目次]  [戻る]  [次へ

5 経済的な問題

(1) 加害者からの損害回復に関する支援

○ 弁護士費用に関する相談

【相談先整理番号43】

日本司法支援センターが相談に応じており,経済的に余裕のない方に民事訴訟などにおける弁護士費用などを立て替える民事法律扶助業務を行っている(【施策番号1】参照)。

また,民事法律扶助制度などではカバーされない方に対しては,日本弁護士連合会から委託を受けて法律援助に関する業務を行っている。この委託業務は,人権救済の観点から弁護士費用の援助を行うもので,生命,身体,自由又は性的自由に対する犯罪,配偶者等からの暴力(DV),ストーカー行為などによる被害を受けた方などに係る告訴・告発,法廷傍聴付添い,刑事手続における和解の交渉,加害者との対話,マスコミ対応,犯罪被害者等給付金申請などを援助する「犯罪被害者法律援助」や,虐待やいじめなどを受けた子どもに係る行政手続や訴訟の代理活動を援助する「子どもに対する法律援助」などがある。

  • 地方事務所(全国各都道府県50か所)
    (http://www.houterasu.or.jp/chihoujimusho/)
  • 犯罪被害者支援ダイヤル
    (0570-079714「なくことないよ」)

○ 損害賠償命令制度・刑事和解制度等の手続に関する相談

【相談先整理番号44】

事件を担当している裁判所において,損害賠償命令制度(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律に基づき,刑事事件を担当した地方裁判所が,有罪の言渡しをした後,引き続き損害賠償請求についての審理も行い,加害者に損害の賠償を命じることができるという制度)や刑事和解制度(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律に基づき,被告人と犯罪被害者等との間において,被告事件に関連する民事上の争いについて合意が成立した場合には,当該被告事件の係属する裁判所に対し,共同して当該合意の公判調書への記載を求める申立てをすることができ,その合意が公判調書に記載されたときは,その記載が,裁判上の和解と同一の効力を有する制度。これにより,犯罪被害者等は,被告人から債務の履行がない場合に,別途民事訴訟を提起することなく,当該公判調書により強制執行の手続をとることができる。)の申立てを受け付けている。手続に関する相談は,検察庁の被害者ホットラインで応じている(【施策番号4】【施策番号5】参照)。

また,事件を担当する検察官と裁判所では,これら手続の利用を希望する者に対する説明を行っている。

損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度の概要
刑事和解制度

また,犯罪被害財産支給制度(犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律に基づき,組織的な詐欺罪などの財産犯等の犯罪行為により犯人が得た財産を犯人からはく奪した場合には,それを金銭化して,当該事件の被害者等に被害回復給付金として支給する制度)を利用できるかどうか確認したいときは,最寄りの検察庁の被害者ホットラインが相談に応じている(検察官が支給対象者がいることを把握している場合は,それら支給対象者には個別に通知を行う。手続の開始は官報及び検察庁ホームページ(http://www.kensatsu.go.jp/higaikaihuku/)に掲載される)(【施策番号4】参照)。

被害回復給付金支給制度
  • 事件を担当する裁判所
    (http://www.courts.go.jp/map.html)
  • 事件を担当する検察官
  • 被害者ホットライン(http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-9.html)

○ 損害賠償請求等に関する法律相談

【相談先整理番号45】

損害賠償請求(損害賠償命令を含む)のほか,告訴・告発,捜査機関との交渉,記録閲覧,被害者参加,公判手続への関与等について,各都道府県の弁護士会の犯罪被害者法律相談窓口が応じている(無料の場合もある)。

  • 弁護士会(http://www.nichibenren.or.jp/contact/crime_victims/whole_country.html)

