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3.イギリスにおけるテロ事件被害者等への経済的支援

英国は欧州において最初に国家的な被害者補償制度が創設された国である。英国における犯罪被害補償制度(Criminal Injuries Compensation Scheme)は、独自の傷害等級表を踏まえた給付を基本としており、更に、追加的な措置として、逸失利益及び特別費用への補償も定めている。一方で、海外における犯罪被害及びテロ被害をカバーする公的補償制度は無いものの、規模は小さいながらも、様々な補完的措置が近年講じられてきている。本稿では、英国の犯罪被害者補償制度の概要を取り上げると共に、近年のテロ被害者に対する経済的支援の取組にも言及する。

以下、表3-1に本章で取り扱う諸制度等がカバーする範囲を示す。

表3-1:イギリスにおける犯罪・テロ被害者への経済的支援制度
  犯罪 テロ
国内 国外 国内 国外
英国赤十字テロ被害者救援基金** × ×
海外テロ被害者のための例外的支出措置*** × ×
犯罪被害補償制度 × × ×
北アイルランド犯罪被害補償制度 × × ×
*
EU加盟国においては当該国の制度による救済が保証されている。
**
英国赤十字による独自の取組み。
***
外務省による例外的な措置であり、定着した制度ではない。
(出典:株式会社 独立総合研究所作成)

3-1:犯罪被害者への経済的支援

英国の犯罪被害者補償は中央政府によって担われている。但し、英国もまた北アイルランド問題という特有の事情から、グレートブリテン(イングランド、スコットランド、ウェールズ)と北アイルランドにおいて、それぞれ別個の補償制度を設けている。また、海外における犯罪被害者のための補償制度は存在しないものの、EU加盟国内おける犯罪被害に関しては、被害発生国の補償制度が利用できることになっており、申請者に対して、英国政府による事務的支援が実施されている。

3-1-1:犯罪被害補償制度(Criminal Injuries Compensation Scheme)

