第5章 公安委員会制度と警察活動の支え 

3 総合的な治安対策

(1)警察の従来の取組み
 刑法犯の認知件数は、平成8年から14年にかけて、7年連続で戦後最多の記録を更新し続けた。警察庁では、犯罪の増加の基調に早急に歯止めを掛け、国民の不安を解消するため、15年8月、「緊急治安対策プログラム」を策定・公表するとともに、同プログラムを補完・加速化し、治安再生への道筋を確実なものとするため、18年8月、「治安再生に向けた7つの重点」を策定・公表し、これらに盛り込まれた施策を推進してきた。
 
図5-24 犯罪対策閣僚会議と警察の取組み
図5-24 犯罪対策閣僚会議と警察の取組み

(2)犯罪対策閣僚会議の取組み

〔1〕 犯罪対策閣僚会議の開催
 治安情勢が危険水域に達し、国民が強い不安感を抱くようになったことを背景に、政府全体としての犯罪対策を進めることの重要性が認識された。そこで、「世界一安全な国、日本」の復活を目指し、政府では、平成15年9月から、首相が主宰し、全閣僚を構成員とする犯罪対策閣僚会議を開催している。同年12月には、同会議において、「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」(以下「旧行動計画」という。)が策定された。
 
第14回犯罪対策閣僚会議(提供:内閣広報室)
第14回犯罪対策閣僚会議(提供:内閣広報室)

〔2〕 「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」の策定
 旧行動計画策定後5年間の取組みにより、治安状況は着実に改善しつつあったものの、客観的な治安状況は、刑法犯認知件数が140万件前後で推移していた戦後の安定期には依然として及ばず、また、振り込め詐欺の多発、凶悪な事件の相次ぐ発生等により、国民の体感治安は依然として改善していなかった。そこで、政府では、20年12月に開催された第12回犯罪対策閣僚会議において、犯罪を起こさせないためのより広範な政策を総合的かつ持続的に講じていくため「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」(以下「新行動計画」という。)を策定した。

〔3〕 新行動計画の内容
 新行動計画は、犯罪対策の推進に関する政府の基本的な考え方を示した前文と、現下の犯罪情勢の特徴的傾向に即した7つの重点課題ごとに取りまとめられた総計172項目(重複項目を含む。)の個別施策から成っている。新行動計画は、計画策定後5年間を目途に、犯罪を更に減少させ、国民の治安に対する不安感を解消し、真の治安再生を目指して、各施策を着実に実施していくこととしている。
 警察では、関係機関・団体等と連携し、新行動計画に基づく取組みを強力に推進している。
 
図5-25 「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」における7つの重点課題
図5-25 「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」における7つの重点課題

 第3節 国民の信頼にこたえる警察

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