新潟県中越地震に出動して
新潟県新津警察署警備課長
根立一成 警部
機動隊の中隊長であった私は、数十人の部下を率い、地震発生直後に緊急出動して以降豪雪期まで、様々な災害警備活動に従事しました。時には自然の脅威を目の当たりにして無力感を味わい、時には人の心の温かさに触れ、涙することもありました。自ら被災しているにもかかわらず、他の被災者に支援・協力の手をさしのべようとする住民は数多く、その姿が目に焼き付いています。
被害甚大な山古志村では、孤立した2,200人の村民救出に携わりました。車に乗った母子3人が巻き込まれた崩落現場では、消防等と一体となり再崩落の危険と背中合わせで行った救出活動が、奇跡的な男児生還につながりました。しかし、女児救出は残念ながら半月後となり、そのとき隊員は、無言で遺体の顔に付いた泥をぬぐいました。天国で花嫁になれるようにと住民から託されたブーケを現場に手向け、隊員全員で合掌した瞬間、我々の使命の重さを強く実感しました。
被災地では、新潟だけでなく、全国の警察官やパトカー、ヘリコプターが活動していました。仲間からの助力を大変頼もしく、ありがたいと感じた次第です。
人の温かさに感謝し、貴重な体験を糧として、今後の活動に臨む決意です。
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