(1)制度の趣旨、理念、及び根拠法令
英国における犯罪被害者への経済的支援は犯罪被害補償制度(Criminal Injuries Compensation Scheme)の下で実施されている。英国では元来、犯罪被害者は加害者からの賠償によって補償されるべきであるという考え方が強かった。しかし、加害者は必ずしも賠償に十分な資力を有しているとは限らず、また加害者が逮捕されない場合もあり、これらのケースにおいては賠償による被害者救済は困難であることが予想された。係る理由から、国家の恩恵として被害者を救済する補償制度が開始されることになり、1995年からは「国が社会を代表して被害者に対する同情と連帯共助の精神から補償」を実施することとなった(注65)。
 今日の制度の法的基盤は1995年の犯罪被害補償法(the Criminal Injuries Compensation Act)によって構成されている。同法は、犯罪被害者補償の制度の確立を目的とし、主に補償額の基準となる傷害等級表に基づく補償、及び逸失利益と特別費用への追加的な補償を定めている(注66)。制度の実施主体は犯罪被害補償審査会(Criminal Injuries Compensation Authority)となっている(注67)。なお、英国においては、すでに1964年から犯罪被害者補償の制度は存在していたが、傷害等級を基準にした今日の制度と異なり、旧制度は被害者が加害者に対する民事訴訟で勝訴した場合に受け取ると見込まれる額によって補償のレベルが決められていた(注68)。
 1995年の犯罪被害補償法に基づく制度はその後2001年と2008年に改定されている。
 現在の制度(2008年制度)は2008年11月3日から効力を有するようになっているが、2001年の制度から現在の制度に変わった際の具体的な変更点としては、第1に、異議申し立て先がこれまでの犯罪被害補償審査会から「一次裁定機関」(“First-tier Tribunal”)に替わったことが挙げられる。
 「一次裁定機関」は、被害者保証の他、移民申請等に関する行政の決定に対する意義申立先として2007年に新設された機関である(注69)。
 また、もう1つの重要な変更点として、傷害等級を決定する際に用いる傷害等級表に修正が加えられたことが挙げられる。この修正の結果、現在の制度で用いられている等級表では、旧来のものに比べて、より被害者の社会生活に寄り添ったスコア設定になっている。
 例えば、腕に傷害を受けた場合、従来であれば「片腕」、「両腕」の区別しかなかったものが、「片腕」、「片腕(利き手側)」、「片腕の喪失に伴う腕機能の喪失」(既に片腕の機能を失っていた人物が残った腕を失った場合)、「両腕」の4段階に分かれた。このほか、歯に受けた傷害に対するスコアが高められたほか、性暴力被害についても、心理的なダメージが考慮されるなど、被害者が受ける社会的影響をより考慮した形で項目の細分化やスコア調整が行われている。
 表3-2に2008年制度において傷害等級表に加えられた変更ないし追加された点を整理した。
表3-2:2008年制度における傷害等級表の主な変更点
変更箇所 変更点等(頁番号*
大項目 中項目以下
一般 中項目「あらゆる年齢層に対する性的暴力」内の各小項目 傷害内容に「精神医療上の予後において確認された日常生活に支障をきたすほどの恒常的な精神的傷害」を追加(p.34)
中項目「児童および責任能力のない成人に対する性的暴力」内の小項目「性的暴力」 傷害内容に「精神医療上の予後において確認された日常生活に支障をきたすほどの恒常的な精神的傷害」を追加(p.35)
頭部
および
中項目「脳への障害」 小項目について、傷害の内容別分類から深刻度別分類に再整理(pp.36-37)
中項目「耳(への傷害)」内の小項目「失聴」 傷害内容に「可聴だった片耳の失聴」を追加して小項目を細分化(p.38)
中項目「目(への傷害)」内の小項目「失明」 傷害内容に「失明していない目の視力が6/36**以上に矯正できない場合における片目の失明」および「既に片目を失明していた場合における残りの目の失明」を追加(p.39)
中項目「歯(への傷害)」 各傷害内容について2~3等級繰り上げ(p.42)
一般 中項目「腕(への傷害)」内の小項目「腕の喪失」 傷害内容に「利き腕の喪失」、「片腕を喪失した結果に伴う腕や手に関する能力一般の喪失」を追加(p.43)
中項目「手(への傷害)」内の小項目「手の喪失」 傷害内容に「利き手の喪失」、「片手を喪失した結果に伴う腕や手に関する能力一般の喪失」を追加(p.45)
一般 中項目「腹部(への傷害)」 小項目以下の傷害内容を細分化(p.48)
中項目「腎臓(への傷害)」 「片側の腎臓のみの喪失」に対する等級の引下げ(p.50)
中項目「肺(への傷害)」 傷害内容に「恒常的かつ日常生活に支障をきたすような肺機能への煙や化学剤による傷害」を追加(p.50)
中項目「膵臓(への傷害)」 中項目「膵臓(への傷害)」の新設。傷害項目は「膵臓の喪失」(p.50)
下半身 中項目「脚(への傷害)」内の小項目「脚の喪失」 傷害内容に「片脚の喪失に伴う脚の機能全般の喪失」を追加(p.54)
*
Criminal Injuries Compensation Authority, the Criminal Injuries Compensation Scheme (2008)における頁番号
**
イギリスにおける視力表記方法。6/36は我が国における0.17弱に相当する。
(出典:Criminal Injuries Compensation Authority, the Criminal Injuries Compensation Scheme (2008),pp.31-55
およびCriminal Injuries Compensation Authority, the Criminal Injuries Compensation Scheme (2002) ,pp.27-54
をもとに株式会社 独立総合研究所作成)
(2)給付対象
同制度の補償の対象は「個人による意図的な(故意による)暴力犯罪」の被害となっている。具体的な対象としては以下が挙げられている(注70)。
  • 暴力犯罪
  • 汽車転覆等の罪
  • 犯人もしくは被疑者の逮捕もしくは逮捕行為の着手、または犯罪の防止もしくは犯罪防止の着手、または当該業務に従事している司法警察職員への協力における被害
同制度における被害は身体的傷害(致死の場合も含む)、精神的傷害(一時的精神不安や精神医学的に確認された精神病)、及び疾病(医学的に認知された病気や状態)となっている。精神的傷害及び疾病は身体的傷害又は性的暴力からの直接の結果として発生したものとされ、身体的傷害又は性的被害によらない精神被害は補償の対象とはならない(注71)。
 また、給付申請にあたっては、以下の要件が定められている(注72)。
  • グレートブリテン(イングランド、スコットランド、ウェールズ)における暴力犯罪による被害であること
  • 被害の発生から2年以内の申請であること
  • 傷害等級の最低レベルを満たしていること
さらに、欠格事項としては、以下の4つが定められている(注73)。
  • 1964年8月1日以前の被害に対する申請の場合
  • 同じ被害において、グレートブリテン内の、現在もしくは以前の制度にすでに申請している場合
  • 1979年10月1日以前に発生した被害で、加害者が被害者と同じ世帯で家族として生活していた場合
  • 被害及び暴力行為がグレートブリテンの域外で起こったものの場合
上記の他、申請者の事件発生前や事件発生中、あるいは事件発生後の振るまいや当人の犯罪歴などは申請の却下及び給付減額に繋がる判断材料となりうる。
 また、警察及び犯罪被害補償審査会に対して非協力的な姿勢をとっている場合や、警察及び関係機関に対して事件の通報のが遅れた場合なども申請の却下及び給付減額の要因となる(注74)。
 なお、被害者死亡の場合は、被害者の扶養者及び親族が有資格者となる。また、申請者が18歳以下の場合は親権のある成人が、成年被後見人の場合は法定代理人が有資格者となる(注75)。
(3)給付内容及び併給調整
補償の内容としては、傷害等級表による補償、逸失利益の補償、特別費用の補償、遺族給付、被扶養関係にあった遺族への補償がある(注76)。傷害等級表では身体的、精神的被害を問わず、各傷害がレベル分けされ、明示されている(注77)。レベルは25段階設定されており、最低レベルが1となっている。支払い最高額(レベル25)は25万ポンドであり、最低額(レベル1)は1000ポンドとなっている。レベル25の例としては、永久的且つ極度の脳機能障害が該当する。レベル1としては、鼻の骨折等がある(注78)。また、複数の傷害を負った場合においては、最も高いレベルの傷害にその該当レベルの補償額の満額、2番目に重い傷害にはその該当レベルの補償額の30パーセント、3番目に重い傷害には15パーセントが支給される(注79)。
 これに加え、全治28週以上の期間において、所得又は就労能力を失った場合、逸失利益の補償が受けられる。上限は国の平均的産業賃金の1.5倍とされ、傷害等級表による補償を含めた50万ポンドの範囲内とされる。また、この場合、特別費用への補償も追加されることもある(注80)。特別費用は通常の医療費の枠外にある医療費に充てられる費用であり、被害者の身体を補助する器具等にも充てられる(注81)。
 被害者死亡の場合、被扶養関係にある遺族に対して遺族給付が出される。各申請者に5500ポンド支給されることになっているが、申請者がひとりの場合は1万1000ポンドとなる。また、被扶養関係にある遺族は、逸失利益の補償も受けることができる。補償額は死亡した被害者の収入をもとに算出されるが、国民平均賃金の1.5倍が上限となっている(注82)。
 なお、傷害等級による補償以外の補償は社会保障又は保険からの給付との調整が実施される。また、傷害等級による補償を含めたあらゆる被害者補償は、北アイルランドの制度下における補償、英国域外の制度下における補償、民事・刑事裁判の命令による賠償金、及び示談金を受け取った場合は全額がカットされる(注83)。
(4)申請方法及び査定方法
申請は被害発生から2年以内に実施されるのが原則となっている。申請者はCICAの指定する申請用紙に必要事項を記入し、犯罪被害を負ったことを証明しなくてはならない(注84)。申請用紙に署名すると、CICAが必要情報にアクセスすることが可能になる。アクセス対象となる情報としては、被害者の症状に関わる情報、被害者が警察に与えた証拠、及び犯罪歴が挙げられている。さらに、逸失利益の補償や特別費用への補償を求める場合は、所得、収入、納税の記録がCICAに提供されることになる(注85)。
また、補償額の決定は傷害等級に依拠して実施される。等級表においては、25段階の各レベルで補償額が定められている。なお、同制度以外からの給付も、補償額の決定において考慮されることは既に述べたとおりである。 
(5)供給実績及び財源
2007年から2008年にかけての傷害等級による補償への申請は、5万3290件と報告されている。支給額は約1億3000万ポンドとなっている(注86)。補償の財源となっているのは、一般税収である(注87)。