(2) 犯罪被害者等に対する給付・貸付制度

○ 犯罪被害給付制度に関する相談

【相談先整理番号46】

都道府県警察の被害相談窓口や最寄りの警察署で相談に応じている。

犯罪被害給付制度とは,通り魔殺人などの故意の犯罪行為により,不慮の死を遂げた被害者の遺族又は身体に障害を負わされた犯罪被害者に対し,社会の連帯共助の精神に基づき,国が犯罪被害者等給付金を支給し,その精神的,経済的打撃の緩和を図ろうとする制度である。この制度は,平成18年4月,重傷病給付金の支給要件の緩和や支給対象期間の延長などを行うとともに,親族間の犯罪における支給制限を緩和し,平成20年7月には,大規模な法令改正により,生計維持関係のある遺族に対する遺族給付金及び重度後遺障害者(障害等級1~3級)に対する障害給付金の引上げ等を図った。さらに,平成21年10月,親族間の犯罪のうち,配偶者からの暴力事案について特に必要と認められる場合には,全額支給ができるように特例規定の見直しを行うなど,継続的に制度の拡充を行っている(【施策番号12】参照)。

  • 都道府県警察の被害相談窓口
    (http://www.npa.go.jp/higaisya/shien/prf/index.htm)
  • 最寄りの警察署
犯罪被害給付制度

○ 犯罪被害者等に対する見舞金や貸付金に関する相談

【相談先整理番号47】

地方公共団体によっては,犯罪被害者等に対して,見舞金の給付や緊急に必要な資金の貸付等を行っているところがある。これらの制度の有無や利用手続などについて相談したいときは,都道府県又は市区町村の総合的対応窓口(総合的対応窓口が設置されていない市区町村では一般的な相談窓口)が相談に応じている(【施策番号15】参照。地方公共団体における見舞金制度等導入状況の詳細は,資料9-4参照)。

  • 地方公共団体の総合的対応窓口
    (http://www8.cao.go.jp/hanzai/local/madoguchi/madoguchi.html)
    (http://www8.cao.go.jp/hanzai/local/bukyoku/bukyoku.html)

○ 生活福祉資金貸付制度に関する相談

【相談先整理番号48】

市町村社会福祉協議会(社会福祉法に基づき市区町村に設置された,社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者などが参加する非営利の民間組織)が,本資金の貸付けに関する相談,申請手続を行っている。

生活福祉資金貸付制度は,低所得世帯等に対し,資金の貸付けと必要な援助指導を行うことにより,その経済的自立及び生活意欲の助長促進並びに在宅福祉及び社会参加の促進を図り,安定した生活を送れるようにすることを目的に,都道府県社会福祉協議会を実施主体として運営されている。

  • 市町村社会福祉協議会(http://www.shakyo.or.jp/links/sichouson.html)

○ 児童扶養手当・母子寡婦福祉資金貸付金に関する相談

【相談先整理番号49】

市区町村の子ども・子育て支援担当課が,児童扶養手当(ひとり親家庭等(母子家庭,父子家庭,配偶者からの暴力で裁判所からの保護命令が出された場合等)に対して支給される手当)や,母子寡婦福祉資金貸付金(母子家庭の母やその扶養している児童などに対して児童の修学に必要な資金などのために貸し付けられる貸付金)に関する相談に応じており,申請手続を行っている。

なお,平成26年10月から,父子家庭を対象とした福祉資金貸付制度が開始される。

  • 市区町村の子ども・子育て支援担当課

○ 奨学金に関する相談

【相談先整理番号50】

奨学金等給与事業については,公益財団法人犯罪被害救援基金が相談に応じており,人の生命又は身体を害する犯罪行為により不慮の死を遂げ,又は重障害を受けた者の子弟のうち経済的理由により修学が困難な者に対して,奨学金を給与している(給与月額1万円~3万円,入学一時金3万円又は7万円。返還の必要なし)。あわせて,現に著しく困窮している犯罪被害者等であって,社会連帯共助の精神にのっとり特別な救済を図る必要があると認められる者に対して支援金を支給している(100万円~500万円)(【施策番号172】参照)。

預保納付金を用いた奨学金貸与事業については,同事業の担い手である公益財団法人日本財団において,申請の相談及び受付,貸与を行っており,保護者が犯罪(交通事故被害も含む)に遭い,経済的に不安定となったために,奨学金の貸与を必要とする家庭の子ども(高校,大学,大学院,短大,専修学校(専門課程)に在学しているか進学を予定している者を対象とする)に対して奨学金を貸与している(月額3万円~10万円,入学一時金6万円~30万円(貸与金額の詳細は,募集要項参照)貸与期間最長30年)。

