第2章 生活安全の確保 

3 少年非行防止に向けた取組

(1)少年非行の現状

① 少年非行情勢

平成25年中の刑法犯少年の検挙人員は5万6,469人と、前年より8,979人(13.7%)減少し、10年連続の減少となった。しかし、同年齢層人口1,000人当たりの検挙人員は7.8人で成人(2.0)の約4倍と、引き続き高い水準にある。

25年中の触法少年(刑法)及び不良行為少年の補導人員は、いずれも減少傾向にある。

 
図表2-47 刑法犯少年の検挙人員・人口比の推移(昭和24~平成25年)
図表2-47 刑法犯少年の検挙人員・人口比の推移(昭和24~平成25年)
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図表2-48 触法少年(刑法)及び不良行為少年の補導人員の推移(平成16~25年)
図表2-48 触法少年(刑法)及び不良行為少年の補導人員の推移(平成16~25年)
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② 平成25年中の少年非行の主な特徴
ア 刑法犯少年

25年中に検挙した少年の包括罪種別検挙人員は図表2.49のとおりであり、ほぼ全ての罪種で減少傾向にある。

 
図表2-49 刑法犯少年の包括罪種別検挙人員の推移(平成16~25年)
図表2-49 刑法犯少年の包括罪種別検挙人員の推移(平成16~25年)
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イ 再犯者

25年中の刑法犯少年の再犯者数は、10年連続で減少したが、刑法犯少年全体に占める再犯者の割合は16年連続で増加し、25年は34.3%と、昭和47年以降で最も高くなった。

 
図表2-50 刑法犯少年の再犯者数・再犯者率の推移(平成16~25年)
図表2-50 刑法犯少年の再犯者数・再犯者率の推移(平成16~25年)
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ウ 中学生及び高校生の検挙・補導人員(刑法)

中学生及び高校生の検挙・補導人員の推移は、図表2-51のとおりであり、いずれも減少しているが、19年以降、中学生が高校生を上回っており、非行の低年齢化が認められる。

 
図表2-51 中学生・高校生の検挙・補導人員(刑法)の推移(平成16~25年)
図表2-51 中学生・高校生の検挙・補導人員(刑法)の推移(平成16~25年)
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(2)非行少年を生まない社会づくり

警察では、都道府県警察に少年サポートセンターを設置(注)し、少年補導職員を中心に非行防止に向けた取組を行っている。また、少年の規範意識の向上及び社会との絆(きずな)の強化を図るため、非行少年を生まない社会づくりに取り組んでいる。

注:平成26年4月1日現在、全国に196か所(うち警察施設以外67か所)の少年サポートセンターが設置されている。

① 少年相談活動

少年や保護者等の悩みや困りごとについて、専門的な知識を有する職員等が面接や電話、電子メール等で相談に応じ、指導・助言を行っている。

② 街頭補導活動

少年のい集する繁華街や公園等において、少年警察ボランティア等と共同で喫煙や深夜はいかい等をしている少年に指導・注意を行う街頭補導活動を実施している。

③ 継続補導・少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動

少年相談や街頭補導活動を通じて関わった少年に対し、本人や保護者等の申出に応じて指導・助言等を行う継続補導を実施している。また、問題を抱え非行に走る可能性がある少年及び保護者に対して警察から積極的に連絡し、継続的に声を掛けるほか、体験活動等への参加促進、就学・就労の支援等を行い、再び非行に走りかねない少年の立ち直りを支援する活動を推進している。

 
農業体験を通じた立ち直り支援活動

農業体験を通じた立ち直り支援活動


④ 広報啓発活動

学校で非行防止教室、薬物乱用防止教室等を実施するなどして、地域の非行情勢や非行要因等について情報発信し、少年警察活動農業体験を通じた立ち直り支援活動等についての理解を促している。

(3)学校その他関係機関との連携確保

① 少年サポートチーム

個々の少年の問題状況に応じた的確な対応を行うため、学校、警察、児童相談所等の担当者から成る少年サポートチームを編成し、それぞれの専門分野に応じた役割分担の下、少年等への指導・助言を行っている。

② 学校と警察との連携

教育委員会等と警察の間で締結した協定等に基づき、非行少年等問題を有する児童・生徒に関する情報を学校と警察が相互に通知する学校・警察連絡制度が、全ての都道府県で運用されている。また、警察署の管轄区域や市町村の区域を単位に、平成 26年4月現在、全ての都道府県で約 2,700の学校警察連絡協議会が設けられている。

③ スクールサポーター

退職した警察官等をスクールサポーターとして警察署等に配置し、学校からの要請に応じて派遣するなどして、いじめ等の学校における少年の問題行動等への対応、巡回活動、相談活動、児童の安全確保に関する助言等を行っている。26年4月現在、43都道府県で約800人が配置されている。

(4)少年警察ボランティアとの連携

警察では、平成 26年4月現在、少年警察ボランティアとして、全国で少年補導員(注1)約5万2,000人、少年警察協助員(注2)約300人、少年指導委員(注3)約6,600人を委嘱しており、協力して少年の健全育成のための活動を推進している。また、同年3月現在、大学生を中心とした少年警察学生ボランティア約5,300人が全国で活動しており、少年と年齢が近くその心情や行動を理解しやすいなどの特性をいかし、学習支援活動や少年の居場所づくり活動等にも取り組んでいる。

注1:街頭補導活動、環境浄化活動を始めとする幅広い非行防止活動に従事している。

注2:非行集団に所属する少年を集団から離脱させ、非行を防止するための指導・相談に従事している。

注3:風営適正化法に基づき、都道府県公安委員会から委嘱を受け、少年を有害な風俗環境の影響から守るための少年補導活動や風俗営業者等への助言活動に従事している。

 
大学生ボランティアによる学習支援

大学生ボランティアによる学習支援


(5)少年事件対策

警察では、少年の健全育成のために適切な保護処分が行われるよう、警視庁及び道府県警察本部に少年事件指導官を置き、個々の少年の特性に応じた取調べ等を行うとともに、客観的証拠の収集や裏付け捜査等を徹底して厳格な非行事実の特定等に努めるよう、捜査員等に対する指導・教育を行い、少年事件の厳正かつ的確な捜査・調査に努めている。

事例①

平成25年6月、無職の少女(16)らは、元同級生の少女を車に監禁し、車内及び山中において暴行を加えて金銭を強取した上で殺害し、死体を遺棄した。同年8月までに、少女ら7人を強盗殺人罪等で逮捕した(広島)。

事例②

25年6月、男子高校生(16)は、学校の教室内において同級生の男子から消しゴムを投げつけられたことに激高して同人の胸を刃物で突き刺した上、タクシーを強取して逃走を図った。同年7月までに、少年を殺人未遂罪等で逮捕した(千葉)。


 第4節 将来にわたる犯罪抑止のための基盤の構築に向けた取組

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