3-1-2:北アイルランド犯罪被害補償制度(Northern Ireland Criminal Injuries Compensation Scheme)

(1)制度の趣旨、理念、及び根拠法令
先述したように、犯罪被害補償制度(Criminal Injuries Compensation Scheme)はグレートブリテン(イングランド、スコットランド、ウェールズ)においてのみ適用されており、北アイルランドは制度の対象とはなっていない。そのため、北アイルランドは独自の犯罪被害者補償制度を有している。
 この北アイルランド独自の補償制度は「2002年北アイルランド犯罪被害補償制度」(The Northern Ireland Criminal Injuries Compensation Scheme 2002 以下、2002年北アイルランド制度)と呼ばれており、北アイルランド域内における暴力犯罪で身体的及び精神的被害を負った被害者、その扶養者、遺族に対する補償措置となっている。
 当然のことではあるが、同じ英国内であることから、上記の北アイルランドの制度と先述したグレートブリテンにおける制度とは、制度の理念や補償すべき費用の種類、傷害等級表を用いた補償金額の算定など、大まかな構造については共通のものとなっている。
 すなわち、北アイルランドにおける犯罪被害者補償もグレートブリテンと同様に、無辜の犯罪被害者に対する公的同情及び支援の表現(an expression of public sympathy and support for innocent victims)という理念的位置づけに置かれており(注88)、2002年制度の根拠法令である「2002年犯罪被害補償(北アイルランド)命令(the Criminal Injuries Compensation Order 2002)」では、グレートブリテンにおける1995年犯罪被害補償法と同様に、北アイルランドにおける犯罪被害補償制度について、傷害等級表に基づく補償や逸失利益の補償、あるいは特別費用への補償等の実施を定めている(注89)。
 この結果、2002年北アイルランド制度からはグレートブリテン域内で適用されている制度と同様に傷害の等級に基づく補償制度となっている(注90)。
 ただし、2002年北アイルランド制度における傷害等級表は、グレートブリテンにおいて2001年制度で導入されていた表とは設定されている項目が大幅に異なっている。
 例えば、2002年北アイルランド制度においては性的暴力について、軽微な被害を等級に入れていないが、強姦等の重大な暴力についてはグレートブリテンにおける2001年制度よりも高い被害等級を認めている。また、身体の各部位についての傷害についても、2002年北アイルランド制度では、軽微な傷害は捨象される傾向にあるものの、深刻な被害については2001年制度よりも高い等級を与えられているようである。
 なお、北アイルランドにおける補償制度は2009年4月1日から、新たな制度の導入が準備されている。
 この新制度では、上述の等級表におけるグレートブリテンと北アイルランドとの差異が大幅に解消されており、北アイルランドにおける新しい制度では、グレートブリテンにおける2001年制度の傷害等級表がそのまま用いられている(注91)。
 なお、北アイルランドにおける補償制度を所管している機関は英国政府機関である北アイルランド担当省内にある補償庁(the Compensation Agency)となっている(注92)。
(2)給付対象
同制度のガイドラインによると、同制度に申請する人物は以下の要件を満たす人物でなくてはならない。
  • 暴力犯罪の被害者であること
  • 身体的・精神的傷害を負っていること
  • 被害発生時に北アイルランドにいたこと
  • 制度で定められた傷害等級の最低レベルに達していること
  • 被害者死亡の場合は、被害者の扶養者、親族、その他被害者と親密な関係にあった者であること
同制度のガイドラインによると、暴力犯罪の法的定義は無いとされる。しかし、一般通念上は人体に対する物理的攻撃とされ、具体例としては暴行、傷害、性的暴行とされている(注93
 なお、同ガイドラインによると、2002年5月1日以前の被害者(児童への性的虐待を除く)は同制度に申請する資格はない。さらに、同じ被害で、すでに同制度又はその他の北アイルランド内の補償制度に申請している者も同制度に申請できない(注94)。また、この制度の対象となるのは、北アイルランドで発生した犯罪被害であり、海外での犯罪被害は対象とはしていない。グレートブリテンで発生した犯罪被害も、この制度の補償対象とはならない(注95)。
 また、申請の前提条件として、事件発生後、警察に可能な限り早く通報することと、事件発生後2年以内に申請を実施することが挙げられている(注96)。
(3)給付内容及び併給調整
北アイルランドにおける制度はグレートブリテン同様に傷害等級に基づく補償制度(the Tariff Scheme)となっており、必要に応じて逸失利益の補償及び特別費用(通常の医療費の枠外の医療費等)の補償も別途受けることができるようになっている(注97)。
 傷害等級については、北アイルランドでは29のレベル分けがなされている。グレートブリテンにおける制度同様に、レベル1が最低の等級となっており、数字が増すに従って、傷害の重度及び補償額が増すことになる。レベル1の補償額は1000ポンドに設定されており、最高レベルである29には28万ポンド補償されることになっている(注98)。
 また、同時に複数の傷害を負っている場合は、最も深刻な傷害に対して、該当レベルの支給額の満額、2番目に深刻な傷害にはその該当レベルの補償額の15パーセント、3番目に重い傷害にはその10パーセントが支給される(注99)。さらに、被害者が被害発生から28週間以上就労が不可能な状態又は収入が無い状態が続くようであれば、逸失利益の補償及び特別費用への補償を求めることもできる(注100)。
 また、被害者死亡の場合は遺族(親、子供、配偶者、パートナー)に対して死別支援給付が実施される。額は1万2000ポンド(全ての申請者に対して)とされている。また、死亡した被害者の被扶養者は、逸失利益の補償を求めることもできる(注101)。
 なお、同制度下では、同じ被害で受けた傷害において、他の財源からの補償があれば調整が実施される。もしも、同制度から受給した後に他の財源から補償を受取れば、他の財源からの支給に相当する額を同制度に返納しなくてはならない(注102)。
(4)申請方法及び査定
申請においては、申請者がまず所定の申請書類を関係機関から入手しなくてはならない。この申請書類は被害者負傷の場合と死亡の場合では用紙が異なり、前者は警察又は地域の被害者支援機関から、後者の場合は補償庁からのみ入手できる。書類を入手した後、申請者は所定の情報を記載して補償庁に提出することになるが(注103)、申請者は、補償庁が申請内容を確認するために警察や病院、医師および申請者の雇用主等と接触する事に同意を与える必要もある。なお、申請は被害発生から2年以内に実施されなくてはならない(注104)。また、児童(18歳以下)の代理として申請する場合、代理人は親権を有する者でなくてはならない。一方、成年被後見人の代理となるケースでは、代理人は弁護士の書いた証明書を提出する必要がある(注105)。
 補償額の決定に関しては、傷害等級による定めに基づいて実施される。その前段階において、警察等から照会した情報をもとに受理の是非の判断及び併給状況の確認が行われ、交付額が検討されることになっている(注106)。また、被害者が警察への協力を怠った場合、被害において過失があった場合、又は犯罪歴がある場合は、これらの要因も補償額に影響を及ぼすことになるとされている(注107)。
(5)供給実績及び財源
2006年から2007年にかけて、補償庁は傷害等級に拠る補償に対する5713件の申請に対応し、5346件を受理した。給付の総額は1500万ポンドと報告されている(注108)。なお、これらの補償に充てられる資金の財源は、一般税収である(注109)。

