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2.アメリカにおけるテロ事件被害者等への経済的支援

表2-1に米国においてどういった制度が犯罪・テロ被害者への経済的支援をカバーしているのかを簡潔に示す。

連邦国家である米国においては、従来から犯罪被害者に対する補償制度は各州を基盤としており、我が国と比べ、犯罪被害者補償の領域において中央政府の果たす役割は限定的なものとなっている。しかし、昨今の米国内外におけるテロ情勢の深刻化を受けて、連邦レベルでの海外テロ被害者のための補償制度が創設されるなどの新たな取り組みも進められてきた。そこで、本稿では、米国における国内外の犯罪被害及びテロ被害を対象とする各被害者補償制度の概要を整理すると共に、90年代後半以降の連邦政府によるテロ被害者支援の取組に影響を与えたと考えられる当時のテロ情勢も同時に整理することとする。

表2-1:米国における犯罪・テロ被害者への経済的支援制度
  犯罪 テロ
国内 国外 国内 国外
各州における犯罪被害者補償制度* ** **
国際テロ被害者費用償還制度 × × ×
*
連邦政府による州への補助金制度あり。
**
実施している州としていない州がある。
(出典:株式会社 独立総合研究所作成)

2-1:犯罪被害者への経済的支援

米国における犯罪被害者への経済的支援は州レベルから始まった。1965年にカリフォルニア州で全米初の犯罪被害者補償制度が成立したのを契機に、他州でも制度構築に向けた動きが始まり、80年までに28の州で同様の制度が導入されていった。今日では全米50州すべてが、犯罪被害者補償のための制度を有している(注1)。

また、連邦レベルにおいても、各州の補償制度を支援するため、1984年には犯罪被害者法(the Victim of Crime Act of 1984)が成立し、犯罪被害者基金(Crime Victims Fund)が創設された。この基金を通して、連邦政府は各州の補償制度並びに被害者支援制度等に対する補助金の交付を実施している(注2)。

2-1-1:犯罪被害者補償制度

(1)制度の趣旨、理念、及び根拠法令
犯罪被害者への補償は各州がそれぞれ独自に実施しており、各州の補償制度は各州法に拠っている。このように各州の補償制度はおのおの独立したものであるが、受給資格並びに受給額に大きな差異はない(注3)。さらに、すべての補償制度は他の手段で被害者の損失を補填できない時に限った「最終手段」であるという理念のもとに成り立っている(注4)。
(2)給付対象
先に述べたように、補償制度は各州によって運営されている。よって、制度の内容は州によって多様である。しかし、共通しているものを取り上げると、概ね給付対象者は以下のようになっている(注5)。
  • 身体的被害を受けた者
  • 事件の結果、精神的被害を受けた者
  • 被害者の家族(一部の州では、被害者の負傷や死亡による経費を負担した第3者も含む)
さらに、被害者には以下の義務が定められている(注6)。
  • 法執行機関への適時適切な通報
  • 捜査及び起訴への協力
  • 被害において本人の過失がないこと
  • 期限通りに各州の補償制度に申請をおこない、求められた情報を提供すること
当然ながら、これらの補償制度は州によって所管されているため、対象となる犯罪被害は州内において発生した犯罪被害になる。そのため、州民が他州で犯罪被害に遭った場合は、居住している州ではなく、被害が発生した州に補償申請を行うことになる。なお、海外における州民の犯罪被害については、カリフォルニア州など12州において補償が実施されている(注7)。一方、連邦レベルでは海外におけるテロ以外の犯罪被害者を対象にした補償制度は存在しない。故に海外で一般犯罪被害に遭った場合は国務省領事局海外邦人サービス課を通して、各州の犯罪被害者補償制度を利用することになる。
(3)給付内容及び併給調整
次に補償内容であるが、補償からの給付が充てられる支出項目は以下のように定められている。
  • 医療費(歯科も含む)
  • メンタルヘルスのためのカウンセリング費
  • 被害者の賃金損失補償費
  • 死亡した被害者の配偶者への支援費
  • 葬儀及び埋葬費
なお、一部の州を除き、物的損害や窃盗被害は補償されない。最高支給限度額は各州によって異なるが、平均すると約25,000ドルとなっている(注8)。
 また、先述したように、補償制度は他の手段によって被害者が救済されない場合の最終手段との位置づけから、保険やその他公的補償との調整が実施される。具体的には、民間及び公的健康保険、自動車保険、障害保険、労働災害補償からの支給分は控除される(注9)。
(4)申請方法及び査定方法
申請において、応募者は申請用紙を州の補償制度運営機関、警察、検事局、被害者支援機関から入手できる。記入された申請書は州の補償制度運営機関へと提出される。補償制度運営機関は資格要件や被害に伴う費用を審査・算定し、応募者に審査結果を通知するという段取りになっている(注10)。
 さらに、給付にあたっての査定であるが、カリフォルニア州のケースでは、カリフォルニア州被害者補償及び政府請求委員会(California Victim Compensation and Government Claims Board)が犯罪に係るすべての請求書を審査することになっている。もしも、被害者ないし申請者がその請求をすでに支払ったのであれば、それを文書化し、報告しなくてはならない。また、申請者が犯罪被害の結果、職務に支障をきたしていると申告すれば、委員会は雇用主に確認をとることになっている。申請者が自営業者であれば、委員会は2年分の所得税の納税申告書を申請者に求めることになる。さらに、委員会は保険会社と連絡を取り合い、保険による給付額を確認した上で、給付額を決定する。先述したように、各州の犯罪被害者のための補償制度は、保険等他の手段でカバーできない費用のみを負担するためである(注11)。
(5)供給実績及び財源
司法省の報告によると、2005財政年度における全州合わせた支給件数は198,825件、2006年度は208,314件となっており、両年度合わせた各州の補償制度への支出額は、869,931,957ドルと報告されている。支出の内で、最も大きな割合を占めているのが、被害者に対する医療費で、全体の53パーセントにのぼっている。なお、一件あたりの平均給付額はおよそ3,000ドルと報告されている(注12)。項目毎の支出金額合計と全体に占める比率を表2-2に示す。
 各州の補償制度に充てられる資金の財源は州によって異なるが、大きく分けて2種類あるといわれる。1つは、犯罪者から徴収した罰金であり、2つめは州議会によって承認される一般歳出である。5分の4の州が前者を補償制度の財源に充てているといわれている。また、この他に連邦政府からの補助金も州の犯罪被害者補償制度に配分されており、全州の補償制度総予算額の60パーセントを占めている(注13)。
表2-2:2005及び2006財政年度における州補償制度給付金の支出項目別合計と比率
費目 支出金額の合計 比率(%)
医療/歯科治療費 $459,884,946- 53
財政支援 $157,669,101- 18
葬儀/埋葬費 $96,111,383- 11
メンタルヘルス $69,714,137- 8
性犯罪検査 $37,195,986- 4
犯行現場清掃 $715,685- 1
その他 $48,640,719- 5
合計 $869,931,957- 100
(出典:2007年司法省犯罪被害者対策室報告書より)(注14

