1 情報収集・分析と捜査の徹底等
テロを未然に防止するためには、幅広い情報を収集し、それを的確に分析して諸対策に活用することが不可欠です。また、テロは極めて秘匿性の高い行為であり、収集される関連情報のほとんどは断片的なものであることから、情報の蓄積と総合的な分析が求められます。
警察では、「米国同時多発テロ事件」以降、外国治安情報機関等との連携を一層緊密化し、テロ関連情報の収集・分析活動を強化しています。2004年(16年)4月には、警察庁警備局に外事情報部を設置するとともに、従来外事課に置かれていた国際テロ対策室を国際テロリズム対策課に発展的に改組し、2005年(17年)4月には、同課に国際テロリズム情報官を設置するなど、体制の強化にも努めています。
また、警察は、収集した情報の総合的な分析結果を活用し、不審点の徹底解明、伏在するテロ関連事案等の剔抉(てっけつ)検挙を推進しています。
2 水際対策の強化
テロリストの入国を防ぐためには、国際空港・港湾で、出入国審査、輸出入貨物の検査等の水際対策を的確に推進することが極めて重要です。このため、現場における関係機関の連携強化を図り、政府一体となった危機管理を実現するため、2004年(16年)1月、政府に空港・港湾水際危機管理チームを、同年3月までに、国際空港・港湾に危機管理官等を置きました。これらの空港・港湾のすべてに、都道府県警察の警察官が危機管理官、副担当官等として配置されており、これらを中心に、関係機関が連携して、警備の改善、テロ事件を想定した訓練の実施等に取り組み、水際対策の強化に努めています。
また、2004年(16年)6月には、バイオメトリクス(生体情報)を活用した出入国管理の推進を図るためのワーキングチームが、2005年(17年)7月には外国人の在留管理に関する施策を検討するためのワーキングチームが、それぞれ犯罪対策閣僚会議幹事会の下に設置されました。警察庁においては、これらと連携を図りつつ、制度的、技術的な検討を行っています。
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成田空港における警戒活動(千葉) |
3 重要施設の警戒警備
警察では、組織の総合力を発揮して、テロ関連情報を収集・分析するとともに、情勢に応じた警備計画を立案し、効果的かつ効率的な警戒警備を実施するなど、テロの未然防止に万全を期しています。
「米国同時多発テロ事件」以降、厳しい国際テロ情勢を踏まえ、総理大臣官邸、原子力発電所、空港等の我が国重要施設や米国関連施設等の警戒警備を強化しています。また、2005年(17年)7月の「英国・ロンドンにおける同時多発テロ事件」の発生に際しては、鉄道等公共交通機関に対する警戒の徹底を図るなど、情勢に応じた的確な警戒警備を実施しています。
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総理大臣官邸の警戒警備状況 |
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