3-1-3:海外犯罪被害者への取組

先に述べたとおり、グレートブリテン及び北アイルランド内の犯罪被害補償制度(CICS)は、それぞれの域内の犯罪被害のみを対象としている。故に、海外における犯罪被害者を補償する制度は存在しない。結果として、海外における犯罪被害者は被害発生国の補償制度を利用することになる。

そのため、英国犯罪被害補償審査会は2004年の欧州理事会の指令(European Union Council Directive2004/80/EC)に基づいて、欧州域内で発生した英国人犯罪被害者に対し、発生国の補償制度への申請の支援を実施している。同命令はEU加盟各国に対し、公正且つ適切な犯罪被害者補償制度の確立及び、他の加盟国の補償制度への申請を手助けする「支援機関(assisting authority)」の創設を指示している(注110)。

同指令の下、英国犯罪被害者補償審査会はEU 補償支援チーム(the EU Compensation Assistance Team)を発足させ、EU加盟諸国の補償制度に申請する英国人被害者に対し、被害発生国の補償システムに関する情報提供、適切な申請用紙の提供、記載方法に関するアドバイスの提供、補足書類に係るガイダンスの提供、及び申請書類の提出を実施している(注111)。また、同審査会は申請支援の実施にあたっても、申請者に対し、以下の要件を定めている(注112)。

  • 2005年7月1日以後の被害に対する申請であること
  • EU加盟国において発生した犯罪に対する申請であること
  • 申請者が英国在住者であること

他方で、EU域外の国の補償制度に申請する場合においては、この種の支援体制は無く、同審査会は、EU域外の国における犯罪被害に関しては、申請者が直接発生国の補償制度に申請するものとしている(注113)。

3-2:テロ被害者への経済的支援

近年、英国を取り巻くテロ環境は急激に悪化している。2005年7月に発生したロンドンにおける同時爆破事件では56人が死亡する惨事となり、2006年8月には、英国から米国及びカナダへ向かう旅客機に対する爆破未遂事件も発生している。また、海外の事例では、2001年の米国同時多発テロ事件において、45人の英国人が犠牲になったのをはじめ、バリ島における爆破事件では26人の英国人観光客が殺害されている。これらの事件を含め、2001年から2008年7月にかけての海外テロにおける英国人死者の数は190人、負傷者は156人と報告されている(注114)。

しかし、従来から、テロ被害に特化した補償制度といったものは英国にはなく、先述の犯罪被害補償制度(グレートブリテン及び北アイルランドにおける)の枠内で、テロ被害は、その他暴力犯罪同様に扱われてきた。但し、先に挙げた補償要件のため、海外におけるテロ被害はカバーされていないことから、政府は民間保険がテロリスクをカバーすることに期待を示す一方で、近年においてはテロ被害における公的補償制度の創設を求める声も出ている(注115)。

3-2-1:英国政府のテロ被害者補償に関する基本的考え方

現行の犯罪被害補償制度の下では、テロはその他の犯罪と同様に扱われている。しかし、英国政府はこれまで同制度を海外テロ被害にまで広げることに関しては、慎重な姿勢を取ってきた。英国政府の報告書『命の再建:犯罪被害者支援』において、英国政府は海外テロ被害者への補償を求める声があることは認めつつ、海外テロ被害者補償が困難である理由をいくつか述べている。

第1の理由としては、テロの定義付けが容易ではなく、被害者の資格認定が困難である点である。つまり、被害がテロによるものなのか、あるいは、その他の暴力犯罪によるものかの判別が難しいということである。第2に、遠く離れた海外の事案では、申請にあたっての詐欺行為が発生する危険性があるという理由も挙げられている。さらに、世界的な規模で補償を実施することになると、高いコストがかかるという懸念も表明されている。

では、海外において英国人に対するテロ攻撃が発生した場合、被害者はいかに救済がはかられるのか。同報告書によると、英国には海外テロ被害を扱う補償はないものの、海外旅行中のテロ被害であれば、被害者は民間が提供している保険を利用できるとしている(注116)。