2-1-2:連邦政府からの制度支援

連邦レベルにおいても、各州の犯罪被害者補償制度に対して支援枠組みの整備が図られてきた。連邦レベルでの取組の発端となったのが1984年に制定された犯罪被害者法(the Victims of Crime Act)であった。同法は全米各州の被害者支援制度、被害者補償制度、及び被害者救済サービス提供者への研修制度への支援を目的とし、これらの目的を達成するため犯罪被害者基金(Crime Victims Fund)の創設を定めている(注15)。

同基金は連邦法違反者から徴収された罰金を主体に成り立っており、これは法を犯した者がなしうるかぎりの方法で被害者の被害を軽減することに責任を負うべきであるという哲学を反映したものである(注16)。また、同基金を運営するのは、犯罪被害者法の修正を受けて1988年に設立された司法省犯罪被害者対策室(Office for Victims of Crime)である。同室は全米規模での犯罪被害者支援能力を向上させること及び被害者救済のリーダーシップをとることを責務とする(注17)。

同室は基金を各州の被害者補償制度や被害者支援サービスに拠出することを通して、全米各地の犯罪被害者を支援している。犯罪被害者への補償に関しては、州犯罪被害者補償制度定式補助金(State Crime Victim Compensation Program Formula Grants)があり、各州の被害者補償財源を補完する役割を果たしている。なお、同基金のその他の用途としては以下のものがある(注18)。

  • 州被害者支援制度定式補助金(被害者支援サービス向け)
  • 犯罪被害者対策室裁量補助金(被害者支援に係る研修等向け)
  • 連邦検事局の被害者・証人コーディネーター ※連邦検事局にて被害者対応にあたる専門官
  • 連邦捜査局(FBI)被害者専門員 ※被害者に捜査の進捗報告等を実施する専門官
  • 連邦被害者通知制度 ※被害者に犯人の出所及び服役に係る情報を通知
  • 児童公正法に係る定式補助金(米国内の先住民社会における児童への性的虐待や育児放棄への対応支援向け)

2006財政年度では、総額6億2500万ドルが同基金から各項目へ拠出され、約1億4300万ドルが州犯罪被害者補償制度定式補助金へと配分されている(注19)。基金財源は先述したとおり、大部分が連邦法違反者からの罰金で構成されており、その比率は財源全体の98パーセントを占めると報告されている。また、その他の財源としては、保釈金、没収物、賦課徴収、寄付がある(注20)。

2-1-3:海外犯罪被害への取組

海外における州民の犯罪被害については、12州(アラスカ、カリフォルニア、コロラド、イリノイ、アイオワ、カンザス、マサチューセッツ、ミシシッピー、ニュージャージー、ペンシルバニア、テキサス、ウィスコンシン)が既存の犯罪被害補償制度の枠組みの中で補償を実施している(注21)。一方、既に述べたが、連邦レベルでは海外におけるテロ以外の犯罪被害者を対象にした補償制度は存在しない。故に海外で一般犯罪被害に遭った場合は国務省領事局海外邦人サービス課を通して、各州の犯罪被害者補償制度を利用することになる。

しかし、上記のとおり、海外犯罪被害への補償を実施している州の数は限られているため、多くの場合においては必然的に犯罪被害発生国の補償制度に依拠することになる。係る理由から、司法省犯罪被害者対策室は、国際犯罪被害者補償制度資料集(the International Crime Victim Compensation Program Resource Directory)を作成し、各国(米国を含む29の国と地域)の犯罪被害補償制度の連絡先、要件、手続き等をリストアップしている。