  • 公益財団法人犯罪被害救援基金
    (03-5226-1021)(http://kyuenkikin.or.jp)
  • 公益財団法人日本財団(03-6229-5161)
    (http://nf-yoho.com/index.html)

(3) 医療費の負担軽減

○ 保険診療に関する相談

【相談先整理番号51】

医療機関から「犯罪被害については医療保険が利用できない」と言われたときは,地方厚生(支)局が相談に応じている。地方厚生(支)局では,犯罪被害者であることをもって保険診療を拒むことは法律上認められていないため,仮に保険診療の実施を拒まれる事例があれば,当該医療機関に対して適切な指導を行っている(【施策番号19】参照)。

  • 地方厚生(支)局(http://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/chihoukouseikyoku.html)

○ 高額な医療費に関する相談

【相談先整理番号52】

公的医療保険の相談窓口(会社員等の方は健康保険組合や協会けんぽ支部等,自営業等の方は市区町村の国民健康保険担当課等)が相談に応じており,高額療養費制度(医療機関に支払う医療費の自己負担額が一定額を超えた場合,超えた金額について払戻しをする制度)の申請手続を行っている。また,高額療養費の貸付(立替)制度(当座の医療費の支払に困る場合,高額療養費支給見込額の一定割合を無利子で貸し付ける制度)に関する相談対応や申請手続も行っている。

また,市区町村によっては,乳幼児医療費助成やひとり親家庭医療費助成などを行っているところがあり,これらの助成について相談したいときは,市区町村の子ども・子育て支援担当課が相談に応じている。

  • 市区町村の国民健康保険担当課,子ども・子育て支援担当課
  • 健康保険組合(http://www.kenporen.com/kumiai_list/kumiai_list.shtml)
  • 協会けんぽ支部(http://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb7130/sbb7131/1762-620)

○ 緊急避妊費用,診断書作成費用等に関する相談

【相談先整理番号53】

事件を担当する警察署が相談に応じており,性犯罪被害者に対しては,精神的・経済的負担の軽減を図ることを目的として,緊急避妊などに要する経費(初診料,診断書料,性感染などの検査費用及び人工妊娠中絶費用などを含む。)を公費により負担している。

また,身体犯被害者の刑事手続における負担を軽減するため,犯罪被害に係る診断書料,死体検案書料,初診料の費用を公費により負担している(【施策番号17】参照)。

海上での犯罪被害に関しては,事件を担当する海上保安部署が相談に応じており,犯罪被害に係る事件の立証上診断書又は死体検案書が必要とされる場合は,診断書等の取得に必要な作成費用を公費により負担している。また,捜査上の要請から行う事情聴取のために犯罪被害者等が出頭する場合の旅費についても公費により負担している。

  • 事件を担当する警察署
  • 事件を担当する海上保安部署

○ 医療費控除,寡婦(寡夫)控除に関する相談

【相談先整理番号54】

所轄税務署が相談に応じており,医療費控除(年間の医療費が一定額を超える場合に,その超える部分が医療費控除の対象となり,控除を受けた金額に応じて所得税が軽減される)の手続を行っている。また,寡婦(寡夫)控除(配偶者と死別又は離婚した後,婚姻をしていないか,配偶者の生死が不明な方で,生計を同じにする子などがおり,合計所得額が一定額以下の方に,一定額の税が控除される)に関する相談にも応じるとともに,手続を行っている。

  • 所轄税務署(https://www.nta.go.jp/soshiki/kokuzeikyoku/chizu/chizu.htm)

(4) 保険に関する相談

○ 保険金等の支払に関する相談

【相談先整理番号55】

金融庁金融サービス利用者相談室が相談に応じており,他機関の紹介や論点の整理などのアドバイスを行っている(【施策番号7】参照)。

  • 金融サービス利用者相談室(http://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/)
    (ナビダイヤル 0570-016811)
    (IP電話 03-5251-6811)

目次]  [戻る]  [次へ

警察庁 National Police Agency〒100-8974 東京都千代田区霞が関2丁目1番2号
電話番号 03-3581-0141(代表)