第6章 公安の維持と災害対策 

第4節 災害等への対処と警備実施

1 自然災害等への対処

(1)自然災害の発生状況と警察活動

平成25年中は、地震、大雨、台風、強風及び高潮により、死者・行方不明者76人、負傷者666人等の被害が発生した。21年から25年にかけての自然災害による主な被害状況は、図表6-15のとおりである。

 
図表6-15 自然災害による主な被害状況の推移(平成21~25年)
図表6-15 自然災害による主な被害状況の推移(平成21~25年)
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25年中は、梅雨前線の停滞等により7月には山口県及び島根県で、8月には秋田県、岩手県及び島根県で記録的な豪雨となり、河川の増水や土砂災害が発生した。また、台風第26号を始め、31個の台風が発生し、うち2個が日本に上陸、14個が接近した。これらの大雨、台風等の風水害により、死者68人、行方不明者8人等の被害が発生した。

ア 台風第26号

台風第26号は、大型で強い勢力のまま同年10月16日に暴風域を伴って関東地方沿岸に接近し、中国地方から北海道にかけての各地で土砂災害、河川の氾濫等が発生した。特に東京都大島町では、同月16日の朝までの24時間の降水量が800ミリを超える記録的な大雨となり、大規模な土砂災害が発生した。

この台風により、大島町を中心に、1都3県で死者41人、行方不明者4人等の被害が発生した。

関係都道県警察では、被害情報の収集、被害者の救出救助等を実施した。

特に被害の大きかった大島町には、被害の発生が明らかになった同月16日以降、警視庁の特殊救助隊、機動隊等が派遣され、行方不明者の捜索活動や被災者の救出救助等を実施した。

 
警視庁特殊救助隊等による救出救助活動(東京都大島町)

警視庁特殊救助隊等による救出救助活動(東京都大島町)


イ 淡路島付近を震源とする地震

同年4月13日午前5時33分頃、兵庫県淡路島付近を震源とするマグニチュード6.3の地震が発生し、兵庫県淡路市で震度6弱、南あわじ市で震度5強を記録し、この地震により、負傷者35人等の被害が発生した。

兵庫県警察では、災害警備本部を設置し、最大時約2,250人体制で、被害情報の収集、警戒警ら等の活動に従事した。

 
淡路島付近を震源とする地震の被害状況(兵庫)

淡路島付近を震源とする地震の被害状況(兵庫)


(2)東日本大震災への対応(注)

東日本大震災による被害は、死者15,885人、行方不明者2,623人等に上っている。

これまでに、岩手県警察、宮城県警察及び福島県警察(以下「被災3県警察」という)に対し、全国から延べ約119万人の警察職員を派遣するとともに、全国警察からの特別出向等により警察官を緊急増員するなど、全国警察が一丸となって、警察活動を強力に推進している。

現在も、被災3県警察においては、福島県警察に対する応援派遣部隊約220人を含む、約4,060人体制で、仮設住宅の防犯活動、行方不明者の捜索活動、避難指示区域等における警戒警ら等を継続して推進している。

注:数値はいずれも平成26年4月10日現在のもの

 
行方不明者の捜索状況(福島)

行方不明者の捜索状況(福島)


(3)次なる大規模災害への備え

ア 危機管理体制の再構築

警察では、東日本大震災における反省、教訓を踏まえ、災害に係る危機管理体制を再構築するための取組を行っている。これまでに、災害警備本部の強化や業務継続計画の策定、バックアップ態勢の確保等に加え、各種災害警備訓練の実施、関係機関・事業者との協定締結等の施策を推進している。

イ 災害対処能力の向上のための取組

大規模災害発生時に被災地に派遣される警察災害派遣隊の中核となる広域緊急援助隊や緊急災害警備隊等の各部隊の対処能力向上を図るため、

○ 各都道府県の地域特性を踏まえた訓練や自衛隊、消防等との合同訓練等の実施

○ 災害対策用装備資機材の整備

等を推進している。

 
関係機関との合同訓練(愛知)

関係機関との合同訓練(愛知)


ウ 今後の災害対策の見直し

今後、首都直下地震や南海トラフ地震等に対処するための政府における各種対策や計画等を踏まえ、警察においても、業務継続計画、部隊派遣計画等の策定・見直し等を行うこととしている。

 
災害対策用装備資機材の整備 緊急出動用災害対策車

災害対策用装備資機材の整備 緊急出動用災害対策車

 
災害対策用装備資機材の整備 災害警備活動用バックホウ

災害対策用装備資機材の整備 災害警備活動用バックホウ


 第4節 災害等への対処と警備実施

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