制度資料集に記載されている29の国と地域全てが外国人に対して補償を実施しているわけではないが、そのうち25の国及び地域(米国を含む)は外国人に対する補償を実施している。なお、米国以外で外国人に対して補償を実施している国として、オーストラリア、カナダ、キプロス、フィンランド、ドイツ、オランダ、イタリア、フィリピン、ポルトガル、スウェーデン、アラブ首長国連邦、ベルギー、バミューダ、デンマーク、フランス、チェコ、イギリス、ポーランド、スペイン、スイス、アイルランド、イスラエル、ノルウェーそして日本が挙げられている(注22)。

2-2:テロ被害者への経済的支援

米国では、従来から各州の犯罪被害者補償制度が、一般犯罪被害同様に国内外のテロ被害への補償も実施してきた(但し、海外テロ被害者への補償に関しては、2001年の米国愛国者法(the Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001)制定以降、各州の制度にとっての要件ではなくなったため、現在全ての州で実施されているわけではない)(注23)。なお、今日海外テロ被害者への補償を実施している州は全米で23州ある(注24)。

ただし、国内外を問わず、テロは一般犯罪と異なり、無差別攻撃をも含み、且つ組織的に実施されることから、大規模な破壊及び殺傷をもたらす危険性を常に有する。さらに、それが国際テロであれば、本国と異なり、被害者は適切な支援へのアクセスに困難をきたし、被害者の財政的負担は一層重くなってくる(注25)。こうした問題を受け、近年では州政府のみならず連邦政府もまた国際テロ被害者に対する独自の補償措置を創設するなど、その役割を広げている。

2-2-1:米国におけるテロ脅威の高まり

米国政府は90年代半ば以降、テロ被害者支援への取組を始めたが、それは米国内外におけるテロ脅威の高まりと時期を同じくしていた。そこで、テロ被害者支援制度の解説に入る前に、90年代当時のテロ情勢をここで振り返ってみたい。

FBIは報告書『テロリズム 2002-2005(Terrorism 2002-2005)』の中で、90年代におけるテロ情勢の傾向をいくつか指摘している。まず、1つめの傾向として挙げられているのが、テロ組織の無差別大量殺戮への志向性である。報告書はその傾向を示唆する例として、1995年3月に東京で発生したオウム真理教による地下鉄サリン事件を挙げ、同事件によってテロリストによる大量破壊兵器の入手可能性及び使用可能性が現実の脅威になったと指摘している(注26)。

また、90年代におけるもう1つの傾向として、テロ活動が米国外のみならず、米国内においても活発化していた点が挙げられている。特に、極右による、オクラホマシティにおける連邦政府ビル爆破事件、アトランタにおけるオリンピック公園爆破、さらにアラバマ州バーミンガムにおける中絶病院爆破の事例を指摘し、米国内の極右勢力が旧来の極左組織に代わって、その暴力性において最も深刻な脅威になったと報告書は指摘している(注27)。FBIによると、極右組織は大量の武器及び弾薬を集積する傾向があることから、大規模な破壊能力を有し、また、上記の事案に見られるように、多くの無辜の一般市民を攻撃に巻き込むこともいとわない特長があるとされる(注28)。

さらに、広範なネットワークを持つテロ勢力、とりわけ、世界的規模での聖戦(ジハード)を標榜するイスラム過激派ネットワークの台頭もこの時期から始まった。1989年のソ連のアフガニスタンからの撤退後、イスラム過激派は、アフガニスタン国外における紛争にも関心を強め、世界的規模で活動範囲を拡大していった。1996年にはウサマ・ビンラディンが、米国に対して宣戦を布告し、98年には米国民及びその同盟国を標的にしたテロ攻撃を呼びかける声明も出されている。これ以後、世界各地で米国人を標的にしたテロが相次いでいる(注29)。

こうした90年代におけるテロ脅威の高まりはデータにも現れている。米国の有力シンクタンクであるランド研究所が99年に発表した調査報告『新たなテロリズムへの対抗(Countering the New Terrorism)』では、90年代を通して、テロによる死亡者数が明らかに増加していることが指摘されている。90年代以降のテロ事件の件数自体には減少傾向が見られるものの、テロ事件の全体の件数の内、死者の出たテロ事件の割合を見てみると、70年代は平均17.5パーセント、80年代は平均19パーセントであるのに対し、90年代(92年から96年)は24.3パーセントと急激に増加しており、テロの凶悪化並びに被害の高まりをこのデータから読み取ることができる(注30)。

また、米国に係る個別の事件を見てみると、先述の95年4月に発生した、オクラホマシティにおける連邦政府ビル爆破事件はその被害の大きさにおいて甚大なものであり、まさに凶悪化・無差別化した90年代以降のテロ情勢を象徴するかのような事件であった。極右主義者ティモシー・マクベイによって引き起こされた同事件は死者168人を出し、当時の米国としては、史上最大規模のテロ事件と伝えられた。事件は米国の中心部で発生したということもあり、「水曜日はすべてを変えた」と地元メディアが伝えたように、その影響はオクラホマ州を超えて全米規模にまたがるものとなり、同事件を契機に暴力犯罪並びに災害への対応及び被害軽減において連邦政府は積極的な役割を果たすことが求められていくようになった(注31)。