他方で、英国内には、上記の考え方に対する異論も出ている。ある民間組織は、テロの定義づけは確かに困難を伴うものの、その意味するところが犯罪であり且つ国家に対する力の行使であることが明かであるならば、その被害者は経済的支援の有資格者たりえるとしている。さらに、英国においては被害者補償に係る詐欺行為に対処するための刑事手続きが既に存在し、且つテロ事件は数として限定されており、世間の注目も高いため、詐欺は発生しにくいとも述べている。また、コストの問題に関しても、国内事犯における申請件数及び補償総額の大きさを考えると、海外テロ被害補償に要するコストは小さなものだという(注117)。

さらに、同組織は、保険に関しても、ほとんどの保険会社は「テロ例外条項」を設けており、海外テロをカバーしていないことから、やはり国家的補償が求められるとしている(保険に関しては、最近では大きな改善が見られ、2008年10月時点では英国の海外旅行保険を扱う保険会社の60パーセントが海外テロをカバーしている)(注118)。

また、海外テロ被害者の遺族からも、現行の制度は国内テロ被害者を救済する一方で、海外テロ被害者を無視しているとの不満がこれまで出されてきた。特に、エジプト、トルコ、カタールにおいてテロ被害に遭いながら、支援を受けることの出来なかった、英国人被害者の遺族及び家族らは、海外テロ被害者への補償措置の創設を求めて長期に渡るキャンペーンを実施してきた。こうしたことから、近年、海外テロ被害を対象にした新たな取り組みが始まっている(注119)。

3-2-2:英国海外テロ被害者のための英国赤十字救援基金(the British Red Cross Relief Fund for UK Victims of Terrorism Abroad)

(1)制度の趣旨、理念、及び根拠法令
既に述べたように、英国犯罪被害補償審査会は英国におけるテロ攻撃による被害は補償の対象としつつも、海外テロ被害を補償の対象とはしてこなかった(注120)。故に、海外テロ被害者及び遺族からは不満が上がっていた(注121)。
 こうした問題意識を背景に、2006年3月、文化・メディア・スポーツ省は海外におけるテロ攻撃の被害者を支援するための基金の創設を支持することを表明した。最終的に2007年5月、英国赤十字は英国政府から100万ポンドの寄付を受け、海外テロ被害者を支援するための基金「海外テロ被害者のための英国赤十字救援基金(the British Red Cross Relief Fund for UK Victims of Terrorism Abroad)」を創設した(注122)。
 英国赤十字によると、同基金は突然且つ予測していなかった支出(sudden and unforeseen payments)を軽減するためのもので、被害者への補償とは性質が異なるという。赤十字としては、被害者にとって即時利用可能な基金を準備することによって、極度のストレス下にある被害者の負担を和らげるという狙いがある(注123)。即ち、同基金は被害者の当座の財政的要請に応え、「迅速なる救済(rapid relief)」を果たすためにある(注124)。係る理由から、赤十字は同基金の目的を国際テロ被害者への緊急経済支援と定めている。
(2)給付対象
同基金において、給付の対象とされているのは海外におけるテロ事件の被害者である。まず、支援の大前提として、被害者は英国外務省によってテロ事件と認定された事案の被害者でなければならない。次に、申請者はイギリスに合法的に在住している者である必要があり、外国籍の者でも正規在住者であれば、申請資格を有する。さらに、被害者は事件によって重傷を負った者(一時金支給の対象は12時間以上の入院、追加支給の対象は5日以上の入院又は6週間内で1週あたり、3回の通院治療)とされ、被害者死亡の場合はその扶養者が受給資格を有することになる。
 ただし、同基金は海外旅行又は滞在中に被害を受けた者を救済するためのものであることから、勤務として海外に赴き、現地でテロ被害に遭った者(例えば、海外勤務中に被害に遭った軍人や記者等)は対象とはされていない。また、外務省が渡航自粛を呼びかけていた地域に赴いて被害に遭った者やテロ行為を扇動していた者も対象から除外される。さらに、事件に伴う心的傷害や、同基金が設立された2006年3月以前に発生したテロ被害も給付の対象外となっている(注125)。
(3)給付内容及び併給調整
給付には2つの段階が用意されている。まず、死亡者及び12時間以上の入院を余儀なくされている被害者に対して3,000ポンドの一時金が給付される。この給付金は、事件に伴う当初は想定されていなかった支出に充てられる。具体的には、医療費、携帯電話料金、追加的な宿泊費、及び交通費等である。
 さらに、より長期の入院(5日以上)又は長期的な通院が必要なケースに関しては、追加的な給付として、12,000ポンドが支給される。追加給付に関しては特に用途は定められておらず、被害者の裁量で自由に用いることができる。
 また、同基金からの給付は定額で実施されており、英国赤十字は被害者間の状況を区別することはしないとしていることから、給付において併給調整はないものと思料される。
(4)申請方法及び査定方法
一時金に関しては、赤十字は外務省など当局の情報に基づいて支給を実施する。ただし、被害者が追加支給を求める際は、被害者はより詳細な情報を伴う申請書を作成する必要がある。具体的には、事件発生後、申請者は自身がテロ事件に巻き込まれたことを詳述した申請書を赤十字に提出しなくてはならない。加えて、申請者は申請事項を証明する証拠の提供も求められる。
 申請者はまず、自身がイギリスに正規に在住している者であることを示す必要がある。仮に夫婦やパートナーのいずれかが外国籍の者であっても、もう一方がイギリスに正規に在住している者であれば、英国在住者と見なされる。
  • 被害者がテロ行為の結果死亡しており、申請者は適格の肉親であること。又は申請者がテロ攻撃発生時に現場にいたこと
  • 申請者がテロ攻撃の直接の結果として負傷しており、この負傷により5日以上の入院又は通院が必要であったこと
  • 通院の場合は6週に渡って、1週あたり最低3日の外来診療を受けていること
また、申請者は以下の身元証明が求められる。
  • 申請者の住所証明
  • 申請者の英国正規在住資格の証明
  • 犠牲者との関係を示す証明(被害者死亡の場合)
  • 未成年者との関係を示す証明(申請者が未成年者の代理として申請をおこなう場合)
追加支給への申請は事件発生から1年以内に実施されなくてはならない。申請を受けて、赤十字は事件をテロ事件として認定されているか否かを確認する。認定をおこなっているのは基本的には外務省であり、同省が現地の状況や警察からの報告等を受けて、事件認定をおこなう。認定が確認された後に、赤十字が資格要件のチェックを実施することになっている。
 なお、先に述べたように、同基金は補償とは異なるため、給付は定額であり、個々の被害者の状況に応じて給付額は決まらない。ただし、給付にあたっては、先述した、12時間以上の入院(一時金支給の場合)や5日以上の入院(追加支給の場合)といった判断の基準があり、その点においてのみ被害の程度が確認される。
(5)給付実績及び財源
同基金は英国政府から資金提供を受けて創設された。同基金からは、これまで27人に対して支給を実施されてきた。支給総額は29万4000ドルにのぼり、ほとんどの支給において、一時金と追加給付の両方が支給されてきた。

