特集:犯罪のグローバル化と警察の取組み 

1 犯罪のグローバル化に対抗するための手段の構築

 国際犯罪組織の弱体化・壊滅を図るためには、入国管理局や税関等、国内関係機関との連携を強化して、水際対策を徹底していかなければならない。例えば、ICPO国際手配被疑者に対する入国管理局における慎重な上陸・在留審査等を通じて、危険な逃亡被疑者が我が国に入国することなどを阻止していく必要がある。
 また、平成18年の入管法改正により、来日する旅客等に関する情報の事前提出が義務付けられたが、出国する旅客等に関する情報の提出を義務付ける仕組みがないため、我が国で犯罪を敢行し外国へ逃亡した被疑者の迅速な追跡が困難な状況にある。「逃げ得」を許さないためには、被疑者判明後の入国管理局に対する迅速な手配を実施するとともに、出国後に被疑者であることが判明した場合における出国状況の迅速な把握を可能とする手段を構築し、国外逃亡被疑者の迅速な検挙を推進していかなければならない。
 さらに、現行法上、規制薬物の捜査手法として税関手続の特例が認められているコントロールド・デリバリーをその他の禁制品に適用することが可能であれば、国際犯罪組織に対する外国治安機関との共同オペレーションを行う際に、有効な捜査手法として活用ができる。
 このような、グローバルな犯罪を捜査する上での課題の解決に向けて、今後、関係機関と連携・協議していくことが重要である。

 第3節 今後の展望

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