また、米国人の海外でのテロ被害事例としては、1998年に発生したアルカイダメンバーによるケニア及びタンザニアの米国大使館同時爆破事件が挙げられる。米国人の死者は12人及び負傷者は7人であったが、現地人死者は224人を数え、大規模かつ無差別なテロ攻撃を印象づける事件となった。さらに、その後、イエメンにおいても、同組織メンバーによる米駆逐艦に対する襲撃事件が発生し、17人の米国人乗組員が殺害された(注32)。

無論、米国史上最大規模のテロ被害を出したのは、2001年の同時多発テロ事件であった。同年9月11日、19人のアルカイダメンバーが米国上空で4機の旅客機をハイジャックした後に、テロ攻撃を実施し、ニューヨーク、ワシントンDC、ペンシルバニアの3地域で合計2972人が死亡する大惨事を引き起こした(注33)。大規模な被害を出した同事件は州主体のテロ被害者補償に問題を提起することになった。事件以後、各州の補償制度運営機関関係者達からは各州補償制度は大量の被害者に対応できる財政的余裕はなく、大規模なテロ事件に資金が割かれれば、一般犯罪への補償がおろそかになってしまうとの懸念の声が上がった。結果として、多くの関係者の間では、連邦政府がテロ被害者補償において、主要な役割を果たすべきであるとの認識が広がるに至った(注34)。

2-2-2:反テロリズム及び緊急事態援助制度(Antiterrorrism and Emergency Assistance program)と連邦政府によるテロ被害者支援の開始

先述のオクラホマシティにおける連邦政府ビル爆破事件後、連邦議会は犯罪被害者法を改正し、連邦補助金の交付にあたり、各州補償制度に国内外のテロ被害者に対する補償を義務づけた。さらに、司法省犯罪被害者対策室の下、連邦の犯罪被害者基金を用いてテロと集団暴力の被害に遭った州と被害者に支援を提供するための「反テロリズム緊急事態準備金 (the Antiterrorism Emergency Reserve) 」が創設されることになった(注35)。

同財源を活用してテロや集団暴力に対応する関係機関(各州の犯罪被害者補償制度運営機関等)のサービス及び財源を補完するために創設されたのが、「反テロリズム及び緊急事態援助制度」であった(注36)。同制度を通して、連邦政府は国内におけるテロ及び集団暴力の被害者に対する補償並びに支援サービスへの資金拠出、国外におけるテロ及び集団暴力の被害者に対する支援サービスへの資金拠出を実施している(注37)。上述のとおり、これらの資金は、あくまでテロ及び集団暴力に対応する各州等の財源及び支援サービスを「補完」する(supplement)ものであることから、各州等が既存の財源では十分に対応しきれないときのみ拠出される(注38)。

なお、同制度に係る犯罪被害者法の改正は1996年反テロ及び効果的死刑法(the Antiterrorism and Effective Death Penalty Act of 1996)、1997年一般歳出法(the Omnibus Consolidated Appropriations Act of 1997)、2000年人身売買及び暴力被害者保護法(the Victims of Trafficking and Violence Protection Act of 2000)及び2001年米国愛国者法(the Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001)の制定を受けて実施されてきている(注39)。

同制度において、申請資格があるのは、1)各州の犯罪被害者補償制度運営機関、2)連邦検事局、3)その他関係する州及び連邦機関、4)民間の被害者支援団体、となっている(注40)。上記の通り、申請資格があるのはいずれも被害者支援機関であり、個々の被害者には申請資格はない。なお、後述の国際テロ被害者費用償還制度を除き、連邦政府は個々の被害者に対する直接補償は実施していない(注41)。

また、同制度ではテロリズムの定義も明らかにされている。同制度のガイドラインによると、国内テロは「(A)合衆国及び州の刑法に違反する人命にとって危険な行為、(B)(i)一般市民を脅かすないし強制する、(ii) 強制または脅迫を通して政府の政策に影響を与えようとする、又は (iii) 誘拐、暗殺、破壊を通して政府の行為に影響を与えようとする意図を有し、(C)主に合衆国の管轄域内で発生する」ものを指す。他方で、国際テロの場合は(C)において「主に合衆国の管轄域外で発生するもの、又は達成された攻撃手段、脅迫と強制の対象者、又は犯人の活動地域や隠れ家のある地域が国境をまたいでいる」ものとなる(注42)。

なお、申請者が同制度内で利用可能な補助金及びサービスは以下のようになっている(注43)。

  • 犯罪被害者補償補助金
  • 危機応答補助金
  • 被害管理補助金
  • 刑事裁判支援補助金
  • 訓練及び技術的援助

このうち、被害者への補償に利用されるのが、最初に挙げている犯罪被害者補償補助金である。なお、同補助金を用いた補償は医療費、メンタルヘルス費、賃金損失補償費、葬儀費に充てられることになっている(注44)。また、補助金の配分においては、その他の司法省犯罪被害者対策室からの補助金及び民間からの寄付金との調整が実施されている。補助金の給付額の決定においては、他の財源、被害の深刻さ及び被害者の人数等が考慮される(注45)。