3-2-3:海外テロ事件被害者のための例外的支援措置(Exceptional Assistance Measures for Victims of Terrorist Incidents Overseas)

上記の海外テロ被害者救済基金に類似する措置としては、英国外務省が実施している「海外テロ事件被害者のための例外的措置」がある。

この措置は、もともと、アフターケアプラン(Aftercare Plan)という名称で2004年から実施されていた。

英国外務省では、同省が渡航を自粛するよう求めていた国や地域以外の国や地域においてテロ被害に遭った被害者およびその家族を対象に、海外旅行保険の加入を含めて適切な安全対策をとっていたにもかかわらず、海外旅行保険等が何らかの理由で利用できないために、そのままでは何ら救済を受けられない状況にある場合に限って当該被害者やその家族を救済する手段としてこのアフターケアプランを位置づけていた。

近年になって海外旅行保険が次第にテロ被害にも適用されるようになったことから、英国外務省は2008年6月2日の声明において、このアフターケアプランを改称し、「海外テロ事件被害者のための例外的措置」とすることを発表した。

同措置は、あくまで被害者の当座のニーズに応えることを目的としたものであり、医療ケア及び長期に渡るケアの費用に充てられるものではなく、その意味で、前項で整理した英国赤十字の基金同様、「海外テロ事件被害者のための例外的措置」はいわゆる補償プログラムではない。

この措置の対象とされているのは、海外における緊急事態において自らあらゆる適切な方策をとってきた英国人となっている。故に、はじめから海外旅行保険に加入せずに海外旅行をしていた者や外務省が渡航自粛を呼びかけていた国及び地域に赴いていた者は措置の対象とはならない。また、同措置は他の救済手段が無い場合に限った最終の救済手段との位置づけとなっている(注126)。

この措置が英国国外において発生したテロリズムにおける被害だけを対象とすることについて、英国外務省は、テロリズムが無差別かつ社会全体に対する行為であるという点でその他暴力犯罪とは異なるという説明をおこなっている(注127)。

3-3:総括

英国の犯罪被害補償制度の最大の特長は独自の傷害等級表に基づく補償を実施している点にある。傷害等級表を導入することのメリットとしてはまず、等級表に基づいて一律に補償が支給されることで、申請処理の迅速性が確保できる点がある。また、被害者の立場からしても、等級表を見れば受給金額を容易に把握できるという利点もある(注128)。さらに、等級表に依拠することで、審査に当たる個々の係官の裁量の余地が狭まり、結果として公平性が確保できるというメリットも指摘される(注129)。

無論、等級表に応じた補償方式に問題が無いわけではない。等級表に基づき一律に補償が支給されることから、被害者の個別事情への配慮に欠けるという欠点が指摘される。こうした制度的欠点をカバーするため、個別事情に応じて、逸失利益の補償や特別費用への補償も同制度下では実施されている(注130)。

また、海外におけるテロ被害に対する公的補償制度が存在しないという点も強く指摘されてきた問題である。これまで、政府は海外テロ被害に関して、民間保険の役割に期待していたが、海外テロ被害者の家族からは、英国内テロ被害が補償される一方で、国外におけるテロ被害が補償されないことに不満が上がっていた。こうした不満を受けて、英国赤十字の救済基金や外務省の措置が開始されたものの、これらは公的な補償制度とは異なる。

まず、赤十字の基金に関しては、傷害のレベルに関わらず給付は定額であり、被害の長期的影響を考慮した措置(例えば逸失利益の補償)は講じられていない。また、同基金の創設は法的措置によるものではないため、受給する被害者の法的権利や同基金への資金拠出にあたっての国の法的義務が確立されないことへの懸念の声もある(注131)。さらに、外務省の措置も同様に、被害者の長期的なサポートを実施するものではなく、公的補償を求める人々にとって満足させるものになっているとは言い難い。

このような補償措置の整備状況から、今後の注目される動きとして、「海外テロ被害者に関する法案(Victims of Overseas Terrorism Bill)」の動向が挙げられる。この法案では、海外における英国人テロ被害者に対して助言と支援を提供することが目的とされており、その主要な具体的手段として、海外テロ被害者への補償制度の導入が盛り込まれていた。

海外テロ被害者への補償制度は、本章でこれまで扱ってきた他の犯罪被害補償制度同様に傷害の性質に基づいて補償額が決定される制度となっており、追加的な補償も付加されている(注132)。ただし、担当機関がいかにテロ被害を把握するのか、いかにテロ被害を認定するのかといった細かな事項はまだ法案には盛り込まれていなかった。

さて、本法案のもう一つの特徴として、既存の犯罪被害補償制度においてはテロリズムが一般犯罪同様に扱われていたのに対し、同法案においてはテロ行為の定義を示すことで、テロ被害をそれ以外の犯罪一般における被害とは区分していることにある。

