第4章 公安の維持と災害対策 

第10節 大衆運動の動向

(1)平和運動等
 労働組合、大衆団体等は、憲法改正問題をめぐり、平成20年5月4日から6日にかけて、千葉県千葉市で、「世界は9条をえらび始めた」などと訴え、約2万人(主催者発表)を集め、「9条世界会議」を開催した。また、米海軍横須賀基地への原子力空母ジョージ・ワシントン配備をとらえ、神奈川県横須賀市で「原子力空母の配備を許すな」などと訴え、7月13日に約3万人(主催者発表)、同月19日に約1万5,000人(主催者発表)を集め、抗議集会やデモを行った。
 このほか、大衆団体等は、中国のチベット政策をめぐり、北京2008オリンピック聖火リレー<長野>、中国要人来日等をとらえて抗議集会やデモを行った。
 
中国のチベット政策に対する抗議
写真 中国のチベット政策に対する抗議

(2)反原発運動
 反原発団体は、原子力発電に使用した核燃料からウラン・プルトニウム混合酸化物等を取り出すための商業用施設である日本原燃株式会社再処理工場(青森県六ケ所村)の本格稼働をめぐり、平成20年4月12日及び6月7日に青森県青森市で「止めよう再処理」などと訴え、抗議集会やデモを行った。
 また、19年7月の新潟県中越沖地震に伴う安全性確認作業のために稼働を中止している柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市)をめぐり、20年6月28日及び29日に新潟県柏崎市で、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の運転再開をめぐり、12月6日に福井県敦賀市で、それぞれ抗議集会やデモを行った。
 
原子力発電の危険性を訴える抗議デモ
写真 原子力発電の危険性を訴える抗議デモ

(3)海外から波及した過激な大衆運動
 反グローバリズムを掲げる過激な勢力は、2008年(平成20年)7月に開催された北海道洞爺湖サミットをめぐり、同月5日に北海道札幌市で約5,000人(主催者発表)を集めるなど、海外の団体等と連携しながら様々な抗議集会やデモを行った。中には、黒装束をまとったブラックブロック(注)を模倣した者も見受けられた。
 また、米国の環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd)」は、20年1月、3月及び12月に南極海において、我が国の調査捕鯨船に、薬品入りの瓶を投てきしたり、活動家が乗り込んだりするなどの妨害行為を行った。

注:国際会議の妨害等を目的として、黒い衣服やマスクを着用し、投石等の暴力行為を含む過激な抗議行動を行う者の集まり又はその抗議方法

 
調査捕鯨船への妨害行為(提供:(財)日本鯨類研究所)
写真 調査捕鯨船への妨害行為(提供:(財)日本鯨類研究所)

事例
 20年4月、環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」の構成員(31)らは、調査捕鯨船の乗組員が鯨肉を横領しているとし、これを告発するためと称して、青森県内の運輸会社に侵入し、鯨肉約23キログラムを盗んだ。同年6月、2人を窃盗罪等で逮捕した(青森、警視庁)。

 第10節 大衆運動の動向

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