以上に挙げた補助金に対する申請手続きはオンライン上で実施できる。申請先は司法省犯罪被害者対策室となっており、申請団体は事件発生後すみやかに申請手続きを実施する必要がある。申請された内容は同室によって審査され、審査終了後に同室室長へ交付推薦がおこなわれる。室長が交付を決定後、監理官室が申請団体のその他利用可能な財源等を調査したうえで、最終的な給付がおこなわれることになっている(注46)。なお、申請にあたっては以下の情報の記述が求められている(州の犯罪被害者補償制度運営機関による申請の場合)(注47)。

  • 発生した事案に関する説明
  • 補償の給付対象者の人数
  • 項目毎(例 医療費、葬儀費等)の州の給付可能額
  • 州の制度によって補償される支出額の範囲及び州にとって利用可能な他の財源の総額

反テロ緊急事態準備金には毎年5000万ドルが積み立てられており、これらの財源は連邦の犯罪被害者基金から拠出されている。毎年満額が使い切られるわけではなく、2002年から2006年にかけての、反テロ緊急事態準備金の交付総額は5500万ドルと報告されている(注48)。

なお、同時多発テロ事件においては、被害者、その家族等へのカウンセリング・サービス提供のために、同準備金から4200万ドルが、ニューヨーク州を含む5州に拠出されている(注49)。また、この時は反テロ緊急事態準備金とは別に、「航空運輸安全及び航空システム安定化法(Air Transportation Safety and Syetem Stabilization Act)」の下、「2001年9/11犠牲者補償基金(September 11 Victim Compensation Fund of 2001)」も創設されている。しかし、これはその名が示すとおり、同時多発テロ事件の被害者に限定した特別な措置であって、恒久的な制度ではない。同基金での補償額が60億ドル超と莫大であったことから推察すると、この時に限り連邦政府は反テロ緊急事態準備金とは別の補償枠組みを必要としたものと思われる。

また、司法省犯罪被害者対策室は、米国外でテロや集団暴力に遭った被害者及びその家族を支援するための「犯罪被害者緊急支援基金 (Crime Victim Assistance Emergency Fund)」の創設資金をFBIに供与し、FBI被害者支援室(Office for Victim Assistance)と共に、国際テロ及び集団暴力の被害において適切な支援を受ける財源を持たない人々の緊急のニーズに対応する取組も実施している。具体的な支援内容としては、被害者家族が現地に赴く際に要する短期宿泊費及び旅費の提供、さらには医療機関への移送支援等が挙げられている(注50)。同基金は後述の「国際テロ被害者費用償還制度」創設前に、各州間の支援の不均等を是正するために実施されたもので、現在では、救急ヘリの手配など、生死に直結する事態においてのみ利用されているとされる。司法省犯罪被害者対策室によると、同基金はあくまで、緊急事態下の短期的ニーズに応えるもので、国際テロ被害の結果として生じた費用の補償といった長期的なニーズに対しては、後に詳述する国際テロ被害者費用償還制度が対応するものとしている(注51)。

2-2-3:国際テロ被害者費用償還制度(International Terrorism Victim Expense Reimbursement Program)

