〔平成19年度から平成20年度前半の主な新規・拡充施策を中心に記述〕
第1節 損害回復・経済的支援等への取組

1 損害賠償の請求についての援助等(基本法第12条関係)

○ 日本司法支援センター(愛称:法テラス)において、犯罪被害者支援ダイヤル(0570-079714(なくことないよ))で、資力の乏しい犯罪被害者等に対し、無料法律相談や裁判費用などの立て替えを行う民事法律扶助制度の利用について案内。

○ 財産犯などの犯罪行為により犯人が得た財産である犯罪被害財産を没収・追徴するなどし、被害回復給付金として当該事件の犯罪被害者等に支給するための「犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律」(平成18年法律第87号)に基づき、五菱会(ごりょうかい)ヤミ金融事件の被害者に対する被害回復給付金を支給するための手続を実施。

○ 平成19年6月、「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」が成立。刑事事件について有罪の言渡しをした後、当該刑事事件の裁判所において、損害賠償請求についての審理・決定をすることができる「損害賠償命令制度」を導入(平成20年12月1日施行)。


2 給付金の支給に係る制度の充実等(基本法第13条関係)

○ 「経済的支援に関する検討会」において、社会保障・福祉制度全体の中における犯罪被害者等に対する経済的支援制度のあるべき姿やその財源などについて検討。平成19年11月、犯罪被害者等に対する給付の抜本的な拡充やカウンセリングについての配慮などを内容とする最終取りまとめを推進会議に報告。

○ 平成20年4月、「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の一部を改正する法律」が成立(平成20年7月施行)。休業による損害を考慮した額が重傷病給付金(又は遺族給付金)に加算されるほか、改正法に基づく政令により、重度後遺障害者(障害等級1~3級)に対する障害給付金や生計維持関係のある遺族に対する遺族給付金の引き上げを行うなど給付水準を拡充。

○ 性犯罪被害者に対し、緊急避妊などに要する経費(初診料、診断書料、検査費用、中絶費用などを含む。)を平成18年度から引き続き援助。

○ 平成20年6月、「オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律」(議員立法)が成立。オウム真理教による一定の犯罪行為の被害者や遺族を対象に給付金を支給(公布の日から起算して6月を経過した日である12月18日から施行)。

▼犯罪被害者等給付金の申請・裁定・決定状況
区分 17年度 18年度 19年度 前年比
申請に係る被害者数(人) 465 491 448 -43
裁定に係る被害者数(人) 412 458 445 -13
  支給裁定に係る被害者数 394 435 407 -28
  不支給裁定に係る被害者数 18 23 38 +15
仮給付決定に係る被害者数(人) 30 20 15 -5
裁定金額(百万円) 1,133 1,272 932 -340
提供:警察庁
▼平成20年7月施行の制度改正の概要
平成20年7月施行の制度改正の概要の図
提供:警察庁

3 居住の安定(基本法第16条関係)

○ 公営住宅について、犯罪被害者等の優先入居や目的外使用、配偶者からの暴力被害者の単身入居などを、事業主体と警察当局などが連携し、実施中。


4 雇用の安定(基本法第17条関係)

○ 平成19年度、犯罪被害に遭った労働者が被害を回復するための休暇制度の必要性を周知・啓発するためのリーフレットを作成。20年度はポスターを作成するなど引き続き周知・啓発を実施。


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