同法案において、テロ行為は以下のように定められている。

  1. 本法律においては、下記の用語は、それぞれ下記の意味を有するものとする。
    「テロ行為」とは、政治的、宗教的、又は思想的な主義・主張を推進することを目的とし、かつ、下記のいずれかを明確に意図して行われる、人に対する深刻な暴力又は財産に対する深刻な損害を伴う行為をいう。
    1. 英国政府、適法に成立若しくは事実上存在する他の政府、又は国際機関を転覆させる、又はこれらに影響を及ぼす目的。
    2. 公衆又は公共部門を威嚇する目的
      「海外テロ被害者」とは、2002年1月1日以降、英国外で発生したテロ行為により直接負傷した個人をいう。(Victims of Overseas Terrorism Billより)

この法案は、2006年12月末に貴族院で審議が開始され、2007年5月に庶民院へと送られた。その後、庶民院では第1読会を開いて法案の趣旨が説明されたが、以降の実質的な審議は行われていない。その背景として、英国政府が、同法案では当該地域の危険性を顧みずに被害にあった人物の取り扱いやテロ被害者に対してのみ補償を行わなければならないことについての明確な原則が述べられていないこと、既存のCICAなどが海外のテロ事件まで扱うだけの余地がないことなど挙げて、同法案に対して否定的な姿勢を示していたことが挙げられている。

しかしながら、法案の趣旨は決して否定されるものではないことから、海外テロ被害者支援の法制度化は引き続き議会における討議の対象となっており、その際にも同法案が引きあいに出されている(注133)。

スコットランド行政府が作成したメモによれば、同法案がそのまま立法化される可能性はほぼなくなっている(注134)。しかしながら、上のように海外テロ被害者支援のための公的な制度作りは引き続き論じられていることから、仮に「海外テロ被害者法案」に類似した趣旨・内容の法が成立すれば、英国で初の海外における暴力被害を対象とする補償制度が誕生することになる。