(1)制度の趣旨、理念、及び根拠法令
国際テロは往々にして無差別かつ大規模であり甚大な被害をもたらす。また、被害者は本国から遠く離れており、適切な支援サービスへのアクセスにしばしば支障をきたす。また、前に触れたとおり、同制度創設以前までは国際テロ被害者の補償も各州の犯罪被害者補償制度のみによって実施されており、各被害者はそれぞれ同程度の被害でも、州の違いから受けられる支援にも差異が生じるという問題も抱えていた。係る理由から、連邦議会は2000年に「人身売買及び暴力被害者保護法」(the Victims of Trafficking and Violence Protection Act of 2000)を制定した。同法制定に伴って、犯罪被害者法が修正され、司法省犯罪被害者対策室に国際テロ被害者のための補償制度を創設する権限が付与されることとなった。その結果、「国際テロ被害者費用償還制度」(International Terrorism Victim Expense Reimbursement Program)が創設されることになり、2006年より、同制度の運用が始まった(注52)。
 また、こうした連邦レベルでの国際テロ被害者向けの制度設計開始に伴い、各州の補償制度に課せられていた海外テロ被害者への補償実施という要件は2001年の米国愛国者法の制定によって削除されることになった。無論、この事は決して州レベルでの海外テロ被害補償に対する制約を意味するものではないが、今後はITVERPが海外テロ被害者にとっての主たる補償措置となっていくものと見られている(注53)。
(2)給付対象
同制度において受給資格があるのは以下の者となっている。
  • 米国民
  • 米国政府職員(米国政府に勤務している外国人も含む)
また、被害者が死亡、禁治産者、又は未成年者の場合は被害者の配偶者、両親、子息、兄弟姉妹、又は法定代理人が代わりに請求を申し立てることが出来る。なお、同制度において被害者とみなされるのは、国際テロ事案において直接に身体的・精神的被害を受けた者で、その事案も1988年12月21日以後に発生し、1996年4月24日以降においても捜査中ないし訴追中の事案に限られる(注54)。
(3)給付内容及び併給調整
ITVERPにおいて、受給者に認められている補償金の用途は以下のようになっている(注55)。
  • 医療費(5万ドルまで)
  • メンタルヘルス費(5千ドルまで)
  • 物的損害補償費(1万ドルまで)
  • 葬儀・埋葬費(2万5千ドルまで)
  • その他雑費(1万5千ドルまで)
なお、弁護人・訴訟費用、苦痛、及び生きる喜びや配偶者権の喪失(loss of enjoyment of life or of consortium)に係る費用は制度の対象とはなっていない(注56)。 また、各州が提供している犯罪被害者補償制度同様に、ITVERPにおいても、併給調整が実施されており、被害者への補償額はその他の保険収入の分だけ減額されることになっている。具体的な例としては、ITVERPによる補償と重複する健康保険、損害保険、葬儀・埋葬保険からの給付は利用しうる他の財源(collateral source)と見なされ、その分ITVERPによる補償から相当分が減額されることになっている(注57)。
(4)申請方法及び査定方法
同制度への申請は原則として被害者自身が実施することになっている。また申請は原則として国際テロ行為が発生した日から3年以内に実施されなくてはならない。申請の際は、申請者はまず郵送にて応募書類を司法省犯罪被害者対策室に提出しなくてはならない。この申請書はITVERPのウェブサイトから入手できることになっている。記入された申請書には署名と補償の対象となる支出を示すための領収書等の原本も添付する必要がある。さらに、申請者はその他の利用可能な財源に関する正確な情報も提供しなくてはならない(注58)。
 なお、現在司法省犯罪被害者対策室はFBIの被害者支援室と連携して、制度の利用資格を有すると推定される被害者のデータベースを維持・更新しており、連絡先が確認できている被害者に対して申請書の郵送もおこなっている(注59)。
 申請書には、被害者の個人情報、申請者の個人情報、被害に遭った事案に関する情報、補償の対象として求める支出の種類、利用しうる他の財源等を記載しなくてはならない(注60)。提出された申請書が受理された後、司法省犯罪被害者対策室のケース・マネージャーに書類が送付され、申請書の審査が始まる。身元照会、記入漏れ等のチェックをした後、同マネージャーは申請内容を保存するための事件ファイルを作成し、請求者の事件に係る情報をまとめる。申請した情報が事実として確認されれば、次に併給状況や現地通貨との交換レートが確認され、補償費用シートが作られる。その後、プロジェクト・マネージャーからの承認を得た上で、ケース・マネージャーは提案書を作成し、被害者対策室制度専門担当員に送付する(注61)。
 担当員は提案書を審査すると共に、事案がテロ事件として認定されているか否かも確認する。事案が司法長官又はその指定を受けた者により、テロ事件として認定されていることが確認され、申請内容も事実として認められれば、担当員は提案を承認し、最終的に被害者対策室室長の承認で補償の実施が決定される。なお、テロ認定の基準については、部外秘となっている。
 また、査定にあたっては、申請用紙の記載事項でもある被害情報、被害者の負担額、利用可能な他の財源に加え、現地通貨との交換レートも考慮される(注62)。
(5)供給実績及び財源
2007年10月から2008年11月にかけて、ITVERPに対して25件の申請があり、そのうち6件が承認され、給付が実施されている。給付の総額は2万5千ドル超となっている(注63)。なお、ITVERPの財源は先述の犯罪被害者基金から拠出されている(注64)。

2-3:総括

以上の制度を概観してわかることは、米国における犯罪及びテロ被害者補償制度は基本的には各州に立脚しており、連邦政府の制度は国際テロ被害補償領域を除いて各州補償制度の補完として機能しているということである。各州の制度における申請の要件は概ね同じであり、支給額にも州間で大きな開きはないものの、全米50州すべてがそれぞれの州法に拠って、独自の制度を有している。これに対し、連邦政府は連邦被害者法に基づき、犯罪被害者補償基金を各州に交付することにより、各州の制度を支援している。

このように、犯罪被害者補償制度は各州で運営されていることから、当然ながら、その財源もまた各州で独立している。そのため、大規模テロ事件のように、一度に大量の被害が発生し、州の財源を超える巨額の補償を要するようなケースが発生した場合、その補完として、連邦政府から反テロリズム及び緊急事態援助制度の下で、各州に被害者補償及び被害者支援のための補助金が配分されることとなっている。

また、制度の財源が犯罪者からの罰金に依拠しているというのも、アメリカの制度の特長といえる。大多数の州の犯罪被害者補償制度は、州法違反者からの罰金を財源としており、連邦の犯罪被害者基金もまた連邦法違反者からの罰金を主たる財源としている。

さて、先述のとおり、犯罪被害補償領域並びに国内テロ領域においては、州が前面に出て、連邦が後方から支えるという構図になっているものの、国際テロ被害補償領域に関しては、これとは異なる構図となる。2001年米国愛国者法では、連邦政府に海外テロ被害補償制度創設の任務が与えられると同時に、各州にそれまで課されていた海外テロ被害者補償の要件が削除された。係る理由から、司法省犯罪被害者対策室は、ITVERPが各州の被害者補償制度に代わり、海外テロ被害補償を今後担っていくことになるであろうという見通しを示しており、今後は連邦政府が海外テロ被害者補償において主たる役割を果たしていくことになると予想される。

