被害者の無念を晴らすために
警視庁麻布警察署刑事課
岡本大地 巡査部長
私は、昨年3月に六本木ヒルズの回転扉に子どもが挟まれて亡くなった事件の捜査に従事しました。
私の担当は、回転扉を設計・製造する企業が使用していたパソコン約30台に記録されたデータの解析でした。台数も多く、回転扉という特殊で専門的な技術に関するデータであったため、初めはその内容が十分理解できず、なかなか解析作業は進みませんでした。
しかし、事件の捜査では、「よく分からないからできなかった」という言い訳は決して許されません。専門書を購入し、理解できるまで繰り返し勉強するなど、毎日地道に作業を進め、半年以上かかって何とか解析を終わらせることができました。私の解析結果が検挙の決め手になったわけではありませんが、多くの刑事の地道な作業の集大成が、被疑者の検挙に結びつくのです。
一人の刑事として大きな事件の捜査に携わったという自信、そして、亡くなった幼き子どもとその親御さんの無念を少しでも晴らしたという喜び、これを糧に、どんな困難な捜査にも立ち向かっていきます。
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