第1章 組織犯罪との闘い 

(9)台湾

 台湾では,勢力を後ろ盾とし市民に威圧を与えたり,他人の生命,身体,自由,財産に危害を及ぼすなど社会秩序を破壊する者を流氓と呼んでおり,これら不良行為者によって構成された組織が各種犯罪を行っている。これら組織は合法的な企業の形態を装って活動することも多いが,実際には,各業種の正常な運営や金融市場に介入したり,政府の公共事業に介入し,内外の投資や公共事業の質に悪影響を与え,経済に重大な影響を及ぼしており,その形態の一部には我が国の暴力団と共通する性質もみられる。また,犯罪組織は選挙にも介入して不良行為者を当選させることにより,不当な利益を貪るとともに警察の取締りにも影響力を行使しようとしている。
 警察は,犯罪組織がけん銃,麻薬,暴力行為等の不法行為で社会に不安を及ぼすことを防止するため,「組織犯罪防制条例」や「検粛流氓条例」を活用して証拠収集活動や取締りを強力に行っており,特に,悪名高い犯罪組織の首領や犯罪組織の背後に身を隠している黒幕等に焦点を当てた捜査班を編成し,法執行を強化している。また,不良行為者の選挙への介入を抑制するために,立法機関との協調を強化することにより,不良行為者の参政資格を制限するなど,犯罪者の政治への参加障壁を高めている。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む