なお、ITVERPは2006年から運用が開始されたばかりであり、給付実績も未だ多くはないことから、制度運用に伴う課題の整理はこれからであると思われ、同制度の動向も含め、我が国としても、アメリカにおける被害者補償制度の動向を今後とも絶えず注視していく必要があると思われる。

注1
National Association of Crime Victim Compensation Boards. Crime Victim Compensation: Overview, <http://www.nacvcb.org/articles/Overview_prn.html>, accessed on January 13, 2009.
注2
法務総合研究所『平成11年版犯罪白書』<http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/40/nfm/n_40_2_5_7_2_3.html>2009年1月13日アクセス。
注3
Office for Victims of Crime, International Terrorism Victim Expense Reimbursement Program: Report to Congress・February 2006, (Rockville, MD, OVC Resource Center, 2006), p.2, <http://www.ojp.usdoj.gov/ovc/publications/infores/intlterrorismreport/welcome.html>, accessed on January 13, 2009.
注4
Office for Victims of Crime, International Terrorism Victim Expense Reimbursement Program: Report to Congress・April 2008, (Rockville, MD, OVC Resource Center, 2008), p.29, <http://www.ojp.usdoj.gov/ovc/intdir/itverp/pdf/ITVERP_2007_ReporttoCongress.pdf>, accessed on January 13, 2009. NACVCB, Crime Victim Compensation: Overview.
注5
National Association of Crime Victim Compensation Boards, Compensation for Crime Victims, (Alexandria, Virginia, National Association of Crime Victim Compensation Boards, 2002), p.2, <http://www.nacvcb.org/documents/BrochureCVC.pdf>, accessed on April 6, 2009.
注6
同上, p.2.
注7
National Association of Crime Victim Compensation Boards, “Crime Victim Compensation: Resources for Recovery,” (Alexandria, VA, The National Association of Crime Victim Compensation Boards), <http://www.nacvcb.org/documents/Fact%20sheet.docglt;, accessed on Feb 3, 2009.
注8
NACVCB, Compensation for Crime Victims, pp.2-3.
注9
同上, p.3.
注10
同上, p.3.
注11
California Victim Compensation & Government Claims Board, California Victim Compensation Program,pp.6-7, <http://www.boc.ca.gov/docs/brochures/VCP_GeneralBrochure.pdf>, accessed on January 13, 2009.
注12
Office for Victims of Crime, OVC Report to the Nation 2007: Rebuilding Lives, Restoring Hope, (Rockville, MD, OVC Resource Center, 2007), pp.29-31, <http://www.ojp.usdoj.gov/ovc/welcovc/reporttonation2007/welcome.html>, accessed on January 13, 2009.
注13
OVC, OVC Report to the Nation 2007, p.30.
注14
同上, p.31.
注15
同上, p.3.
注16
同上, p.3.
注17
同上, p.3.
注18
同上, pp.5-6.
注19
同上, p.4.
注20
同上, p.3.
注21
独立総合研究所調査による。
注22
Office for Victims of Crime, “International Crime Victim Compensation Directory,” <http://www.ojp.usdoj.gov/ovc/intdir/intdir.htm>, accessed on April 2, 2009.
注23
Eddy, Dan. “State Crime Victim Compensation Programs: Nature and Scope,” (Washington, D.C., National Center for Victims of Crime, May 2003), p.1.
注24
独立総合研究所調査による。
注25
OVC, ITVERP Report (2006), p.3.
注26
Federal Bureau of Investigation, Terrorism 2002-2005, (Federal Bureau of Investigation, 2007), pp.40-41,<http://www.fbi.gov/publications.htm>, accessed on February 3, 2009.
注27
同上, pp.40-41.
注28
Fletcher, Holly, “Militant Extremists in the United States,” (2008),<http://www.cfr.org/publication/9236/>, accessed on February 4, 2009.
注29
FBI, Terrorism 2002-2005, pp.43-44.
注30
Ian O. Lesser, Bruce Hoffman, John Arquilla, David Ronfeldt, Michele Zanini, and Brian Michael Jenkins, Countering the New Terrorism, (Santa Monica, CA, RAND, 1999) p.11,<http://www.rand.org/pubs/monograph_reports/MR989/index.html>, accessed on February 4, 2009.
注31
Office for Victims of Crime, Responding to Terrorism Victims :Oklahoma City and Beyond,(Rockville, MD, OVC Resource Center, OVC Resource Center, October 2000, p.ix, <http://www.ojp.usdoj.gov/ovc/publications/infores/respterrorism/welcome.html>, accessed on February 4, 2009.
注32
FBI, Terrorism 2002-2005, pp. 43-44. Federal Bureau of Investigation, <http://www.fbi.gov/libref/historic/famcases/cole/cole.htm>, accessed on March 26, 2009.
注33
FBI, Terrorism 2002-2005, p.47.
注34
Eddy, p.19.
注35
