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トピックスIII 児童ポルノの根絶に向けて

 警察では、児童ポルノ事犯に対する取締りの徹底を図るとともに、児童ポルノの流通防止や被害児童の支援等に取り組んでいます。

 児童ポルノ等の児童の性的搾取は、児童の人権を著しく踏みにじる行為であり、自分の力で自分の権利を守れない弱い立場にある児童に対する人権侵害です。また、その画像が一度インターネット上に流出すれば、その回収は極めて困難となります。警察では、インターネット上に氾(はん)濫する児童ポルノを根絶し、深刻な人権侵害を受け、将来にわたり苦しむ被害児童を無くすための総合的な対策を推進するため、平成21年6月に「児童ポルノの根絶に向けた重点プログラム」を策定し、このプログラムに盛り込まれた各種施策の実現に向けて取り組んでいます。

(1)児童ポルノの現状
 平成21年中の児童ポルノ事犯の検挙件数は935件、検挙人員は650人、被害児童数は405人と、それぞれ前年より259件(38.3%)、238人(57.8%)、67人(19.8%)増加し、過去最多となっています。また、最近では、被害児童の低年齢化が進んでいるほか、高画質画像の高速かつ大量な流通、ファイル共有ソフト利用の拡大等の傾向が見られます。また、こうした厳しい情勢にあって、インターネット上の児童ポルノ事犯への対策を求める世論も強くなっています。
 また、児童ポルノ対策は、国際的にも重大な関心事項となっており、様々な国際会議等において児童ポルノに反対する宣言等が採択されるなど、児童ポルノの根絶に向けた国際的機運も高まりを見せています。
 
図III-1 児童ポルノの現状
図III-1 児童ポルノの現状
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(2)児童ポルノの根絶に向けた警察の取組み
〔1〕 「児童ポルノの根絶に向けた重点プログラム」の策定
 警察庁では、児童ポルノ事犯の情勢が深刻化していることを踏まえ、平成21年6月に「児童ポルノの根絶に向けた重点プログラム」を策定し、児童ポルノ事犯の取締り、流通防止対策及び被害児童支援を施策の柱として総合的な対策を推進しています。
 
図III-2 児童ポルノの根絶に向けた重点プログラムの概要
図III-2 児童ポルノの根絶に向けた重点プログラムの概要

〔2〕 「児童ポルノの根絶に向けた重点プログラム」に基づく取組み
 警察では、関係都道府県警察による合同捜査・共同捜査の積極的な推進、サイバーパトロールや買受け捜査(注)の一層の強化、ファイル共有ソフト利用事犯に対応した捜査手法等の活用により、児童ポルノの製造・提供事犯の徹底した検挙と被害児童の発見・保護に努めています。
 また、21年6月に発足した児童ポルノ流通防止協議会の取組みに積極的に協力するなど、関係機関・団体等と連携して児童ポルノの流通防止に取り組んでいます。
 さらに、被害児童の心情に配意した聴取に努めるほか、カウンセリング態勢の充実を図るなどして、被害児童の支援を推進しています。
 このほか、22年4月、警察庁生活安全局少年課に児童ポルノ対策官を新設し、情報分析の強化、外国捜査機関等との連携等により、効果的な取締り等を推進しています。

注:児童ポルノ画像等を、警察官が顧客を装って購入することにより端緒を得て行う捜査

 
児童ポルノ事犯の押収品
児童ポルノ事犯の押収品

事例
 パート従業員の女性(31)らは、使用済み下着販売サイトで知り合った無職男性から報酬を受け、実の娘(1)を含む児童5人を同男に引き渡し、わいせつ行為を行わせるなどして、その様子を撮影した児童ポルノを製造した。21年11月から同年12月にかけて、同女、同男ら6人を児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反(単純製造)等で逮捕した(宮城、警視庁)。

コラム3 児童ポルノ排除対策ワーキングチーム

 児童ポルノを社会から排除するためには、警察による取締りだけではなく、児童を性的好奇心の対象としてとらえる社会的風潮自体の是正、実効性のある流通・閲覧防止対策、児童ポルノ被害の未然防止及び被害児童の保護を強力に推進する必要があります。そこで、関係省庁が連携し、児童ポルノの排除に向けた国民意識の醸成を図るとともに、必要な施策を検討・推進するため、21年12月、犯罪対策閣僚会議の下に「児童ポルノ排除対策ワーキングチーム」が設置され、政府が一体となって児童ポルノの排除対策に取り組んでいます。
 
児童ポルノ排除対策ワーキングチーム
児童ポルノ排除対策ワーキングチーム

 III 児童ポルノの根絶に向けて

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