第1章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

8 食の安全に係る事犯、環境事犯等

(1)食の安全に係る事犯
 食の安全に係る事犯(注)は近年増加しており、平成21年中の検挙事件数は66事件、検挙人員は132人となった。中でも、食品の産地等偽装表示事犯の検挙事件数は34事件、検挙人員は107人と大幅に増加しており、統計を取り始めた14年以降で最多となった。
 偽装手口は悪質・巧妙化が進んでおり、食品の転売による用途の偽装や食品の買戻しによる原産地の偽装等の手口もみられる。

注:食品衛生関係事犯(食品衛生法違反)及び食品の産地等偽装表示事犯(不正競争防止法違反等)

 
図1-26 食の安全に係る事犯の検挙状況の推移(平成17~21年)
図1-26 食の安全に係る事犯の検挙状況の推移(平成17~21年)
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表1-6 食の安全に係る事犯の検挙状況の推移(平成17~21年)
表1-6 食の安全に係る事犯の検挙状況の推移(平成17~21年)
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事例
 穀粉米粉製造加工販売会社社長(73)らは、19年12月ころから20年8月ころにかけて、食用として販売できない事故米であるにもかかわらず、納品書に「特定米穀白米」等と記載してあたかも食用米であるかのように表示して、事故米約1,000トンを酒造会社等7社に販売した。21年2月から同年3月にかけて、3法人、13人を不正競争防止法違反(誤認惹起行為)で検挙した(大阪、福岡、熊本)。
 
押収した事故米
押収した事故米

(2)環境事犯
 警察では、環境を破壊する犯罪のうち、特に、廃棄物の不法投棄事犯等に重点を置き、組織的・広域的な事犯、暴力団が関与する事犯、行政指導を無視して行われる事犯等を中心に取締りを推進するほか、関係機関に必要な情報を提供して、環境被害の拡大防止と早期の原状回復を促している。
 また、国内に生息する野生鳥獣の違法捕獲等に係る事犯、希少野生動植物種の密輸入や国内での違法取引等に係る事犯、動植物及び生態系の保護等に係る事犯等の取締りを行っている。
 
表1-7 廃棄物事犯の検挙状況の推移(平成17~21年)
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表1-8 鳥獣の違法捕獲等に係る事犯の検挙状況の推移(平成17~21年)
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事例
 無許可産業廃棄物処分業者(44)らは、平成20年9月から21年3月にかけて、東京都内の区画整理事業により排出された産業廃棄物を土砂と混ぜる偽装工作等をした上、無許可産業廃棄物処分場等計3か所に約120・を埋め立て、不法投棄した。21年6月、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反(無許可処分業、不法投棄等)で3法人、10人を検挙した(警視庁)。

(3)保健衛生事犯
 警察では、国民の健康志向等につけ込み、医学的根拠が明らかでない効能をうたい、又は虚偽の体験談を用いてあたかも特定の疾病や部位に効くような宣伝をして健康食品を高額で販売するほか、医薬品を混ぜた食品を無許可で製造・販売するなどの薬事法違反、無資格で医療行為を行う医師法違反等の事犯の取締りを行っている。
 
表1-9 保健衛生事犯の検挙状況の推移(平成17~21年)
表1-9 保健衛生事犯の検挙状況の推移(平成17~21年)
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(4)諸法令違反
 平成21年中は、水産資源の違法捕獲等に係る事犯、無線局の不法開設に係る事犯等が発生した。
 
表1-10 主な諸法令違反の検挙状況の推移(平成17~21年)
表1-10 主な諸法令違反の検挙状況の推移(平成17~21年)
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 第1節 犯罪情勢とその対策

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