交ルート等による外国捜査機関との情報交換を始めとした相互協力の必要性が高まっており,国際的な捜査協力は,国際組織犯罪の摘発に大きく貢献している。
過去10年間に警察庁が行った国際犯罪に関する情報の発信・受信件数は,表1-18のとおりであり,14年は5年と比べて2.1倍となっている。また,外国からの要請に基づき捜査共助を実施した件数及び外国に対して捜査共助を要請した件数は,表1-19及び表1-20のとおりであり,その大半はICPOルートによるものであるが,外国に対して捜査共助を要請した件数は,10年以降大幅に増加しており,14年は5年と比べて2.7倍となっている。
表1-18 国際犯罪に関する情報の発信・受信件数の推移(平成5~14年)
表1-19 外国からの要請に基づき捜査共助を実施した件数の推移(平成5~14年)
表1-20 外国に対して捜査共助を要請した件数の推移(平成5~14年)
事例
我が国において台湾人が自動車窃盗を敢行し,被害自動車をそのまま又は解体して台湾に輸出していた組織的高級自動車窃盗事件について,2002年(14年)6月以降,ICPOルートを通じて台湾警政署と相互に捜査共助を実施した結果,既に我が国で窃盗罪で検挙していた台湾人4人に関する裏付け捜査を遂げた一方,台湾警政署では,我が国側が提供した情報に基づいて,被害自動車を台湾で販売していた台湾側首謀者を検挙し,多数の被害自動車を押収,その一部が被害者に返還されるに至った(兵庫)。
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(イ)国際刑事警察機構(ICPO-Interpol)との協力
ICPOは,国際犯罪捜査に関する情報交換,犯人逮捕と引渡しに関する円滑な協力の確保等の国際的な捜査協力を迅速かつ的確に行うための各国の警察機関を構成員とする国際機関であり,2002年(14年)末現在,181か国・地域が加盟している。
ICPOにおいては,各種の国際組織犯罪に関連する会合を開催しており,警察庁からもこれらの会合に積極的に参加している。
このほか,警察庁では,捜査協力の積極的実施,事務総局への警察職員の派遣,分担金の拠出等により,ICPOの活動に貢献している。
ICPO本部外観
図1-73 ICPOの組織
(ウ)国際会議への出席
国境を越えて引き起こされる国際犯罪に対処するためには,国際的な捜査協力が不可欠であることから,近年,サミット等の国際協議の場においても国際犯罪対策が重要なテーマとなっている。
警察では,犯罪の国際化に伴い,その防止,捜査及び検挙に向けて関係諸国との協議を行っている。2002年(14年)中に警察職員が出席した主な国際会議は,表1-21のとおりである。
表1-21 警察職員が出席した主な国際会議