第2章 組織犯罪対策の推進

3 犯罪収益の剝奪

犯罪収益が、犯罪組織の維持・拡大や将来の犯罪活動への投資等に利用されることを防止するため、これを剝奪することが重要である。犯罪収益の没収(注1)・追徴(注2)は、裁判所の判決により言い渡されるが、没収・追徴の判決が言い渡される前に、犯罪収益の隠匿や費消等が行われることのないよう、警察では、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法に定める起訴前の没収保全措置を積極的に活用して没収・追徴の実効性を確保している。

注1:物の所有権を剝奪して国庫に帰属させる処分を内容とする財産刑をいう。

注2:没収することができる物の全部又は一部を没収することができない場合に、その価額の納付を強制する処分をいう。

(1)没収・追徴の状況

第一審裁判所において行われる通常の公判手続における組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況は、表2-14のとおりである。

表2―14 組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況の推移(平成17~21年)

(2)起訴前の没収保全

平成22年中における起訴前の没収保全命令は、組織的犯罪処罰法で賭博、ヤミ金融事犯、わいせつ物頒布等事犯、売春防止法違反、詐欺、廃棄物処理法違反等に関して70件(前年比16件(29.6%)増加)発出され、麻薬特例法で13件(前年比5件(62.5%)増加)発出されている。

表2―15 起訴前の没収保全命令の発出状況の推移(平成18~22年)


第4節 犯罪収益対策

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