第2章 生活安全の確保 

2 生活安全産業の育成と活用

(1)警備業の育成

警備業は、施設警備、雑踏警備、交通誘導警備、現金輸送警備、ボディガード等の種々の形態を有しており、ホームセキュリティ等の機械警備の需要も拡大するなど、国民に幅広く生活安全サービスを提供している。また、空港や原子力発電所のようなテロの標的とされやすい施設での警備も行っている。

警察では、こうした警備業が果たす役割に鑑み、警備業法に基づき、警備業者に対する指導監督等を行い、警備業務の実施の適正と警備業の健全な育成を図っている。

 
図表2-46 警備業者・警備員数の推移(平成16~25年)
図表2-46 警備業者・警備員数の推移(平成16~25年)
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(2)古物商・質屋を通じた盗品等の流通防止と被害回復

古物商や質屋では、その営業に係る古物や質物として盗品等を扱うおそれがあることから、古物営業法及び質屋営業法では、事業者(注1)に対し、これらの営業に係る業務について必要な規制等を定め、窃盗その他の犯罪の防止を図っている。警察では、これらの法律に基づく品触れ(注2)や監督等により、犯罪被害の迅速な回復に努めている。

注1:古物営業の許可証の交付を受けている事業者数は74万1,045、質屋営業の許可証の交付を受けている事業者数は3,168(それぞれ平成25年末現在)

注2:警察本部長等が、盗品等の発見のために必要があると認めたときに、古物商等に対して被害品の特徴等を通知し、その有無の確認及び届出を求めるもの

コラム⑪ 古物商の関係団体における取組

平成23年7月から同年8月にかけて、大手古物商において、18歳未満の者からゲームソフト等を買い受ける際に、盗品であるとの疑いを認めたにもかかわらず古物営業法に定められた警察官への申告を行わず、万引き犯人に安易な換金を許してしまう事案が発生した。

これを受け、警察では、盗品流入防止のための取組を強化するよう古物商の関係団体に対して要請を行うとともに、関係機関・団体等と検討を行った。その結果、25年10月、CD・ゲームソフト等を取り扱う大手古物商が加盟する日本メディアコンテンツリユース協議会が、18歳未満の者からの買取りについて、中学生からの買取りは保護者同伴とすることなどを内容とする自主ルールを制定した。これにより、盗品流入防止のための取組が一層推進されることとなった。

(3)防犯設備関連業界との連携

警察では、より良質な防犯設備が供給されるよう、最新の犯罪情勢や手口の分析結果等を事業者に提供するなどして防犯設備の開発を支援している。

また、公益社団法人日本防犯設備協会が認定している防犯設備士等(注)は、防犯設備の設計、施工、維持管理に関する知識・技能を有する専門家として活躍している。警察では、同協会に対し、都道府県ごとに防犯設備士等の地域活動拠点を設立するよう働き掛けており、平成26年3月末現在、38都道府県で設立されている。

注:防犯設備士(26年4月1日現在2万4,219人)、総合防犯設備士(同331人)


 第4節 将来にわたる犯罪抑止のための基盤の構築に向けた取組

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