2 極左暴力集団の動向と対策
(1)極左暴力集団の動向
暴力革命による共産主義社会の実現を目指している極左暴力集団は、平成23年中も、組織の維持・拡大をもくろみ、暴力性・党派性を隠して労働運動や大衆運動に取り組んだ。
革マル派
(注1)は、既存の労働組合の執行部を批判して同調者の獲得を図ったほか、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故を捉え、「停止中原発の再稼働阻止、全原発の即時停止・廃棄」を主張した。また、革マル派が相当浸透しているとみられる全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)及び東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)は、上告中であったJR東労組の組合員らによる組合脱退及び退職強要事件
(注2)の被告人の無罪を訴え、支援活動を継続した。
中核派(党中央)
(注3)は、労働運動を通じて組織拡大を図る「階級的労働運動路線」を推進しつつ、反原発闘争にも力を入れ、同年8月には、反原発闘争の推進主体として「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」を立ち上げた。一方、19年11月に党中央と分裂した関西地方委員会(関西反中央派)は、市民団体や他のセクトが主催する反原発、沖縄基地問題に関する集会やデモに積極的に参加した。
革労協主流派
(注4)は、成田闘争と福岡での組織的犯罪処罰法違反事件等の公判闘争を重点に取り組んだ。また、革労協反主流派
(注5)は、在日米軍の再編問題や自衛隊の海外派遣等を捉えて反戦闘争に取り組むとともに、宮城県で震災被災者に対する支援活動を通じて組織拡大を図った。
極左暴力集団によるデモ
(2)極左暴力集団対策の推進
警察では、極左暴力集団に対する事件捜査や非公然アジト発見に向けたマンション、アパート等に対するローラーを推進するとともに、ポスター等を用いた広報活動により、国民からの広範な情報提供を求めるなど、各種対策を推進している。
平成23年中には、天神峰(てんじんみね)現地闘争本部建物収去土地明渡裁判
(注6)の判決に抗議するため、東京高等裁判所内の廊下を占拠した活動家40人を不退去罪で現行犯逮捕するなど、極左暴力集団の活動家ら合計78人を検挙した。