注65
全国犯罪被害者の会(あすの会)ヨーロッパ調査団『ヨーロッパ調査報告書 犯罪被害者補償制度』(全国犯罪被害者の会、2005年)3-4頁。
注66
Her Majesty’s Stationery Office, Criminal Injuries Compensation Act of 1995,(London, 1995), p.2. <http://www.opsi.gov.uk/ACTS/acts1995/ukpga_19950053_en_1>, accessed on February 24, 2009.
注67
Criminal Injuries Compensation Authority, A Guide to the Criminal Injuries Compensation Scheme 2008 (2008), p.4, <http://www.cica.gov.uk/Documents/Publications/Criminal%20Injuries%20Compensation%20Scheme%202008%20-%20A%20guide.pdf>, accessed on February 24, 2009. 同審査会は法務省に属する。
注68
Criminal Injuries Compensation Authority, Criminal Injuries Compensation Authority Annual Report and accounts 2007-2008, (2008), p5, <http://www.cica.gov.uk/Documents/Publications/Our%20annual%20report%20and%20accounts%2007-08.pdf>, accessed on February 24, 2009.
注69
被害者補償制度への異議申立を含む「一次裁定機関」(First-tier Tribunal)の役割については次のURLを参照のこと。Tribunals Sevice,<http://www.tribunals.gov.uk/Tribunals/Firsttier/firsttier.htm>, accessed on February 26, 2009.
注70
あすの会、4頁。
注71
Criminal Injuries Compensation Authority, the Criminal Injuries Compensation Scheme (2008), (2008), p.5, <http://www.cica.gov.uk/About-CICA/Latest-News/The-Criminal-Injuries-Compensation-Scheme-2008/>, accessed on February 24, 2009.
注72
CICA, A Guide to the Criminal Injuries Compensation Scheme 2008, p.3.
注73
同上, p.3.
注74
同上, p.3.
注75
同上, pp. 4-5.
注76
あすの会、4-8頁。
注77
同上、1頁。
注78
同上、11頁。
注79
CICA, A Guide to the Criminal Injuries Compensation Scheme 2008, p.10.
注80
あすの会、6-7頁。
注81
CICA, the Criminal Injuries Compensation Scheme (2008), p.7.
注82
あすの会、7-8頁
注83
CICA, the Criminal Injuries Compensation Scheme (2008), pp.16-17.
注84
あすの会、9-10頁。
注85
:CICA, A Guide to the Criminal Injuries Compensation Scheme 2008, pp.4-5.
注86
CICA, Criminal Injuries Compensation Authority Annual Report and accounts 2007-2008, pp. 11-12.
注87
あすの会、34頁。
注88
The Compensation Agency for Northern Ireland, A Guide to the Northern Ireland Criminal Injuries Compensation Scheme 2002, p.16, <http://www.compensationni.gov.uk/pdf/complete_guide.pdf>, accessed on February 24, 2009.
注89
Office of Public Sector Information, the Criminal Injuries Compensation Order 2002, <http://www.opsi.gov.uk/si/si2002/20020796.htm>, accessed on February 24, 2009.
注90
The Compensation Agency for Northern Ireland, A Guide to the Northern Ireland Criminal Injuries Compensation Scheme 2002, pp2-3. The Compensation Agency for Northern Ireland, Annual Report and Accounts 2006-2007, (2007), pp.2-3,<http://www.nio.gov.uk/index/index/nio-publication/nio-pubs-search-results.htm?category=Compensation_Agency&keyword=
&order=date&submitbutton.x=1&submitbutton.y=1>, accessed on February 24, 2009.
注91
Northern Ireland Office, The Proposed Northern Ireland Criminal Injuries Compensation Scheme 2009, (2009), <http://www.nio.gov.uk/the_proposed_northern_ireland_criminal_injuries_compensation_scheme_2009.pdf>, accessed on February 24, 2009.
注92
The Compensation Agency for Northern Ireland, Annual Report and Accounts 2006-2007, p.2.
注93
The Compensation Agency for Northern Ireland, A Guide to the Northern Ireland Criminal Injuries Compensation Scheme 2002, p.12.
注94
同上, p.2.
注95
同上, p.11.
注96
同上, p.2.
注97
The Compensation Aggency for Northern Ireland, Compensation for Victims of Violent Crime?: A Shortened Guide to the Northern Ireland Criminal Injuries Scheme, p.3-4, <http://www.compensationni.gov.uk/pdf/short_guide.pdf>
, accessed on February 24, 2009.
注98
The Compensation Agency for Northern Ireland, A Guide to the Northern Ireland Criminal Injuries Compensation Scheme 2002, p.25.
注99
同上, p.6.
注100
同上, pp.3-4.
注101
The Compensation Aggency for Northern Ireland, Compensation for Victims of Violent Crime?: A Shortened Guide to the Northern Ireland Criminal Injuries Scheme , p.3.
注102
The Compensation Agency for Northern Ireland, A Guide to the Northern Ireland Criminal Injuries Compensation Scheme 2002, p.6.
注103
The Compensation Aggency for Northern Ireland, Compensation for Victims of Violent Crime?: A Shortened Guide to the Northern Ireland Criminal Injuries Scheme, p.4.
注104
The Compensation Agency for Northern Ireland, A Guide to the Northern Ireland Criminal Injuries Compensation Scheme 2002, p.3.
注105
同上, pp.3-4.
注106
同上, p.5.
注107
The Compensation Aggency for Northern Ireland, Compensation for Victims of Violent Crime?: A Shortened Guide to the Northern Ireland Criminal Injuries Scheme, p.2.
注108
The Compensation Agency for Northern Ireland, Annual Report and Accounts 2006-2007, p.2.
注109
Northern Ireland Compensation Agency, The Compensation Agency: Framework Document, (2007), p.7, <http://www.nio.gov.uk/compensation_agency_framework-2.pdf>, accessed on February 24, 2009.
注110
Criminal Injuries Compensation Authority, Applying for Criminal Injuries Compensation in Other European Union Countries, (2008), <http://www.cica.gov.uk/Documents/publications/Guide%20-%20Applying%20in%20other%20EU%20countries.pdf?epslanguage=en>, accessed on February 24, 2008. Criminal Injuries Compensation Authority, <http://www.cica.gov.uk/Documents/publications/Guide%20-%20Applying%20in%20other%20EU%20countries.pdf?epslanguage=en>, accessed on February24, 2009.
注111
同上.
注112
CICA, Applying for Criminal Injuries Compensation in Other European Union Countries.
注113
CICA, <http://www.cica.gov.uk/Documents/publications/Guide%20-%20Applying%20in%20other%20EU%20countries.pdf?epslanguage=en>
注114
House of Commons, <http://www.parliament.the-stationery-office.com/pa/cm200708/cmhansrd/cm080707/text/80707w0044.htm>, accessed on February 27, 2009.
注115
Clive Walker, “Response to Home Office Papers on a Future Counter-Terrorism Bill,” (October 2007), pp14-15, <http://security.homeoffice.gov.uk/news-publications/publication-search/consultation-responses/clive-walker-law-response?view=Binary>, accessed on February 24, 2009. House of Commons, <http://www.parliament.the-stationery-office.com/pa/cm200708/cmhansrd/cm080707/text/80707w0044.htm>
注116
Criminal Justice System, Rebuilding Lives: Supporting Victims of Crimes, (2005), pp.21, <http://www.cjsonline.gov.uk/downloads/application/pdf/Rebuilding%20Lives%20-%20supporting%20victims%20of%20crime.pdf>, accessed on February 24, 2009.
注117
Jago Russel, “Liberty’s Briefing: Victims of Overseas Terrorism Bill,” (2007, Liberty), p.7, <http://www.liberty-human-rights.org.uk/pdfs/policy07/victims-of-overseas-terrorism-bill.pdf>, accessed on March 26, 2009.
注118
同上, p.6, House of Commons, <http://www.parliament.the-stationery-office.com/pa/cm200708/cmhansrd/cm080707/text/80707w0044.htm>
注119
BBC News, “Fund for Overseas Terror Victims,” (May 17, 2007), p.2, <http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/6666601.stm>, accessed on February 24, 2009.
注120
BBC.
注121
BBC.
注122
British Red Cross, “Red Cross announces fund for assist victims of terrorist attacks abroad,” (May 17, 2007), <http://www.redcross.org.uk/news.asp?id=70149>, accessed on February 24, 2008.
注123
同上.
注124
The World Society of Victimology, Victimology, vol.10, Issue 2, (January-March 2007), pp.2.  <http://www.worldsocietyofvictimology.org/publications/wsv102.pdf>, accessed on February 24, 2009.
注125
British Red Cross
注126
Foreign and Commonwealth Office, “Exceptional Assistance Measures for Victims of Terrorist Incidents Overseas,” (June 2, 2008), <http://www.fco.gov.uk/en/travelling-and-living-overseas/staying-safe/terrorism-abroad>, accessed on February 27, 2009.
注127
同上.
注128
あすの会、56-57頁。
注129
Julia Mikaelson and Anna Wergens, “Repairing the Irreparable: State Compensation to Crime Victims,” (2001), p.157, <http://www.brottsoffermyndigheten.se/Sidor/EPT/Bestallningar/PDF/Repairing.pd>, accessed on February 24, 2009.
注130
あすの会、57頁。
注131
Russel. p.9.
注132
House of Lords, Victims of Overseas Terrorism Bill, (2007), p.3., <http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200607/cmbills/124/2007124.pdf>, accessed on March 26, 2009.
注133
例えば、2008年10月29日の庶民院議事録第244列から248列参照。<http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200708/cmhansrd/cm081029/halltext/81029h0002.htm>, accessed on February 24, 2009.
注134
Scottish Exective, Legislattive consent memorandum Victim of Overseas Terrorist bill, (2007),<http://www.scottish.parliament.uk/business/legConMem/LCM-2006-2007/VictimsOfOverseasTerrorismBill.htm>, accessed on February 24, 2009.