Office for Victims of Crime, Antiterrorism and Emergency Assistance Program, (Rockville, MD, OVC Resource Center) , p.1, <http://www.ojp.usdoj.gov/ovc/fund/pdftxt/antiterrorapplication.pdf>, accessed on January 13, 2009. OVC, OVC Report to the Nation 2007, p.45. “Antiterrorism and Effective Death Penalty Act of 1996,”<http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/getdoc.cgi?dbname=104_cong_public_laws&docid=f:publ132.104.pdf>, accessed on February 5, 2009. Office for Victims of Crime, “Victims of Crime Act Crime Victim Compensation Grant Application Kit: Fiscal Year 1999,” (Washington, D.C., 1998), p.4, <www.ojp.usdoj.gov/ovc/fund/kits/98cvc.pdf>, accessed on February 5, 2009. なお、各州の犯罪被害者補償制度に対する海外テロ被害者への補償実施という要件は2001年の米国愛国者法の制定を受けて削除され、後述の国際テロ被害者費用償還制度が創設された。しかし、この事は決して州レベルでの海外テロ被害者への補償を妨げるものではない(事実、ニューヨーク州やアリゾナ州等は海外テロ被害者を現在でも補償対象にしている)。OVC, ITVERP Report (2006), p.4.
注36
OVC, AEAP, p.1. OVC, OVC Report 2007, p.45.
注37
“Guidelines for Antiterrorism and Emergency Assistance Program for Terorrism and Mass Violence Crimes,” Federal Register, vol.67, no. 21, (2002), p.4825, <http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/getdoc.cgi?dbname=2002_register&docid=02-2299-filed.pdf>, accessed on January 13, 2009.
注38
OVC, AEAP.,p.1.
注39
同上, p.2.
注40
同上, p.1.
注41
The General Service Administration, Catalog of Federal Domestic Assistance, (Washington, D.C., the General Service Administration, 2008), p. 560, <http://www.cfda.gov/>, accessed on February 4, 2009.
注42
“AEAP Guidelines for the Antiterrorism and Emergency Assistance Program for Terrorism and Mass Violence Crimes,” p.4827, <http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/getdoc.cgi?dbname=2002_register&docid=02-2299-filed>, accessed on February 4, 2009.
注43
OVC, AEAP, p.3.
注44
Office for Victims of Crime, Antiterrorism and Emergency Assistance Program: Responding to Victims of Terrorism and Mass Violence Crimes (June 28, 2008), <http://www.ojp.usdoj.gov/ovc/publications/infores/terrorism/>, accessed on February 4, 2009.
注45
OVC, AEAP, p.5.
注46
同上, p.8.
注47
同上, pp.5-6.
注48
OVC, OVC Report to the Nation 2007, pp.45-46. Subtitle B: Amendments to the Victim of Crime Act of 1984 (1996), <http://www.nacvcb.org/documents/S1510CVF.doc>, accessed on February 4, 2009. National Association of VOCA Assistance Administrators, Victims of Crime Act: Briefing Background 2009 Budget, (2008), p.12, <http://www.naesv.org/Resources/VOCAFund.pdf>, accessed on February 4, 2009.
注49
M. Ann Wolfe, “Homeland Security: 9/11 Victim Relief Funds,” (The Library of Congress, March 2003), p.4, <http://www.law.umaryland.edu/marshall/crsreports/crsdocuments/RL31716.pdf>, accessed on February 4, 2009.
注50
OVC, OVC Report to the Nation 2007, pp.50-51.
注51
OVC, ITVERP Report (2008), p.19.
注52
同上, p.3, 28. Office for Victims of Crime, International Terrorism Victim Expense Reimbursement Program: Report to Congress (2006), (Rockville, MD, OVC Resource Center, 2006),p.3, <http://ojp.usdoj.gov/ovc/publications/infores/intlterrorismreport/welcome.html>, accessed on February 5, 2009.
注53
OVC, ITVERP Report (2006), p.4.
注54
Office for Victims of Crime, International Terrorism Victim Expense Reimbursement Program (Brochure), (Rockville, MD, OVC Resource Center), <http://ojp.usdoj.gov/ovc/intdir/itverp/pdf/ITVERP_Brochure.pdf>, accessed on January 13, 2009.OVC, ITVERP Report (2008), p.5.
注55
OVC, ITVERP Report (2008), p.5.
注56
生きる喜びの喪失の例としては、被害者が被害の結果として、歩行不能になり、被害発生前に日常的に楽しんでいた孫との散歩ができなくなるような状態を指す。また、配偶者権の喪失とは、被害による負傷の結果として、被害者が夫婦間で性的関係を築くことができなくなる等の状態を指す。
注57
OVC, ITVERP Report (2008), p.5.
注58
OVC, ITVERP (Brochure).
注59
OVC, ITVERP Report (2008), p.20.
注60
Office for Victims of Crime, “International Terrorism Victim Expense Reimbursement Program Application,” (Rockville, MD, OVC Resource Center), <http://www.ovc.gov/intdir/ITVERP/ITVERPapplication.pdf>, accessed on January 13, 2009.
注61
OVC, ITVERP Reporort (2008), pp. 5-6.
注62
同上, pp. 6-7. Office for Crime Victims, International Terrorism Victim Expense Reimbursement Program Application, <http://www.ojp.usdoj.gov/ovc/intdir/itverp/pdf/ITVERP_Application.pdf >, accessed on February 23, 2009.
注63
GSA, pp.560-561.
注64
OVC, ITVERP Report (2008), p.3.