第1部 | 犯罪被害者等のための施策と進捗状況 |
第2章 犯罪被害者等のための具体的施策
2 給付金の支給に係る制度の充実等(基本法第13条関係) 《基本計画策定以前からの施策で、基本計画策定後も引き続き実施する施策》 (1) 犯罪被害救援基金による奨学事業 財団法人犯罪被害救援基金は、犯罪被害者等給付金支給法が施行された昭和56年5月に発足しており、犯罪被害者遺児に対する奨学金の給与等を行い、犯罪被害者支援の充実に寄与している。 (2) 刑事事件の証人等に対する給付制度法務省において、証人等の被害についての給付に関する法律(昭和33年法律第109号)に基づき、証人又は参考人が、刑事事件に関し、裁判所、裁判官若しくは捜査機関に対し供述をし、又は供述の目的で出頭し、若しくは出頭しようとしたことにより、証人、参考人又はこれらの者の近親者が、他人からその身体又は生命に害を加えられた場合及び国選弁護人又はその近親者が、国選弁護人の職務の遂行に関し、他人からその身体又は生命に害を加えられた場合に、国が、被害者等に対し、療養給付、傷病給付、障害給付、介護給付、遺族給付、葬祭給付、休業給付を行っている。これは、証人等が受けた被害を救済するとともに、不安感若しくは畏怖感を除去、緩和して証人等の供述及び出頭を確保し、刑罰法令の適正かつ迅速な適用実現に寄与することを目的としている。 証人等の被害についての給付に関する法律施行後、本法による給付の対象となるべき事件が発生した場合には、検察官が、被害者に対し、本制度の趣旨及び手続等を説明する等適切な措置をとり、療養給付や休業給付等の給付を行っている。給付実績は、2―1―1表のとおりである。 ▼2―1―1表
*平成18年は、同年6月末現在の支給実績である。 (3) ひき逃げ等の被害者に対し、政府保障事業において加害者に代わり損害をてん補 国土交通省において、自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)に基づいて行われる政府保障事業によって、自賠責保険による損害賠償を受けることができないひき逃げや無保険車等による事故の被害者に対して、本来の賠償責任者である加害者に代わり、政府が直接その損害のてん補を行っている。平成16年度の損害てん補件数は、4,754件であった。 《基本計画において、「速やかに実施する」とされたもの》 (4) 現行の犯罪被害給付制度の運用改善 警察庁において、現行の犯罪被害給付制度の周知徹底、迅速な裁定等運用面の改善を図ることとされた。 犯罪被害給付制度とは、通り魔殺人等の故意の犯罪行為により、不慮の死を遂げた被害者の遺族又は身体に障害を負わされた被害者等に対し、社会の連帯共助の精神に基づき、国が犯罪被害者等給付金を支給し、その精神的、経済的打撃の緩和を図ろうとするものである。 平成13年4月には犯罪被害者等給付金支給法が改正され、法律の名称が「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」に改められるとともに、重傷病給付金の創設、支給対象の拡大や給付基礎額の引上げ等が行われた(平成13年7月1日施行)。 本制度の運用状況は、2―1―2表のとおりである。 ▼犯罪被害給付制度のポスター
出典:警察庁ホームページ ▼2―1―2表 犯罪被害給付制度の運用状況
(5) 司法解剖後の遺体搬送費等に対する措置 各都道府県警察において、犯罪被害給付制度とは別に、司法解剖後の遺体搬送費、遺体修復費を措置する制度を積極的に推進することとされた。 司法解剖後の遺体を遺族宅まで搬送する費用を遺族に負担させることにより、遺族の心情を傷つけるおそれがあることから、遺体の搬送に要する経費を公費により支給し、その経済的、精神的負担の軽減を図っている。 また、被害者の遺族が身近な人を亡くした精神的打撃に加え、司法解剖による遺体の損傷による精神的被害等の二次的被害を防止するため、解剖による切開痕等を目立たせないようにする経費を公費により支給し、その経済的、精神的負担の軽減を図っている。 |
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