警察活動の最前線 

不法滞在を許さないために
愛知県警察本部警備部外事課長
後藤修二 警視

 


 当課では、来日外国人犯罪の温床となっている不法滞在の取締りと、その支援組織の壊滅のための捜査を推進しており、最近では、東京にある外国人登録証明書、旅券、運転免許証等の偽造工場を摘発しました。捜査員を東京に派遣するときは、被疑者の居場所や事件の証拠等を掴んできてくれることを願いつつ、無理をして手の内が漏れ、偽装工作が行われることも懸念されたので、指揮官として大いに悩んだ場面でした。しかし、経験豊富な捜査員たちのおかげで、数箇月にわたる捜査を成功させることができました。
 この事件では、偽造文書に施されるホログラムシールの供給元が中国国内にあることなどが判明しましたが、我が国では、様々な国籍の不法滞在者が全国各地に分散して「偽造ネットワーク」を形成し、外国の犯罪組織と連携しながら活動していることが明らかとなっており、その実態解明は非常に困難です。
 この偽造工場の摘発により、多くの不法滞在を未然に防止できたと思いますし、それは愛知県にとどまらず、日本全体の治安を良くすることにもつながるのだと考えながら、今日も「いい事件をやろう」と部下を励ましています。

 
「刑事魂」の結集を目指して
神奈川県宮前警察署刑事課長
野崎廣子 警部

 


 今年3月に県警初の女性刑事課長に任命されたときは、「せめてもう数年若かったら」と、正直言って動揺しました。
 私が思い描く刑事像は、10年前に勤務した川崎警察署刑事課での経験が大きく影響しています。休日も夜も事件での呼出しは日常的。ひとたび呼出しがあれば2、3日の不眠不休は当たり前。そして何より、刑事は男の世界。でも、「女性の後輩に道を切り開くのも私の役目」と自分に言い聞かせ、ようやく気持ちに整理をつけたのです。「女性の刑事課長というだけで話題になっているうちは、本物じゃないぞ」とは、着任当日、署長が私にくれた辛口の激励です。
 そして赴任した宮前警察署。馬絹古墳等の旧跡と新興住宅地が共存する緑豊かな土地柄ですが、事件は日々発生しており、総勢24人の刑事課では、殺人、強盗から薬物、銃器犯罪まで広範な事件をこなしています。課員一人一人の「犯人は必ず自分が捕まえる」という「刑事魂」がこれを支えているのです。私も、課長であるとともに一人の刑事として、課員と同じ「刑事魂」を持ち、気持ちを一つにして頑張っています。

 

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