第2章 組織犯罪対策の推進

4 国際連携

国境を越えて敢行されるマネー・ローンダリングやテロ資金供与を防止するためには、相対的に規制の緩い国の金融サービス等が悪用されることのないよう、各国が連携して対策を講ずることが不可欠である。このため、国際社会においては、金融活動作業部会(FATF)(注1)、アジア・太平洋マネー・ローンダリング対策グループ(APG)(注2)、エグモント・グループ(注3)等の枠組みの下、マネー・ローンダリング対策及びテロ資金対策の国際的基準の策定、普及等が行われており、警察庁も、これらの活動に積極的に参画している。

注1:Financial Action Task Force

注2:Asia/Pacific Group on Money Laundering

注3:各国FIU 間の情報交換、研修、専門知識に関する協力等を目的として設置された国際機関。平成22年12月末現在、我が国を含む120の国・地域のFIU が加盟している。

(1)FATF の活動内容と警察庁の参画状況

FATF は、マネー・ローンダリング対策及びテロ資金対策に関する国際協力を推進するため設置されている政府間会合であり、平成22年12月末現在、我が国を含む34の国・地域及び2国際機関が参加している。FATF は、マネー・ローンダリング対策及びテロ資金対策として、各国が法執行、刑事司法及び金融規制の各分野において講ずるべき措置を、それぞれ「40の勧告」、「9の特別勧告」として示している。また、FATF は、加盟国における勧告の遵守の徹底のため、順次、各加盟国に審査団を派遣して相互審査を実施しており、我が国に対しても、20年に3回目の審査が実施された。これを受けて、我が国は、22年10月、パリで開催された全体会合において、同審査で指摘された各勧告の改善状況を報告した。

警察庁では、従来から、FATF の活動に積極的に参画しており、22年中は、年3回の全体会合に職員を派遣した。

(2)APG の活動内容と警察庁の参画状況

APG は、アジア・太平洋地域のFATF 非参加国・地域におけるマネー・ローンダリング対策を促進するために設置された国際協力の枠組みであり、平成22年12月末現在、我が国を含む40の国・地域が参加している。警察庁では、22年中、年次会合のほか、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の手口分析の研究のための会合に職員を派遣した。

(3)外国FIU との情報交換

国境を越えて行われるマネー・ローンダリングやテロ資金供与を発見するためには、各国FIU が密接に連携し、それぞれが保有する情報を積極的に交換することが必要である。国家公安委員会・警察庁では、エグモント・グループの活動、外国FIU との協議等を通じて連携を強化し、活発な情報交換を実施している。

また、国家公安委員会・警察庁では、平成22年中、新たに6か国のFIU との間で情報交換のための枠組みを設定し、これにより、22年12月末現在、合計26の国・地域との間で情報交換のための枠組みを設定している。

インドFIU との情報交換枠組みの設定

インドFIU との情報交換枠組みの設定


第4節 犯罪収益対策

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