第2節 精神的・身体的被害の回復・防止への取組

1 保健医療サービス及び福祉サービスの提供(基本法第14条関係)

○ 平成20年4月、「児童虐待防止法及び児童福祉法の一部を改正する法律」により、「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」の設置が努力義務化。

○ 少年被害者に対する学校におけるカウンセリング体制の充実を図るため、突発的な事件や災害が発生した場合に備え、スクールカウンセラーによる緊急支援を促進。平成20年度は、小学校にスクールカウンセラーを配置する予算を新たに措置。

○ 犯罪被害者に関する医学知識と技術について精通した医療関係者の養成などを図るため、平成20年度に犯罪被害者支援のためのマニュアル・ガイドラインを作成し、精神保健福祉センターに配布。


2 安全の確保(基本法第15条関係)

○ 平成19年6月、「再被害防止要綱」などを改正。都道府県警察から、再被害防止対象者の指定状況や刑事施設との連携状況などについて、定期的又は随時に報告を求め、都道府県警察における再被害防止措置を徹底。

○ 暴力団等から危害を被るおそれのある者の安全を確保するため、平成20年度は保護対策において民間警備を補完的に活用するための経費を措置するとともに、保護対策対象者の自宅における保護対策を効果的に遂行するための保護対策ボックスを整備。

○ 平成19年10月、人身取引事犯の被害者となっている女性などの早期保護を図るため、警察庁の委託を受けた民間団体が市民から匿名で事件情報の通報を受け、これを警察に提供して捜査などに役立てる「匿名通報ダイヤル」の運用を開始。

○ 平成20年1月、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律」の施行により、市町村基本計画の策定を努力義務化、配偶者暴力相談支援センターの業務や保護命令制度を拡充。

○ 平成20年4月、「児童虐待防止法及び児童福祉法の一部を改正する法律」の施行により、児童の安全確認などのための立入調査などを強化、保護者に対する面会・通信などの制限を強化、保護者に対する指導に従わない場合の措置を実施。

児童虐待防止広報啓発用リーフレットを作成・配布するなど、児童の安全確認と安全の確保を最優先とした取組を実施。

○ ストーカー事犯者、性犯罪事犯者などについて、仮釈放に際しては、事案に応じて当該被害者への接近を禁止するなどの特別遵守事項を設定し、遵守するように指導監督。さらに、更生保護法の施行後(平成19年12月)は、専門的処遇プログラムを受講することについての特別遵守事項や慰謝の措置などの生活行動指針を設定し、それを守るように指導監督。

○ 平成19年12月、「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」の施行により、性犯罪などの被害者の氏名などを公開の法廷で明らかにしないこと、検察官が弁護人に対し被害者の氏名などがみだりに他人に知られないようにすることを求めることができる制度を導入。

▼児童虐待防止広報啓発用リーフレット
児童虐待防止広報啓発用リーフレットの写真
提供:警察庁

3 保護、捜査、公判等の過程における配慮等(基本法第19条関係)

○ 警察本部や警察署の性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置を推進。平成20年4月現在、性犯罪事件において、性犯罪被害者から事情聴取等を行う性犯罪指定捜査員として指定された女性警察官などは、全国の都道府県警察において5,832名。

○ 警察署や交番自体に抵抗を感じる犯罪被害者等のため、移動式被害者用事情聴取室ともいえる「被害者支援用車両」を導入。平成19年度には58台を増強整備。

▼被害者支援用車両内での事情聴取
被害者支援用車両内での事情聴取の写真
▼犯罪被害者等専用の事情聴取室
犯罪被害者等専用の事情聴取室の写真
提供:警察庁

○ 平成19年度に新営された検察庁1庁舎に被害者専用待合室を設置。20年度中に建て替えが完了する検察庁3庁舎にも被害者専用待合室を設置する予定のほか、それ以外の検察庁においても設置を検討中。

○ 平成20年1月、精神科医療機関、精神保健福祉センター、保健所に勤務する医療従事者に対し、犯罪被害者等への適切な対応を行うために必要な基本的知識と初期対応の修得を目的とした第2回「犯罪被害者メンタルケア研修」を実施。28名の医療従事者が参加。

○ 平成20年4月、「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」の施行により、民事訴訟において犯罪被害者等を証人などとして尋問する場合に、遮へい、ビデオリンク、付添いといった各措置を導入。


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