第5章 公安の維持と災害対策

3 右翼の動向と対策

(1)右翼の動向

① 街頭宣伝活動等の展開

右翼は、平成24年中、日本政府の政策、領土問題等を捉え、執拗に街頭宣伝活動等に取り組んだ。

特に、中国をめぐっては、香港の活動家らが尖閣諸島の魚釣島に上陸したことなどを捉え、北朝鮮をめぐっては、「人工衛星」と称するミサイル発射等を捉え、韓国をめぐっては、李明博(イミョンバク)韓国大統領(当時)が島根県の竹島に上陸したことなどを捉え、ロシアをめぐっては、北方領土問題等を捉え、それぞれ関係国、日本政府等を批判した。

また、23年10月1日までに、暴力団排除条例が全ての都道府県で施行されたことに伴い、同条例を批判する街頭宣伝活動を実施したほか、都道府県議会等へ陳情書等を郵送するなど、抗議活動に取り組んだ。

右翼が上記の街頭宣伝活動等に動員した団体数、人数及び街頭宣伝車数は、表5-4のとおりである。

このほか、極端な民族主義・排外主義的主張に基づき「外国人参政権反対」等を主張するいわゆる右派系市民グループによる活動も各地で展開され、一部に反対勢力とのトラブルもみられた。

 
右翼の抗議行動(1月、富山)
右翼の抗議行動(1月、富山)
 
表5-4 右翼による街頭宣伝活動等に伴う動員数(平成24年)
表5-4 右翼による街頭宣伝活動等に伴う動員数(平成24年)
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② 右翼関係事件の状況

24年中は、2件の「テロ、ゲリラ」事件が発生した。

 
表5-5 「テロ、ゲリラ」事件の概要等(平成24年)
表5-5 「テロ、ゲリラ」事件の概要等(平成24年)
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社民党本部車両突入事件(1月、東京)
社民党本部車両突入事件(1月、東京)

近年の右翼による違法行為の検挙状況の推移は、図5-8のとおりである。

このうち、右翼運動に伴う事件(注)の検挙状況、右翼による恐喝事件や詐欺事件等の資金獲得を目的とした事件の検挙状況、右翼及びその周辺者からの銃器押収状況は表5-6のとおりである。

注:右翼が街頭宣伝活動、抗議活動等を行う過程で引き起こした事件
 
図5-8 右翼関係事件の検挙状況の推移(平成20~24年)
図5-8 右翼関係事件の検挙状況の推移(平成20~24年)
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表5-6 右翼運動に伴う事件の検挙状況等(平成24年)
表5-6 右翼運動に伴う事件の検挙状況等(平成24年)
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(2)右翼対策の推進

① テロ等重大事件の未然防止に向けた違法行為の検挙

警察では、右翼によるテロ等重大事件の未然防止を図るため、銃器犯罪や資金獲得を目的とした犯罪を中心に、様々な法令を適用して違法行為の徹底検挙に努めている。

事例

政治団体幹部(44)らは、他人名義の運転免許証の写しを偽造し、運転免許証の名義人が中古自動車を分割払いで購入する旨を記載した内容虚偽の契約書等を作成してクレジットカード会社に提出し、販売代金の立替金等として総額約5,700万円をだまし取った。平成24年2月までに12人を詐欺罪で検挙した(大阪)。

 
事例の図
② 街頭宣伝車対策の推進

警察では、右翼が街頭宣伝車を用いて行う活動のうち、国民の平穏な生活に影響を及ぼす悪質なものについては、様々な法令を適用して徹底した取締りに努めている。

 
表5-7 街頭宣伝活動に対する取締り状況(平成24年)
表5-7 街頭宣伝活動に対する取締り状況(平成24年)
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街頭宣伝活動に対する取締り状況
街頭宣伝活動に対する取締り状況


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