トピックスII　事件・事故に対する初動警察活動

　近年、無差別殺傷事件の相次ぐ発生、局地的かつ短期間に降る大雨による被害の発生等の警察事象の多様化・スピード化を受けて、初動警察の重要性が増してきています。警察では、時代の要請にこたえた初動警察を確立するため、そのかなめである通信指令の強化を図り、組織的かつ効率的な活動を推進しています。

（1）初動警察刷新強化の取組み
　警察庁では、平成20年12月、初動警察活動の総合的な強化に向けた基本方針として「初動警察刷新強化のための指針」を策定しました。都道府県警察では、この指針を受けて、第一線警察の執行力強化方策^（注2）の一環として、通信指令の強化、事案対応能力の強化等に重点的に取り組んでいます。

（2）通信指令の強化

〔1〕　通信指令の機能強化

　事件・事故に対して警察が迅速・的確な対応をするためには、110番通報の受理、事案に関する情報の集約、警察用車両等の運用に関する指令等の機能を1か所に集中させることが不可欠です。
　国家公安委員会では、平成21年9月、警察通信指令に関する規則を制定し、都道府県警察に設けられた通信指令室が初動警察活動における司令塔としての役割を果たすことができるよう、その位置付けや権限を明確化するとともに、通信指令を行う際の組織的活動、人材の育成、関係都道府県警察の連携等の原則を定めました。都道府県警察では、同年10月に施行されたこの規則に基づき、迅速・的確な初動警察活動を推進しています。

〔2〕　通信指令システムの整備・強化
　警察では、通信指令室が迅速・的確な通信指令を行うため、パトカーの活動状況を把握するカーロケータ・システム、110番通報者の位置情報を把握するシステム等の整備を図り、通信指令システムの高度化に努めています。
　また、通信指令室において事案の発生現場等の状況を的確に把握するため、現場警察官が画像等の送受信等を行うことができる地域警察デジタル無線システムの整備を進めていきます。

〔3〕　通信指令を担う人材の育成強化
　警察では、110番通報の受理や指令の技能を競う通信指令競技会を開催するなど、通信指令技能の向上を目的とした教育訓練を行うとともに、通信指令の知識・技能に関する検定制度を設けて、組織的な人材育成に努めています。
　また、卓越した通信指令の技能を有する者として選抜された、警察庁指定広域技能指導官や都道府県警察の技能指導官等が、実践的な指導等を通じて後進の育成に当たっています。

（3）事案対応能力の強化

〔1〕　警察機動力の強化
　警察では、事件・事故の現場へ迅速に駆けつけ、犯人の逮捕等を行うため、警察用車両、警察用航空機等の警察機動力の整備に努め、組織的な運用を図っています。

〔2〕　実践的な訓練の実施
　警察では、平時から、通信指令室、自動車警ら隊、機動捜査隊、交通機動隊、警察航空隊等の間の情報共有を進め、機動力の連携強化を図るため、組織横断的な実践的訓練を計画的に実施して、組織的な事案対応能力の向上に努めています。