第1章 警察の組織と公安委員会制度 

公安委員の声


美(ちゅ)ら島 うちなー(沖縄)を目指して

沖縄県公安委員会委員長
幸喜 徳子(こうき のりこ)

公安委員就任  平成15年8月1日(現在3期目)
公安委員長就任 平成23年7月10日

 沖縄県公安委員を拝命し早9年目を迎えた。以前はメディアを通してしか知らなかった事件事故について、捜査する警察側の視点も学ぶことができた。普段、私ども県民は警察業務に接する機会が滅多に無く、警察官の陰の御苦労にはなかなか思いが及ばない。しかし公安委員としての活動により、警察官一人一人が崇高な使命感の下、日夜治安維持に奮闘しておられる姿を目の当たりにし敬意を新たにした。
 私の就任当時、県内では戦後初の鉄軌道、沖縄都市モノレールが開通。交通渋滞緩和に繋がるとともに、その姿は首里城の赤瓦屋根にマッチして新しい沖縄の景観を創出した。さらに、県出身の宮里藍が県内最年少のプロゴルファーとして活躍、多くの県民に夢を与えた明るい年であった。翌年にはNHKの人気ドラマ「ちゅらさん」にちなみ、県民総ぐるみの防犯活動「ちゅらさん運動」がスタートし、防犯ボランティアの拡大に弾みがついた。
 一方、少年犯罪等の現状を知るにつけ、学校と警察の連携を一層密にし、情報を共有する必要性を痛感した。2006年に県公安委員会と県教育委員会との意見交換会がスタート、以来ほぼ毎年、様々なテーマで開催している。万引き防止、未成年者に対する酒タバコ類の販売自粛について主要なコンビニ、スーパー等の経営者には直接協力をお願いした。中学校の校長や生徒指導担当者との意見交換等も行い、現状把握に役立てた。2011年は少年等の携帯電話にフィルタリングを義務付けるよう、条例の制定を県に働き掛け、今年2月の県議会での提案事項となった。
 県警の少年警察ボランティアの一つに「大学生少年サポーター」の活動がある。2010年は大学生により102名の中学生に学習指導がなされ、うち55名が高校合格を果たした。少年等の未来に大きな希望を与えた快挙であった。本活動の拡充を狙い、昨年は公安委員会として少年課の担当者と共に県内各大学の学長を訪ね、更なる積極的な協力をお願いした。今後も大学生等の活発な活動が期待される。
 就任2年目には、米軍ヘリコプターが県内大学構内に墜落し、まさに青天の霹靂。その事件を機に、内閣官房沖縄危機管理官が県内に新たなポストとして配置された。以後、不測の事故に備えて県警と米軍、その他関係機関との合同訓練が継続されている。
 米軍人による少女暴行事件が本県中部で発生した折には、公安委員も現場視察をした。事件が民家のすぐ近くで発生したことに驚かされた。米軍人軍属による様々な事件事故が発生するたび、県警は日米地位協定の下、難しい対応を余儀なくされている。改めて沖縄県警の現実の厳しさを認識した。
 本県は日本の南の玄関口とも言われ、沖縄サミット等の大規模な国際会議も数多く、要人の警護警備も常に万全の態勢が要求されている。
 2008年の北海道洞爺湖サミットに先立ち、本県でG8科学技術大臣会合が開催された。その折の見事な警備も特に印象深い。同サミットへの応援部隊の派遣に先立ち、最終訓練を視察した。デモ隊鎮圧の場面では実戦さながら、本物の火炎瓶や石が警察官等に向かって容赦なく飛び交い、激しい訓練であった。手に汗を握りつつの視察で、真に頭の下がる思いであった。
 県内の治安を縁の下で支える警察官の献身的な働きは多くの県民にも知らしめたいと実感した。
 沖縄県がさらに安心安全で住み良い「美(ちゅ)ら島、うちなー(沖縄)」になるよう、県民の代表として今後も微力を尽くしたい。
 
沖縄県公安委員会委員長 幸喜徳子(こうき のりこ)

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