特集:犯罪のグローバル化と警察の取組み 

第3節 今後の展望

 刑法犯認知件数は、平成14年をピークに減少を続けているものの、国民の治安に対する不安は依然として払拭されていない。この特集において取り上げた犯罪のグローバル化は、経済のグローバル化等の負の側面として急速に進んでおり、治安に対する重大な脅威となっている。
 経済がグローバル化した世界で、企業は、一国だけでなく世界中から、安価で高品質な原材料・部品等を調達し、世界最高水準の製品を製造することなどを目指している。一方、国際犯罪組織も、企業と同様、世界各地に活動拠点を構築し、ネットワークを拡大させるなどして、容易かつ効率的に犯罪を敢行することをもくろんでいる。
 このような状況に的確に対応するためには、警察において、先手を打った対策を取ることが重要であり、捜査手法の高度化や関係機関との緊密な連携等により、国際犯罪組織に対抗するためのツールを充実強化していかなければならない。また、警察組織の総力を挙げて、我が国のいかなる地域においても犯罪のグローバル化に的確に対応できる態勢を整え、発生した事件の処理のみにとどまることなく、国際犯罪組織のネットワークやインフラ等を解明し、国際犯罪組織を確実に弱体化・壊滅していくことが重要である。
 また、犯罪のグローバル化への対応は、我が国一か国だけの問題ではない。例えば、ある国における対策が脆(ぜい)弱であると、その国が国際犯罪組織の標的となり、ひいては、そこから、世界的規模で犯罪の脅威にさらされるおそれが出てくることから、外国治安機関との緊密な連携が重要である。
 そこで、警察では、犯罪のグローバル化に対抗するための手段の構築、国内関係機関との連携、外国治安機関とのグローバルな国際協力体制の構築等を図るなどして、犯罪のグローバル化に対する日本警察の戦い方を再構築していくこととしている。

 第3節 今後の展望

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