第6章 公安の維持と災害対策 

5 大衆運動の動向

(1)原子力政策をめぐる動向

原子力発電所の再稼動等を捉え、全国各地で反対集会、デモ等が行われた。毎週金曜日の首相官邸前における抗議行動と同抗議行動に連帯する取組が各地で継続されたほか、都内では、「NO NUKES DAY」と題して、反対集会、デモ及び国会議事堂周辺での抗議が行われた(平成25年6月2日延べ8万5,000人、同年10月13日延べ4万人(いずれも主催者発表))。

 
NO NUKES DAY(6月、東京)(共同通信社)

NO NUKES DAY(6月、東京)(共同通信社)


(2)反戦・反基地運動

オスプレイの追加配備等を捉え、各地で抗議行動が行われた。沖縄県の普天間飛行場野嵩ゲート前における抗議行動に関連して、平成25年8月に公務執行妨害罪で1人、同年9月に刑事特別法(注)違反で1人をそれぞれ逮捕した。また、普天間飛行場の名護市辺野古移設に関し、県知事の公有水面埋立申請承認を捉え、沖縄県庁周辺で抗議が行われた(同年12月25日1,500人、27日2,000野嵩ゲート前抗議行動(8月、沖縄)(共同通信社)人(いずれも主催者発表))。

注: 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法

 
野嵩(のだけ)ゲート前抗議行動(8月、沖縄)(共同通信社)

野嵩(のだけ)ゲート前抗議行動(8月、沖縄)(共同通信社)


(3)特定秘密の保護に関する法律をめぐる運動

特定秘密の保護に関する法律案をめぐり、平成25年10月下旬から全国各地で反対集会、デモ等が行われた。同法律案が参議院本会議で可決された同年12月6日には、日比谷野外大音楽堂で反対集会及びデモが行われ(主催者発表約1万5,000人)、国会議事堂周辺での抗議に関連して、公務執行妨害罪で2人を逮捕した。

 
特定秘密の保護に関する法律に対する抗議行動(12月、東京)(時事)

特定秘密の保護に関する法律に対する抗議行動(12月、東京)(時事)


(4)国際会議等を捉えた反グローバリズム等の社会運動

平成 25年6月開催のG8ロック・アーン・サミット(英国)では、反G8の英国人活動家ら約2,000人がデモを行った。また、国内の反グローバリズムを掲げる勢力等は、同月に横浜市で開催の第5回アフリカ開発会議(TICADV)を、先進国や大企業のための会議と批判し、集会やデモを行った。

 
G8サミットでのデモ(6月、英国)(EPA=時事)

G8サミットでのデモ(6月、英国)(EPA=時事)


(5)我が国の捕鯨を取り巻く国内外の動向

過激な環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd)」は、我が国の南極海調査捕鯨に対し、抗議船による捕鯨船等への体当たり等過激な妨害活動を行った。また、和歌山県太地町でのイルカ漁に対して、活動家多数を同町に派遣し、漁の中止を訴えて抗議活動を行った。

(6)雇用問題を捉えた運動

全国労働組合総連合(全労連)は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の改正反対や最低賃金の引上げ等を求める運動等に取り組んだほか、平成 25年5月の第 84回中央メーデーで「くらしと雇用」、「原発ゼロ」等のスローガンを掲げて集会、デモを行った。


 第3節 公安情勢と対策

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